【FUJIFILM】標準&広角でコンパクトに愉しむラージフォーマット、GFX 100S
今から35年以上昔の話。
学生時代、写真部に所属していました。愛機は、勿論フィルムカメラ。
一眼レフ機と単焦点レンズ数本をバッグに入れ、あちこちを旅しました。
主に標準50mmと広角28mmの組み合わせが私の主力でした。
それをカバーするズームレンズもありましたが、貧乏学生ゆえ廉価版のもの。画質はお世辞にも褒められたものではなく、作品作りとなると結局単焦点レンズに頼っていました。
時代は移り、レンズ性能も格段に進歩の道を歩み…
今やよほどのエントリーモデルでなければ、ズームレンズでも十二分な画質が得られるようになりました。
私自身、家族と一緒の旅行ではミラーレス一眼機に標準ズームレンズの組み合わせが常になりました。
…とはいっても、なんか疼くんです。どうにも満たされない思いが…
単焦点レンズをとっかえひっかえしながら被写体を追い求めていた頃が、どうにも懐かしくて…
そこで今回手にしたのは、FUJIFILM GFX 100S にフジノン GF63mm F2.8 R WR と、フジノン GF30mm F3.5 R WR の組み合わせ。
ボディは、1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載。それでいながら質量約900gと、35mm判ハイエンド機と大差ない大きさにまとまっています。
先日、次世代モデルGFX 100S II が発売になり話題となっていますが、より高度な撮影を求めないのであればGFX 100S でも十二分な性能を持ち合わせています。
逆に次世代モデルが出たこともあり、このブログ掲載時において、新品価格は70万円を切るお値段。かつ下取交換を利用すれば、なんと15万円のお値引きが入るという超お手頃モデルに。
また中古在庫も豊富になり、こちらもお買い得な価格帯になっていて、まさに今一番狙い目の機体と言えます。
フジノン GF63mm F2.8 R WR は、35mm判換算で約50mm。王道の標準レンズです。
質量も約405gと軽量コンパクト。GFX 100S に装着した時の取り回しの良さは、35mm判カメラに引けを取りません。
今回コンビを組むフジノン GF30mm F3.5 R WR も質量約510gという軽量モデル。
35mm判換算で24mm相当の広角レンズです。
広角側は28mmよりさらに広くなりますが、それでも学生時代の主力コンビを思わせる組み合わせに、撮影欲も沸々と湧き上がります。
今回は妻を家に残し、単身撮影に繰り出すことに。
不満を持つかと思いきや、なぜか快く送り出してくれたことに、逆に一抹の寂しさは感じましたが…
向かった先は、お台場。ここから水上バスに乗り、浅草までゆったり船旅を満喫しながら撮影を楽しもうという算段です。
実はつい半月ほど前に、少し短い竹芝から浅草までのコースを妻と水上バスに乗っています。
夏真っ盛りの暑さでしたが、肌に当たる風は心地よく楽しいひと時を過ごしたのですが…
妻が今回あっさり引き下がったのは、きっと前回もう十分船旅を堪能したからでしょう。それとも、その時も私が撮影に夢中になりすぎて、あまり妻の相手をしなかったからか…
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF63mm F2.8 R WR
お台場の水上バス乗り場に向かう途中、高台からの撮影。左下が船着き場です。
1億画素の緻密さは言うまでもなく… 橋の細部、その奥の建造物に書かれた名称までハッキリ見て取れます。
標準50mm相当ですが、遠景まで細密に描写されたせいか、遠近が圧縮されて感じられます。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF30mm F3.5 R WR
下に降り、GF30mmで。
ご覧のような快晴の空の下ですが、画面四隅も十分な光量を持っています。
解像力もかなりのもの。画面中央に先に出た水上バスが写っていますが、船上だけでなく船内の混み具合もよく分かります。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF30mm F3.5 R WR
フィルムシミュレーションをACROSモードに切り替えて。
モノクロにした時、絞り優先AEで露出をカメラ任せにすると若干明るめに感じられたので、-1/3段の補正をかけました。
撮影後、背面の液晶画面に映し出される画像でもグラデーションの豊かさは十分に判別でき、写真部時代を思い出させてくれます。(といっても、暗室作業でこれだけの色を出すには、かなり覆い焼きを駆使しなくてはなりませんが…)
俄然、撮影欲が高まってきました。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF30mm F3.5 R WR
岸辺には、オブジェとして船の錨やチェーンが置かれていました。
絞り開放で。遠景はボケ過ぎることなく、ほどよく形を残してくれました。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF30mm F3.5 R WR
合焦面の描写の細密さも相まって、その浮き上がり具合は画面から飛び出してくるようです。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF63mm F2.8 R WR
絞り開放で。少し離れた距離で、開放ながら背景もそれほどボケていません。それでもピントを合わせた電灯近辺は舞台のような感じに。
電灯が灯った夕方や夜などは、さぞや雰囲気のある情景になることでしょう。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF63mm F2.8 R WR
お昼前の船に乗船することにし、桟橋で待っていると隣の桟橋に浅草からやってきた別会社の船が。有名なアレです。
船上デッキも船内も外国人と思しきお客さんで混んでいるようでした。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF63mm F2.8 R WR
すぐにこちらも船がやってきました。…意外と少ない。
乗り込む人も少なく、私を含め10名程度。船上デッキに上がったのは私が一番乗りでした。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF30mm F3.5 R WR
レインボーブリッジの下をくぐります。ここはやっぱり30mm。より迫力を出したくてACROSモードで。
船は竹芝へ。ここでも数名が乗船しましたが、混んだ感じはせず。
ここからは数々の橋をくぐりながら隅田川を上ります。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF30mm F3.5 R WR
岸には高層マンションが立ち並んでいました。いわゆるウォーターフロントというやつです。
竹芝を同じタイミングで出港した別会社の船が追い抜いていきました。結構混んでいる模様。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF30mm F3.5 R WR
デッキ後ろの方では外国の女性陣が座り込んでいました。これはこれで気持ちいいか…
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF30mm F3.5 R WR
途中橋げたの低いところでは、スタッフの指示に従い、全員しゃがみこみます。
本当立っていたら激突する高さ、それもかなりのスピードで通過するので迫力があります。
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF63mm F2.8 R WR
FUJIFILM GFX 100S + FUJINON GF30mm F3.5 R WR
そして浅草に到着。
全行程1時間ほどですが、感覚的にはあっという間でした。
気が付くと船に乗って以降は、ほとんどACROSモードで。
ウォーターフロントの建造物の重厚感・ドキュメント感を表現するのにモノクロが最適でした。
中判機といえどコンパクトフォルムのGFX 100Sと、同じく小振りで軽量の標準・広角レンズの組み合わせは本当に取り回しよく、頻繁にレンズ交換を繰り返しても全く苦になりませんでした。
おかげでここまでの撮影でバッテリー1つが空に…
予備バッテリーに入れ替えて、浅草の散策に向かうこととします。