連載中の「カメラを愉しむvol.54」は、『FUJIFILM 開放F1.2で撮る春の訪れ』をご紹介します。純正のフジノンレンズの素晴らしい描写性能や表現力が大好きな私ですが、時々じゃじゃ馬なレンズが使いたくなる時があります。
そんな気分の時に決まって持ち出すレンズは「七工匠 7Artisans 35mm F1.2」。同じF値で撮影してもその距離感によってさまざまな表現をしてくれるのが実に面白いのです。
購入した時は「うまく撮れない・・・」「買ったけど売ってしまおうか」などと考えるほどクセが強く手こずっていましたが、慣れてくると手放せなくなるレンズである事が徐々にわかってきました。
さぁ、早速ポカポカ陽気に誘われ杉並区にある和田堀公園を歩きます。
さっそく強いクセが。光の加減や距離感によってソフトフォーカスレンズの様な独特な描写をしてくれます。
とおもえば順光になると実にメリハリのあるスナップレンズに早変わり!
七工匠のレンズは一通り購入しましたが、色ノリはラインナップの中でもあっさりした味付けになっています。そのためシーンによっては「カラー+2」に設定して好みの色を探りながら撮影をしています。
少し休憩しましょう。こちらはF5.6まで絞り込み撮影をしています。開放ではピントが浅くチャーシューの先端だけにピントが合い、他は滲んだ様なボケになります。
続いて庭園をイメージしたカフェに移動。絵本の中の世界に来たのではないかと錯覚する空間でとても不思議な気持ちになります。
店内には大きな水槽が!普通のカフェであれば、色鮮やかで可愛らしい熱帯魚が泳いでいることでしょう。こちらのカフェでは巨大なプレコが水槽の中を泳いでいます。
面白い木の枝を表現するために、モノクロに設定して撮影しました。コカ・コーラのベンチともたれかかるシャッターがとても良い演出になっています。
行くたびに風景が変わる渋谷。そんな小さな変化を撮り貯めておきたいですね。
巷で流行っている「マット」塗装。ライカで言えば、ブラックペイントやブラッククロームなどといった質感コダワリと通づるものがあります。
8時までのシンデレラ。とでもいいましょうか、以前なら眠らない飲み屋街でしたが今は意外と早くに眠ってしまいます。私はお酒を飲まないので、飲んでしあわせそうな顔をしている方たちを見るとこちらまで幸せな気持ちになります。
このレンズの癖を活かすならぜひ夜に持ち出してみてください。このレンズにしか撮影できない素晴らしい世界が待っています。シャッターを切る手が止まらなくなるのでぜひ一度。