【CONTAX】T2、シルバーで。
言わずと知れたCONTAXの名機。
フィルムカメラを好きな人ならもう既に何度も手にしたことがあるでしょう。
フィルムカメラはよく分からない、という人でも
メディアなどで1度は目にしたことがあるかもしれない、そんな1台。
今年はシルバーウィークというには少し短い4連休です。
最終日の今日はそんなポピュラーな1台で締めくくりたいと思います。
「有名だけど、実際のところどうなんだろう。」
「なんで皆そんなにT2が好きなの。」
こういった声もよく聞きますし、
実際のところ私も少し前まで良さがあまりわかっていませんでした。
T2の魅力、それはきっと自然光の下で現れる「色」ではないかと思います。
私が入社した頃、訳もわからず機材に慣れてみるという名目でT2を渡されました。
「シャッターを押すだけで撮れるから自由に撮ってみて」
そんなことを言われても、どうやったらレンズが出てくるかもよく分からないし、
ファインダーにイマイチ分からないピコピコが出てくるし。
そもそも何を撮ればいいのか全くわからない・・・。
でもせっかくフィルムまでもらったのだからとりあえず撮ってみよう、と
近くにいる人を撮ったり、うねうねと伸びる変な木を撮ったり、
チューリップを撮ってみたり・・・。
後になってその時撮影した写真を見てみると、
景色を撮影した引きの写真はしっかり撮れているものの、大半は近づきすぎてボヤけた写真になっていました。
最短撮影距離なんて言われても、それは何?と返すほどの知識しかなかったのが一目でわかります。
しかしそのボヤけた写真のだす色味は、
今見てもグッとくる魅力あるものだと、私は思います。
1枚目だけだと何か分かりませんが、2枚目をみて、
あぁこれはチューリップなんだなと気づきます。
実際のところ、今でも私は撮れてるものなんてどうでも良くて、
自分のすきな色が出てればそれで良いんですけどね。
そういう意味ではカメラ屋さんなんて本当は向いてないのかもしれません。
他にピントがきている、という意味ではきちんとした写真もありましたが、
これより好きな写真はそこまでありません。
しかし他のカメラで写真を撮るうちに、あの色はどう出したのだろう。
全然あの時の色が出ないと思うようになりました。
あの時使ったのはFUJIFILMのISO100の業務用フィルム。
なんでこのフィルムであの色が出たんだろう。
FUJIFILMの業務用フィルムは私のイメージとしては、
どこか日本らしくフィルムらしい、赤と緑が特徴的なフィルム。
スッキリした色味というとKODAKのPORTRAとか、FUJIFILMの400Hとか。
でもそれらもまた、違う気がする。
そんな考えを持ちながら日々過ごしておりましたが、
ある時突然、自分の手元にT2がやってきました。
突然、といっても自分で購入したのでこの表現は正しくないかもしれません。
あぁ、これだな、と思いました。
高いコントラストはありながらもスッキリとした色味。
特に寒色の表現が堪らなく好きです。
業務用フィルムが別のフィルムに化けているかのよう。
今になって持つと最短焦点距離を気にしてしまうものです。
この辺で70センチかな、そんなことを気にしながらシャッターをきります。
ピントが気になるときは、マニュアルでピントを合わせます。
このカメラはコンパクトフィルム機ではよく使われる赤外線を使ってのオートフォーカス。
赤外線を飛ばして跳ね返ったものがどれだけの時間で戻ってくるかで距離を測ります。
いかにも赤外線が返ってこなさそうな場所では、右手のダイヤルを回しながら目測で。
蜘蛛の巣からは流石に返ってこないでしょう。
もちろんピントを外すことも。
でも不思議なことに外すかも、と続けて2枚撮るときはどちらもちゃんと撮れているのです。
2枚目では珍しくしっかりとしたフレアが入りました。
一眼レフタイプのカメラだとこうしたらフレアが入るな、と予想して撮影ができますが、
ファインダーとレンズが連動していないカメラだと現像してみるまでわかりません。
ここまでしっかり入ったのは今のところ、この1枚だけ。
実際に手に取り、使って見るとカメラのイメージはグッと変わります。
このT2もその1台。今日は良い日が入ってくるな、と思ったときT2は想像以上の力を発揮します。
今回は全てFUJIFILMの業務用フィルムとの組み合わせで撮影した写真を並べてみました。
4連休ももう終わり、連休の終わりが好きな人はそうそういないでしょう。
少しばかり長いお休みが終わって会社や学校に行くのは憂鬱かもしれません。
そんな時は仕事や学校に行く途中で撮り終えた1本のフィルムを現像に出してみるのはいかがですか。