
【FUJIFILM】GFX100RFと春の海
春のある日のこと。「GFX 100RF」をお借りする機会に恵まれた筆者は、どこに撮りに行こうか悩んでいました。都市部のスナップか、はたまた雄大な自然の風景を撮影しようか。
そういえば、冬が明けてからまだ一度も海沿いに行っていない。そうだ、海へ行こう。
今回使用したカメラは、2025年4月10日(木)にFUJIFILMから発売予定の「GFX 100RF」です。GFXシリーズとしては初めてコンパクトデジタルカメラとして開発され、1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載しながら、735gという驚異的な軽さを実現した、中判使いなら誰もが夢見たカメラです。
同じFUJIFILMの「X100」シリーズからインスパイアされたデザイン、切削加工によって作成されたアルミ製の美しい金属外装、同社としては初となる「アスペクト比切換ダイヤル」の搭載など、新しい試みも盛り込まれたこのカメラ。触るまで想像のつかなかった使用感や、筆者の所感などをお伝えできればと思います。
目的地に着いて早々に上空をトンビが飛んでいたので、ダメもとで撮ってみたこの一枚。物は試しとクロップしてみると…
恐るべし、1億2百万画素。正直ここまで解像するとは思ってもみませんでした。
ここまでのクロップは常用にはオススメはしませんが、換算28mm相当のレンズ固定で悩まれている方には、レンズの焦点距離はあって無いものだと申し上げたいです。
何より驚きなのは、これだけの描写をするカメラが両手に収まるサイズであるということ。時代の進化を感じました。
道路から砂浜へ降りてきて、歩みを進めます。広大な浜辺の景色を収めるため、アスペクト比を65:24で撮影。先ほどのトンビの写真でも使用しましたが、28mm相当の画角と非常に相性が良く、画角の整理のしやすさから終始多用することとなりました。
この日は風が強く、ウインドサーフィンを楽しむ方が多くいらっしゃいました。砂浜で帆を張り、海に向かう途中のサーファーを捉えました。ラージフォーマットセンサーが画面端から端まで、風景を余すところなく描いてくれています。
漁港からどこかに向かう漁師の方。船での作業着姿のまま、バイクを駆る後ろ姿が絵になります。
「GFX 100RF」はやはりスナップ撮影に向いたカメラでした。普段から筆者は「X-Pro3」を愛用していますが、サイズ感や操作系が似ているところもあり、初めて使ったとは思えないような手に馴染む感覚がありました。
しかし一点だけ、明確に違う箇所がありました。シャッター音です。「GFX 100RF」はレンズシャッターを採用しており、シャッターの反動による手ブレの抑制や静音性といったメリットがあります。耳を澄ましてようやく小さな音が聞こえるくらいには静かなシャッター音であり、屋外での撮影ではまず気付かないほど。筆者も最初の方は気づかず、シャッターが切れていたか確認してしまいました。
江ノ電の車窓から海を眺める人々。このシーンでカメラを構えたことがある方なら分かるかもしれませんが、海側に露出を合わせると人物はほとんど黒く潰れてしまうシチュエーションなのです。現像の際にシャドウを持ち上げてみると、隠れていた人物がしっかりと現れてきました。
スナップ向けのカメラには苦手な明暗差のあるシーンでも、これだけ余裕を持った写真が撮れてしまうのは、ラージフォーマットセンサーと小型軽量ボディを両立した「GFX 100RF」ならではと言えるでしょう。
お昼に立ち寄ったカフェで小休憩です。ここではアスペクト比を1:1で撮影。
換算28mm F4のレンズはテーブルフォトもお手のものです。特にコーヒーのクレマの一粒一粒が解像しているのは、撮影時には気づかず、帰って現像する段階で気がつきました。
海沿いから離れ、神社仏閣巡りに繰り出します。ここではモノクロームとアスペクト比3:4を駆使して撮影してみました。被写体の持つ柔らかさや力強さが上手く表現できたのではないでしょうか。
今回掲載した写真は、明暗差のある被写体以外は全てJPEG撮って出しです。普段から使用してるフィルムシミュレーションのはずなのに、ラージフォーマット特有のダイナミックレンジの広さが表現にさらなる深みを持たせていると感じました。
個人的に気に入った1枚です。普段は撮影時に気にしていなかったアスペクト比ですが、ダイヤルがあることによって、撮影時から被写体をどう切り取るかの選択肢に自然と入り込んできました。
境内に咲いた桜を、クロップやアスペクト比を駆使して色々なカットを撮った中での1枚です。筆者は終始横長写真に没頭してしまいましたが、撮影者によって様々な表現が可能なこのカメラ、まだまだ奥が深そうです。
夕暮れ時、曇り空の広がる海辺に戻ってきました。カラーはクラシックネガ、モノクロはAcrosを使用しています。
砂浜を散歩している親子でしょうか。砂いじりに夢中で一人ぽつんとなっています。
一日を通して「GFX 100RF」を使用した所感ですが、最初は中判センサーを活かした写真を撮ろうと意気込んで撮影していました。しかし時間が経つにつれ、デジタルテレコンやアスペクト比ダイヤルを駆使しているうちに、センサーサイズの概念を良い意味で忘れることができたかと思います。
「このカメラだからこう撮ろう」ではなく「このカメラで出来ることは何だろう」という自分への問いが、作品に幅を持たせてくれました。ほかのカメラではたどり着けなかった考えかもしれません。
最後に、海辺で思い思いに過ごす人々のスナップでお別れです。
コンデジという枠に収まらない、写真を撮るということを今一度深く考えさせられた、そんなカメラでした。
▼2025年4月10日発売予定です!現在ご予約を承っております。 ▼