クラシックレンズに移行したこの企画。今回はライカレンズの中でも歴史の長いエルマーに焦点を当てます。果たしてGFXと装着した際にどうなるか、楽しみです。
紹介の前にマウントアダプターとの使用による不具合はメーカー保証対象外となります。
そしてエルマーL35mm F3.5とL50mm F3.5等についてはLMリングを装着してもアダプター側で上手く固定ができず、使用できません。
使用にはGFX-L39スクリューマウントアダプタが必要との事。今回はMマウントのアダプターで使用できる範囲でのご紹介となります。
まずはMマウントで作られたエルマーM50mm F3.5。
この後からF2.8と一段明るくなります。しかしこのレンズもなかなか通好みの一本。繊細な線の中に力強さを感じる不思議な魅力に溢れたレンズ。
勿論デジタルボディでの沈胴はセンサー等に傷つけてしまう可能性もある為、控えて頂くようお願い致します。
無限遠側です。若干のケラレはあるものの、良好な結果。沈胴タイプのレンズなのでケラレが目立つかと思いましたが、とても優秀です。
続いて近接域です。見事に改善され多少はケラレますがそこまで気にならない程度になりました。意図的に周辺減光のように用いて印象的に撮影するのも良さそうです。
最短撮影距離周辺での撮影です。スッキリした描写と繊細さはやはりエルマー。
周辺の歪みも少なく良好です。レンズのコンディションも良いのかあまり曇り等の影響も見られません。最短撮影距離は1mです。
ピント部分を切り出してみました。多少の滲みは見られます。但しこのレンズが1954年に生まれたものだと思うと、驚いてしまいます。
開放値F3.5という部分もGFXで使用する場合は全く問題ありません。程良いシャープネスと芯のある描写は非常に使いやすい1本です。
50mmのMマウントレンズでGFXと併用されたい方にはおすすめの1本です。
続いて一段明るくなったエルマーM50mm F2.8。初期のタイプは最短撮影距離が1m。次の世代のモデルは0.7mと現行Mレンズと同様になります。鏡胴もF3.5とほぼ共通しており、クラシカルな外観です。
無限遠側です。F3.5に比べ本当に僅かですがケラレが大きくも見えます。しかしこの結果は良好です。レンズの大きさによるのか、構造の問題なのか、様々な要因が考えられますが十分実用範囲です。
続いて近接域です。F3.5と同様改善され、あまり気にならない程度までケラレが抑えられています。
エルマー50mm、なかなか侮れない結果です。
つづいて最短撮影距離周辺での撮影です。明るくなった事から周辺部分が少しフワっとしているようにも見えます。描写に関しては優劣というよりは好みの問題と感じます。
ピント部分を切り出してみました。先ほどのF3.5と比べると滲みや軟らかさがやや増しています。
勿論レンズ内コンディションの影響も考えられますが、妙味として考えたらF2.8も面白い描写です。決して緩い訳ではなく、GFXのセンサー性能によりピント部はしっかり芯が残っています。
ここから焦点距離も望遠域に。エルマーM90mm F4 初期型 固定鏡胴。非常にコンパクトな望遠レンズとしてF4という開放値ながらも隠れた人気の1本。
無限遠です。想定よりもケラレがやや大きめです。50mmでは良好な結果でしたが、望遠域になると少し厳しいところ。鏡胴が小さく、少し長い事等が影響しているかもしれません。
近接側です。無限遠の時とあまり大きな差がなく、改善は見られませんでした。
最短撮影距離周辺での撮影です。最短撮影距離1mですが、90mmとあって画像の通り。やはりケラレが目立つので、使用については限られた用途に絞られそうです。
ピント部分を切り出してみました。50mm同様にスッキリとした描写です。丁度F3.5と2.8の間のような描写に当たるかと思います。
ボケも誇張感が少なく、線も滲みや軟らかさが前に出すぎず自然な描写です。トリミング等で切り出し、ポートレート等で使用すると効果的と考えられます。
続いて沈胴タイプになったエルマーM90mm F4。造りの良さと重厚感が人気の1本。よく見ると本当にしっかり作られています。持った時の質感に思わず声が出てしまう程。
沈胴ギミックもダイナミックですが、デジタルで使用する際は沈胴ができないのでレンズを外して是非この操作感を味わっていただきたい程に美しい1本です。
無限遠です。こちらも固定鏡胴モデルとあまり大差はありません。
続いて近接側です。こちらも固定鏡胴モデルとあまり大差のない結果となりました。
最短撮影距離周辺での撮影。線の細さと立体感の表現がスッと入ってくる描写です。やはり周辺に明るいものを配置するとケラレが目立ちます。
ピント部分を切り出してみました。少しブレてしまっており申し訳ありません…レンズ内のコンディションによる影響なのか若干滲みと軟らかさが見られます。しかし線の細さや描写の傾向は今まで紹介したモデルとほぼ一貫している印象です。
焦点距離もついに135mmに。エルマーM135mm F4です。改めて検証予定のヘクトール M135mm F4.5から進化したこのレンズ。
コストパフォーマンスが高く、写りもしっかりライカの写り。手軽に味わえる望遠ライカレンズとして人気のある一本。
無限遠側です。90mmと比べると良好な結果です。
近接側です。無限遠時とあまり大きな差は見られません。
最短撮影距離周辺での撮影です。
ピント部分を切り出してみました。ヌケも良くシャープな線です。質感表現も素晴らしく、多少トリミングしてでも使いたい程に艶があります。
F4という開放値は中判でマクロレンズ等でよく用いられていると考えると、相性も非常に良いレンズです。
最後はこちら、テレエルマーM135mm F4です。円錐形のような鏡胴デザインが印象強いこのレンズ。先述のエルマーM135mm F4の発展型レンズです。前期/後期で鏡胴のデザインも変わります。今回はやはり初期型。
無限遠側での撮影。先代のエルマー135mmよりもケラレは改善されています。実用にも十分です。
近接側での撮影。面白い事に本来は近接側でケラレが改善される傾向が殆どですが、こちらは正反対の傾向で無限遠側だと改善され、近接側でケラレが大きくなっています。
最短撮影距離周辺での撮影です。
ピント部分を切り出してみました。レンズ内のコンディションの影響なのかエルマーM135mmよりは若干軟らかめです。しかし線の出方や艶っぽさ等は先代からしっかり引き継がれているのが見て分かります。
歴史が長い為、大ボリュームとなりましたがGFXとの相性というポイント以外にも、エルマーというレンズがどの世代でも焦点距離が違えど描写の傾向が一貫している事が発見でき筆者も大変勉強になりました。
ライカレンズとしてどのモデルもお求めやすくなっている為、この機会にエルマーの世界にハマるのもオススメできます。次回もご期待ください!