【FUJIFILM】その瞬間にしかない雲を追って
目的地もなく、ただひたすら走っていた時期がありました。
― せっかく車があるのであれば、今までできなかったことをしたい ―
その一心で思いついたのが「朝焼けの富士山を近くで眺めること」です。
思い立ったが吉日。
早速行って撮影した写真がこちら。
日時は2017年4月13日5:33。
朝焼けの山頂に、そろそろ落ちてしまう月、
さらに白鳥がフレームインしてきてお気に入りの一枚です。
しかし、富士山を隠してしまっている厚めの雲が気になり、
もう一度リベンジしに行こうと、この度決意しました。
自宅から富士山が近くで見える山中湖までは約120㎞、
高速道路を走ると、空いていれば約2時間です。
しかし自分は下道で向かいました。
なぜなら運転が好きだから。
多くの人が選ばないマニュアル車、購入当初は
「楽しいのは最初だけで、すぐに面倒くさいと思ってしまうのではないか」
と不安でしたが、乗り続けて一度も後悔はしていません。
朝焼けの富士山を見逃すくらいなら早めに行こうと
家を出たのが深夜0時半、着いたのは深夜3時半でした。
途中、街灯も全くない真っ暗な山道を走ったり、
リアルサファリパークのように鹿に遭遇したりと
怖かったものの、無事に帰ってきた今となっては良い思い出です。
朝焼けどころか、この時間ではさすがに何も見えません。
肉眼ですら富士山の輪郭が見えるかどうか、というレベル。
しかし、この時間にも多くの人が三脚を立ててカメラを構えていました。
急遽、やったことないけれどバルブ撮影をやってみようという気持ちになり、
持ってきていた三脚でチャレンジすることに。
ケーブルレリーズもないのに。
しかし、前述のとおりほとんど見えないため
構図も決められなければカメラ側の設定もどうしていいかわかりません。
そしてなんとなく撮った一枚がこちらです。
若干の傾きとブレは自分の力不足ですが、
思いのほかいい感じに撮れてびっくりしました。
短い時間にもかかわらず、星が流れて見えることも驚きの一つ。
このあと何枚か撮りましたが、結局最初の一枚がお気に入りに。
まさにビギナーズラック。
時間が経って、綺麗な朝焼けの富士山が見えてきました。
快晴とまではいきませんでしたが、前回よりも雲は薄く、
富士山の全体を写すことができたのは目的どおりです。
しかし、どこか腑に落ちない。
過去の写真を見返してみました。
これといって特定のジャンルの撮影をしてきたわけではありませんが、
空を写したもの、とりわけ雲を入れたものが多かったことに気づきます。
過去に持っていたNikon D750で撮影したものです。
もはやどこかわかりませんが、2015年8月14日の空。
同じ日の法隆寺にて。
先ほどの写真も奈良のどこかだったのでしょう。
サッカーを観に静岡に行ったときの空。
日時は2017年8月26日の18:04。
その30分後の空。
2017年9月24日、京都駅前にて。
今まで見てきた中で、最も美しい空でした。
2017年12月21日、福岡県糸島市にて。
こちらはカメラ内RAW現像をしています。
そして、今回撮った別の一枚。
特に狙ったわけではなかったのですが、
雲がない右側を切って、雲がある左側を多く取るような
構図にしていました。
写真を始めたころから今に至るまで、
どうやら無意識のうちに雲を追っていたようです。
どれも狙って撮れるものではなく、二度と同じものがない偶然の賜物。
快晴にはない風情、美しさを感じずにはいられません。
そうして今日もまた、無意識に空を見上げている自分がいます。
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