【D780徹底レポート!】第三回 やっぱりレフ機!NikonとCanonの”違い”
皆様一眼レフ使っていらっしゃいますか?
ここ最近はミラーレスの隆盛ですっかり影をひそめてしまった一眼レフですが、ここにきてニコンから待望のビッグネームが登場しました。
その名もD780!名機と名高いD750の後継機です。
今回の記事では、カタログスペックでは解らない細かい所について掘り下げます。
せっかくなので、わが愛機であり直接のライバルとなるであろうCanon EOS 6D MarkⅡとの比較も交えてお送りします。
ペンタプリズムに魂をささげてきた2大メーカーですが、AF世代のカメラに限って申し上げますと、ファインダーの考え方には違いがあるような気がします。
今回この二機種のファインダーを覗き比べてみて、感じられたことは…。
EOS 6D MarkⅡのファインダーは、明るくヌケがよく平面的。また、両機種ともにアイポイントは「約21mm(−1m-1時、接眼レンズ中心から)」のはずですが、眼鏡をかけていても周辺部まで見やすいのはこちらの方でした。その代わりにピントの山は大分アバウト。MFは慣れだけではキツイです。
対してD780のファインダーはというと、明るさではEOS 6D MarkⅡに一歩劣るものの、単体で見たときに「暗い」と感じるようなことはありません。また、見えている景色に立体感があるため構図造りがしやすいという利点も。
写真は3次元を2次元に落とし込むもの。「どうやって2次元化するか」を考える際、ファインダー内の景色に立体感があった方が絞りの選択をしやすいのです。
更にピントピークも見やすいので、フォーカシングもやり易く感じます。
では実際にMFでのピントの正確さを三本勝負で見てみましょう。
使用レンズはEF85mm F1.2L Ⅱ USMとAF-S NIKKOR 85mm F1.4Gの2本。両レンズともf1.4での計測、EOS 6D MarkⅡ側はファインダープレビューを利用し、1.4での被写界深度で追い込みしています。また、どちらの機種も三脚に固定し、露出トライアングルは同数に合わせました。
一度撮影したら無限遠に戻し、再度MFし直すようにしています。
以下は視力0.7の筆者が行った結果です。
(本来であれば解放f値の同じ同世代のレンズで比較するのがフェアなのですが…。今回どうしてもご用意できませんでした。)
まずはEOS 6D MarkⅡから。
ヒット率はまあまあといったところでしょうか。
では、D780です。
明らかに違いがありますね。やはりマニュアルフォーカスレンズを使用するならD780の方がやり易いです。
こちらは、ある意味一眼レフが一番苦手な「大口径レンズ絞り開放の近接撮影におけるAF」の比較です。
一眼レフのAFは、基本的に手前のものに引っ張られます。特にオートエリアを選択せず、ご自身にて撮影ポイントを指定した場合はそれが顕著です。(オートエリアAFは、シャッターボタン半押しのたびピントを合わせる被写体を選び直す傾向があるため)
これの怖いところは、「自分がピント合わせをしたいところに確実に四角を合わせたのに手前のものに引っ張られる」可能性がある事。
レフ機での撮影で、一枚撮るたびに液晶モニターを確認してしまう原因の一つと言えるでしょう。この対策として、キヤノンは一点AFよりも更に狭範囲の測距を行うスポットAFを搭載しましたが、さてニコンはどうでしょうか。
まずはD780から。周辺部の測距点を利用しましたが何のその。バッチリ合焦しています。
ちなみにもちろん6Dも涼しい顔。堪りませんね。
ところが、部屋の照度を落とすと結果は変わります。
まずはEOS 6D MarkⅡです。サーチングの果てにデフォーカスとなってしまいました。
でもD780はちゃんと合焦します。素晴らしいですね!
この時の実際の部屋の明るさはこちら。
ちなみに、EOS 6D MarkⅡも中央の測距点を利用すると…
若干前ピンですが、ちゃんと合焦しました。
D780はニコンの一眼レフとして初めてEXPEED6を採用し、驚異の-7EV(ローライトAF時)までの暗さに対応しています。
対するEOS 6D MarkⅡは-2.5EVまで。スペックだけで見ると、やはりD780には敵いません。実際にはどうなのでしょうか。
部屋を暗くし、実験してみます。
実際の照度はこちら。私の眼にはほぼ何も見えません。三脚に固定したカメラを倒さないか不安になります。
ではまずEOS 6D MarkⅡから。大デフォーカスです。
そしてD780です。
時間はかかりましたがちゃんと合焦しています!このサーチング能力は驚異的という他ありません。まるで暗視カメラのようです。正直なところ、目を疑いました。私の十年間のカメラライフの中で一番の驚きです。
ちなみにこちら、EOS 6D MarkⅡの結果と明るさが違いますが、これはズルをしているのではありません…!
(お恥ずかしい話ですが、「どうせ合焦しないだろう」と思っていたので、最初の一枚はEOS 6D MarkⅡと同じ露出にしていました。ですがちゃんと合焦しましたので、ピント位置を見やすくするために改めて明るく撮り直しています。)
両機種ともISO 1600、SS 1/1600、f 1.4で撮影し、Adobe photoshop Elements7.0の「シャドウを明るく」を50%適用した状態です。
昨今のフルサイズカメラは高感度画質・ダイナミックレンジの向上が著しいですが、それを象徴するような結果となりました。
まずはD780から。
一枚目は実際のデータです。
こちらがシャドウを持ち上げた状態です。
なかなかよく粘っていますね。
ではEOS 6D MarkⅡです。
一枚目は実際のデータです。
こちらがシャドウを持ち上げた状態です。
EOS 6D MarkⅡはバンディングノイズが派手に出てしまいました。
ですが発売時期を鑑みると、よく健闘していると思います。
最後は実写での違いをご覧いただきましょう。
色味の違い、グラデーションの違い、抜けの違い…。
見比べると両メーカーの考え方の違いが見えるようで面白いですね。
両機種とも露出トライアングルは一緒にし、D780はピクチャーコントロールを「オート」に、アクティブD-ライティングを「標準」にしました。
EOS 6D MarkⅡはピクチャースタイルを「オート」に、オートライティングオプティマイザを「標準」にしてあります。
まずはEOS 6D MarkⅡです。
そしてD780です。
白の精度はD780の方が良いですが、空はマゼンダがかっています。
また、建物の影部はD780の方が持ち上がっていますね。
どんどん行きましょう!!
EOS 6D MarkⅡです。
D780です。
こうしてみると、やはりニコンはこってり目な色味なのだと感じます。
特に違いが解りやすいのは青空。状況にもよりますが、ニコンは「水色の空」が出るんです。
キヤノンはどうしても「青空」になりますので、色映えするのはニコンでしょう。
EOS 6D MarkⅡです。
D780です。
この二枚の比較も興味深いですね。
D780は柵が黄色味を帯びてしまいました。見た目に近いのはEOS 6D MarkⅡの方です。
ですが柵の奥にある草や木の幹はD780の方が自然です。EOS 6D MarkⅡは少し赤すぎるかもしれません。
そして写真上部に少し映り込んだ空は、やっぱりニコンの方が濃い。
ただこれはどちらが良いかというより、好みの問題かもしれません。
EOS 6D MarkⅡ。
D780です。
これは解りやすい!
白トビ耐性に大きな差があります。
D780は、ドア真ん中の白いシートから透けて見えるドアの桟がちゃんと真ん中まで写りました。窓側もしかりです。
しかし、EOS 6D MarkⅡはなだらかに白トビして行くので、上品さがあります。(これにはレンズも多分に影響しています)
今回の比較で、いろいろなことを試しましたが…。
やはり発売時期の違いは大きく響いたと感じます。
EOS 6D MarkⅡはよく健闘していますが、高感度ノイズやダイナミックレンジの比較は厳しい戦いとなりました。
対するD780は、シャッターボタンを押してからミラーが上がり始めるまでのラグの少なさ、動き出したミラーの加速感、そしてシャッターを切った時の剛性感など…。
感性領域にまで踏み込んだ高性能が、楽しさを演出する良いカメラでした。
最後になりましたが、2020年もまだまだ一眼レフから目が離せません。両社フラグシップのD6と1DX markⅢも非常に楽しみです!
皆様も素敵なカメラライフを!!