【etc】さらば『一眼レフ』 、今までありがとう
NikonSONYSONY G Master/G lensα7R IIα7R IIIα9III 120コマ/秒対応スタッフおすすめ機材
時の流れとともに、機械は進化してゆきます。
カセットテープがipodになり、やがてスマートフォンになった様に…。
これをカメラで例えれば、レンジファインダーカメラ→一眼レフカメラ→ミラーレスカメラとなるのでしょうか。
一つの時代を築いた物が、次の世代を駆けるものへ
バトンを渡してゆく。
これはひとえに人類の進化でもありますが、同時に「旧世代の物は、「性能」においては新世代の物に超えられてしまった」という寂しい現実をも突きつけます。
それは一眼レフも同じ。
つい先日までは電池持ちや動体撮影において一日の長がありましたが、ミラーレス機のEVFやバッテリーの進化でこれも過去の話になってしまいました。
今回の記事では、一眼レフカメラが好きで好きで仕方がない筆者が、どうしてミラーレス機をお薦めするのかを綴ります。
①こだわるほどAF性能に開きが出てしまうから
一眼レフのAFは既に完成の域に達しており、通常の撮影で問題が出る事はまずありません。
(Image à la Sauvette #1より。使用カメラはNikon D4S)
このような素晴らしいショットも、腕次第で勿論撮れます。
ではどういった時にミラーレス機との差が出るのかというと、大口径(f1.2~f2クラス)レンズを絞り開放付近の近接撮影で使用、かつ中央以外のAFポイントを選択し、
・沢山の物が密集している被写体の「手前から〇個目にピントを合わせたい」(例:花)というようなシーン
・人やプラモデル、フィギュアの目にピントを合わせたい時
(この写真はズームレンズのf5で撮影。人の目に合わせたはずがボードゲーム卓の奥側にピントが来ています)
・奥行きのあるものを斜めに撮って、一か所を際立たせたい時
(160の数字に合わせましたが、その奥のリムにピントが合っております)
上記の様な時には、高確率でピントを外します。(カメラの故障ではありません。AFメカニズムに起因します)
等倍で見なければ解らないことも多いのですが、やはり画質を楽しみたい時には等倍にしますので気になります。
解決法として中央一点AFで使えば、かなりの確率でジャスピンになるのですが、今度は構図が制限されます。
それではと周辺部のAFポイントを使うと、ピントがズレてしまいます。
この原因は、「一眼レフのAFセンサーは、中央以外は大体f5.6対応の物が付いている」からです。
これは何なのかというと、乱暴に言えば大口径(f1.2~f2クラス)な明るいレンズでは、「まあ、使えますよ」というようなもの。
(最も使われるであろう中央のセンサーはf2.8対応の物が奢られ、これは開放f値が2.8より明るいレンズでもなかなかの精度が出せるセンサー。なので、それ以外の周辺部のAFセンサーでは、大口径レンズで絞り開放付近を使えばピントが合わなくてある意味「当たり前」なのです。)
それ以前にそもそも「ピントを合わせたい被写体がAFポイントより外側」という場合も…
子供たちにピントを合わせたかったのですが、やむなくこうなりました。
AFロックを使用してカメラを振るとコサイン誤差が出ますので、ファインダーではジャスピンに出来ません。
更には、一眼レフは「基本的に手前の物にピントが引っ張られる」という特徴があります。これはAFモードをスポット一点にしていても同じ。「選択したポイントの近くに何かある」とそちらに引っ張られることがあります。
今までできなかった表現をしたくて、一眼レフ用に大口径単焦点レンズを導入した際には、ピントチェックを入念にするのがお勧めです。
因みにミラーレスカメラは、基本的にどの測距点でも(機種にもよりますが)ピントが合います。
②ミラーレス用レンズが非常に高画質だから
単純に設計が新しい事もありますが、フランジバック(カメラのマウント面からセンサーまでの距離)が短くなったことによる「光学設計の自由化」が効いています。
今までは「○○というレンズ配置(例:対称型を基にアレンジした配置)をしたいが、ミラーの駆動部分を残さねばならないから出来ない」と言うように、「ミラーがあること」が一種の制約になっていました。
特に広角レンズにおいて、その制限は開発者の方を悩ませていましたが、ミラーレス用レンズであれば自由に設計できます。
SONY α7RⅡ+FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM
その恩恵はすさまじく、高価なプロ用レンズだけでなく、普段使いに向いているカジュアルなレンズでもどんどん高画質になってきています。
これは非常に喜ばしい事です。
③電子シャッターによる無振動撮影や、ピクセルシフトマルチショット、ハイレゾショットなどの機能が魅力的だから
最近のミラーレスカメラには、画質に貢献する様々な機能が入っています。
その中でも魅力的なのが、マルチショット系の機能。
色情報の補完処理を無くし、画素数は据え置きで画から曖昧さを省くタイプと、画素数を増やす事が目的の2タイプがあります。
こちらの写真は前者のタイプ。
SONY α7RⅢ+Voigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical E-mount (4240万画素)
左端を等倍にしてみます。
あまりの美しさに、もはやため息しか出ませんね?
マルチショット撮影で得られる写真は、今まで見た事の無い世界を見せてくれるでしょう。
これまでにご紹介した理由以外にも、スマホとの連携強化やミラーが無い事による手振れの軽減、EVFによる「撮る前から答えが見れる」利便性など、ミラーレスの利点を上げればきりがありません。
以上の事より、筆者的にはこれからカメラを始める方にはミラーレス一眼がお勧めです。
以下、追伸
・・・
1900年代前半のまだレンジファインダーカメラが主流だったころ、「ファインダー内で撮れる範囲が直に見れ、ボケ量も解る一眼レフ」はまさに革命的な商品でした。
人々に驚きと喜びをもって迎えられた一眼レフは、自動露出の搭載⇒オートフォーカス機能の搭載⇒デジタル化と着実に進化を遂げてゆきます。
報道で、趣味で、仕事の道具で…。様々なシーンで縦横無尽に活躍し、人々に写真文化を根付かせてくれたのです。
その長い歴史には沢山のドラマがあり、特にαショックからEOS帝国の流れは筆者を熱くさせます。
2021年現在、第一線を譲りはしましたが、これからは誇り高き「趣味の道具」として続いていって欲しいと切に願ってやみません。(レンジファインダーカメラの様に…)
出来れば「大きな古時計」のおじいさんの様に、最期の時まで相棒の一眼レフと寄り添いたいものです。