3月に発売された新製品X-E4と多くの写真愛好者から支持されるライカのMマウントレンズをマウントアダプターで組み合わせ、多種多彩なフィルムシミュレーションを使用してクラシックレンズの世界を覗きます。
フィルムカメラの時代から変わらない色再現へのこだわりを現代のデジタルへ受け継ぎ、多くの人に愛され支持され続けているフジフイルムのデジタルカメラ。今回登場したX-E4もそのこだわりや技術がしっかりと詰まっています。
特にフジフイルム独自で開発されたフィルムシミュレーションは「PROVIA」や「Velvia」、トレンドカラーの「クラシックネガ」など最新機種※では18色もの多彩なフィルムの色合いを堪能することができます。その80年以上に及ぶフィルム製造で培われた素晴らしい色づくりはクラシックレンズとの相性も抜群です。※2021年3月現在
Vol.3でご紹介するレンズはLeica Hektor L28mm F6.3です。
ライカ初の28mm広角レンズとして1935年に発売された歴史のある広角レンズです。
ライカL39レンズはL/Mリングを使用することで、ライカMマウントのアダプターに活用することができます。L/Mリングはとても薄く、L39マウントはスクリューのマウントなので、簡単に装着できます。フジフイルムXマウントのカメラにはサードパーティーのAFが使用できるマウントアダプターがFotodioxから出ており、マニュアルフォーカスに抵抗がありライカレンズを遠慮している方もこれでAFで楽しむことができます。
フジフイルムのカメラはX-E4はもちろんのこと、ほとんどのカメラはPHASE ONEがリリースしているCapture One に対応し、また対応ボディのフィルムシミュレーションの情報が入っております。
もちろんRAWで撮影することによって様々なフィルムシミュレーションを当てることができるため、同じ写真でも違う画作りを堪能することができます。
Capture OneのRAW現像でフィルムシミュレーションをあてて現像できることをご紹介しましたので、
今回はフィルムシミュレーションの違いによって出てくる、Leitz Hektor 28mmの表現の違いをご覧ください。
フィルムシミュレーション:PROVIA
まずはスタンダードのPROVIAです。フレアもあえて取り入れていますが、さくらの花びらを拡大してみてもしっかり描写をしてくれていました。
フィルムシミュレーション:Velvia
フジフイルムのビビッドといえば、フジフイルムユーザーは言わずと知れたVelviaです。
フレアも青い空も桜の花びらもすべてのコントラストが強調されとてもはっきりとした仕上がりになりました。
フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME
次の写真に行くまえにもう一つ、クラシッククロームもご覧ください。
現像段階で、クラシックネガとも迷いましたが、筆者の感触として左上の太陽の主張が少しうるさくなってしまう印象がありましたので、クラシッククロームを採用しました。
もちろんコントラストは抑えられていますが、青い空や桜の花びらそのものの色自体はしっかり残っており、全体の主張の強さは抑えられてながらも被写体自体の主張はしっかりとしています。
フィルムシミュレーション:ASTIA
ソフトな表現ならASTIAです。逆光で撮ると被写体の輪郭が協調されます。RAFで出てくる画自体のコントラストが強いので、PROVIAでもなかなか主張のある画で出てきますが、ASTIAで色はそのままにやわらかめにすることによってバランスを持たせることができます。
フィルムシミュレーション:Velvia
ASTIAと似ていますが、Velviaを採用することによってコントラストに振り切った画作りができます。
一枚目よりも明らかに太陽を画角に入れ開放で撮影しましたが、被写体の輪郭を拡大してみましたが、フリンジは特にみられませんでした。当時のレンズとはいえ驚きました。
フィルムシミュレーション:ETERNA/シネマ
フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME
鮮やかな桜の色はご覧頂きましたので、ノスタルジックな桜もご覧ください。
余談ですが、使用しているFotodioxのマウントアダプターはMFに設定しF32でシャッターを切るとAF稼働部分が全て前に繰り出されるので、クローズフォーカスアダプターとして使用することができ、レンズのピントリングを最短にすればレンズの表示よりもより近づいて撮影ができます。
皆様はETERNAとCHROMEのどちらがお好きでしょうか。
フィルムシミュレーション:CLASSIC NEGATIVE
フィルムシミュレーション:PRO Neg.Std
こちらはネガ比較です。
クラシックネガの方がより赤みが強いような印象があります。
同じネガでもクラシックとプロで違いが並べてみるとわかりやすいのもまた面白いです。
フィルムシミュレーション:モノクロ+Gフィルター
フィルムシミュレーション:モノクロ+Rフィルター
フィルムシミュレーション:モノクロ+Yeフィルター
モノクロには疎い筆者ですが、現像で見比べてみると僅かな変化も見つけることができます。モノクロとはいえどプラスするフィルターを変えることで空の色に差をつけることができ、RAW現像ならではの発見をすることができました。
PROVIAでもご覧ください。
フィルムシミュレーション:PROVIA
ここからは様々なフィルムシミュレーションをご覧ください。
フィルムシミュレーション:CLASSIC NEGATIVE
フィルムシミュレーション:PROVIA
フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
最後はETERNA比較をご覧ください。
フィルムシミュレーション:ETERNA BLEACH BYPASS
フィルムシミュレーション:ETERNA CINEMA
映画用撮影フィルムをシミュレートしたETERNAライン。
落ち着いた発色はどちらも共通していますが、銀残しをシミュレートしたBLEACH BYPASSはより締りのある画作りができます。
これからクラシックレンズに手を染めたいという方にも、お手元のレンズ資産をフジフイルムのカメラで復活させることにもおすすめです。純正レンズだけに留まらず、マウントアダプターを利用すれば楽しみ方は無限大に広がります。また、今回使用した電子マウントアダプターはAFとしてはもちろん、F値の設定でクローズフォーカスアダプターとして活用ができます。また、レンズ自体のピントリングを最短にしておけば接写でもAFが使えるなど、活用方法は様々です。
レンジファインダーのカメラを想像させる洗練されたデザインのX-E4と、豊富な種類を有するライカレンズを組み合わせたときの心が弾むような見た目も最高です。もちろん見た目だけではなく、実際に映し出される描写についても純粋に撮る楽しさを味わうことができます。
これからも本ブログを通して、さまざまなクラシックレンズを組み合わせてその魅力をお伝えしてまいります。
次回はどんなレンズが登場するでしょうか。乞うご期待!