【FUJIFILM】私の「わがまま」に応えてくれるレンズ、XF16-55mmF2.8R LM WR。
「もしもレンズを1本しか持てないのなら。」
カメラを愛する人間が一度は考えるであろう妄想。1本しかレンズを持つことが許されない、もしそんな世界が訪れてしまったら。
もちろんそんな世界は訪れてほしくありませんが、私なら、口では標準単焦点と言いつつ、実際に選ぶのはこのレンズだと思います。
FUJIFILMのズームレンズ、「XF 16-55mm F2.8 R LM WR」です。
今回はFUJIFILMの「X-H1」と共に様々な場所へ繰り出した思い出を振り返ってみます。
まずは山の中へ。バスを降りてからおよそ2時間のトレッキングコースです。
舗装された道とはいえ夏真っ盛りの山中を歩くのは想像以上に体力を奪われます。
さらに重いカメラを荷物に増やすのは遠慮したいような状況ですが、このレンズはスペックの割に軽量。
この大きさでF2.8通しを実現しているのは、APS-C専用設計であるXマウントだからこそです。
Xマウントのラインナップはどうしても単焦点レンズに目が行きがちですが、ズームレンズでも単焦点並みの優れたレンズ性能は健在です。
そしてFUJIFILMの強みである豊かな色彩表現も生かせます。
こちらの2枚はVelviaを使用。空の青と木々の緑が夏の力強さを感じさせます。
帰り道、田んぼでは稲刈りの真っ最中。APS-CでもF2.8の明るさがあればボケを活かして被写体を浮き上がらせるような撮影が可能です。前ボケ・後ボケともに綺麗に出ています。
シャッタースピードは1/6秒、手持ちで撮影しました。
このレンズには手ブレ補正が入っていません。もし手ブレ補正を使用した撮影がしたいのであれば、ボディ内手ブレ補正を搭載した機種と組み合わせるのがいいでしょう。
今度は海へと向かいました。台風が襲来した直後でテクスチャが多い画面ですが、上手く描いています。
海で撮影をする際に気になるのは、海水がカメラやレンズに与える影響だと思いますが、このレンズは防塵防滴性能も有しているので、過酷な環境でも安心して撮影が可能です。
夜はF2.8通しズームレンズの本領が発揮される瞬間。現代の海の安全を守る灯台と、かつて航海士が目印にした北極星を画面に収めました。海の近くということで光源はほとんど灯台から発される光のみですが、F2.8の明るさがあれば問題ありません。灯台から放たれた光の光跡まで写しています。
今度は動体撮影に挑戦してみました。餌を狙うユリカモメの動きは素早く、手のひらに置いた餌はあっという間になくなってしまいます。ユリカモメは動きを止めてくれませんが、それならば我々がカメラでその動きを捉えましょう。レンズに搭載されたリニアモーターとボディの被写体認識の優秀さを組み合わせればお手の物です。
非球面レンズを3枚使用した贅沢な光学系ですが、ボケもきれいに出ています。
もちろん家から出なくてもシャッターチャンスはたくさんあります。写真1枚だけで朝の光であることが分かるレンズの表現力。FUJIFILMの色をこの描写で、しかも便利なズームレンズで楽しめる。嬉しい限りです。
そしてレンズを所有する上では、レンズそのものの質感も重要なポイントです。このレンズは限られたレンズにのみつけられたレッドバッジを冠し、絞りのクリック感一つとっても高級感が伝わってきます。
これさえあれば何もいらない。そう思えるレンズは一握りですが、このレンズは私の撮りたいものすべてを、私の想像を超えた表現力で写真に収めてくれます。
ズームレンズ派の方はもちろん、単焦点レンズ派の方も、Xマウントユーザーの方は是非一度お試しいただきたい1本です。