【Carl Zeiss】変わりゆく下北沢を「Planar T* 50mm F2 ZM」と振り返る
連載中の「カメラを愉しむvol.31」は、『変わりゆく下北沢を「Carl Zeiss Planar T* 50mm F2 ZM」と振り返る』をご紹介いたします。こちらのレンズで撮影した風景写真(新緑)を前回ご紹介しましたが、今回は街中スナップ!
新緑の風景写真にも透き通るような写りはとてもマッチしていましたが、それは街中のスナップ撮影でも同じ!
ショーウィンドウとその映り込みを肉眼で見るよりも一段と美しく表現してくれました。
不思議ですね。このレンズを使うと何故か「適正露出+-0」を使わなくなります。
その表現したい被写体の印象によって重厚感や金属感、冷たさを表現したい時は「マイナス補正」。クールながらも優しい雰囲気を取り入れたい時、軽やかで透き通るような日常を再現したい場合は「プラス補正」。レンズの癖を楽しみたくなってきます。
メーカーの想定しているZM対応機種でつかうのも良いですが、SONYならではの引き締まった画作り(特にα7II以前の機種)との相性が抜群です。
ショーケースも露出次第で先程とはまた一味ちがう仕上がりになります。
変わりゆく街「下北沢」。私の撮影のテーマのひとつ「町の変化」を撮る。
私の場合、写真を上手に撮ろう。構図がああだこうだというのは考えません。その場にカメラを向けた時に「あ、この街の魅力的な場所はここだ!」「このモデルさんの美しさ、特徴はここだ!」と直観だけで撮影するようにしています。
特にスナップは感じたまま撮るのが楽しい。そこにオートフォーカスの「ピピっ」という音や、「AF合焦の動きや場所」、「絞り羽根の動き」が入ってくるとその直観が乱されるようで受け入れられずスナップはマニュアルフォーカスでの撮影が私のスタンダードです。
我ながら、なんてメンドクサイ人間なのだと思います。
今は存在しない場所。10数年間この場所だけにスポットをあてて撮影を続けてきました。
少しづつ変わってゆく風景。懐かしさと、残された時間をその場所でお酒を酌み交わすその風景。私はお酒をほとんど飲まないのですが、お酒を飲んでいる方々の表情が大好きです。
ぎっしりと詰まっていた店舗も空き地となり、ポツンと1つのお店だけになっていました。
白いハトが飛んできました。きっとこの街に平和を運んでくれるのでしょう。
さて夕方になり日も傾き始めました。
散歩しながら少し離れた京王線の駅へ。この街は「昭和」の足跡が沢山残っています。
美しく整備された街並みよりも、昭和生まれの私はこちらの方が落ち着きます。
もうこの様な路地裏をみると、筆者はウキウキしてしまいます。
この撮影をした頃、実はマップカメラのある新宿も大きな進化を遂げていました。
現在は「バスタ」となり、深夜バスを利用する方ならおなじみの場所となっています。
この頃は路肩に車をとめて、タクシーの運転手さんも一服できる様な雰囲気でした。
今では綺麗に整備され、このような光景は見られなくなってしまいましたね。
写真は美しく、高画素機で完璧に撮るだけが楽しみではありません。私たちが今見ている日常をお気に入りの機材で撮影し、5年後 10年後に自分の記憶をたどるツールとしてもぜひ活用してみてください。
フォトライフがもっと楽しくなるかもしれません。