【オールドレンズの沼地】1932年製 Carl Zeiss Tessar 5cm f/3.5
古今東西様々なレンズが存在しますが、「テッサー」の存在はカメラ史にとてつもなく大きな影響を与えたレンズだと言えるでしょう。
現行ズームレンズの名前にも「バリオ・テッサー」というものがありますが、元は1902年にプラナーを設計したパウル・ルドルフとエルンスト・ヴァンデルスレプが協力して開発されたレンズになります。
3群4枚構成のシンプルなテッサーはコンパクトで写りが良く、様々なカメラに用いられたのはもちろんのこと、ライツ・エルマーやフォクトレンダー・スコパー、コダック・エクターなど世界中のカメラ・レンズメーカー影響を与え、この「テッサー型」を採用しているのです。
さて、そんな偉大なるテッサーなのですが、今回は1932年製のContax用テッサーをご紹介。
ドイツの巨大カメラメーカーであるツァイス・イコンがライカに対抗して登場させた距離計内臓のレンジファインダーカメラ『Contax I』を発売したのが1932年ですから、この個体はContax用テッサーとしては初期のものになります。
ガラスは周辺にクモリがあるものの、まぁまぁのコンデション。(筆者の主観では)
自前のアメデオアダプターと『Leica M9』を使用して撮影をしてみました。
M9の色味も相まって、なんだかフィルムライクな画になりました。
現代のレンズと比べてばポワンと柔らかい印象かも知れませんが、なんたって88年前のノンコートレンズです。
コントラストが低く(現代のレンズに比べると)、階調が豊かな分、やはりモノクロでの相性が良い印象です。
ツァイスレンズと言えば鮮やかな色彩と高コントラストを思い浮かべる方も多いと思いますが、オールドツァイスはそれとは違った魅力を持ったレンズです。
最近はコーティングされた山崎ズマールなどを使用していたのですが、改めて使うと実に味わい深い描写性だなと思いました。
それでは、次回もオールドレンズの沼でお会いしましょう。