【FUJIFILM】X-H1でエテルナを試す。
【FUJIFILM】X-H1でエテルナを試す
“Eternal(永遠なるもの)”を語源とする映画用フィルムがかつてありました。時代の流れか、フィルムは生産終了となり、それ以来このフィルムの持つ独特の発色・粒状性・階調バランスは、まさに語源通りに(永遠)に見られなくなると思われました。
しかし、エテルナは蘇りました。かつては映画用ということもあり、一般的には使われることのなかったエテルナが、フィルムシミュレーションとして、ミラーレスカメラに搭載され、一般ユーザーにも広く使えるようになったのです。
いずれ、この「エテルナ」を使用して、映像作品を作りたいと考える筆者は、まず手始めにスチルでテストをしてみようと思い立ちました。今回は「時の鐘と蔵のまち」川越を散策し、「エテルナ」の表現力を探って行きたいと思います。
街のシンボルともいえる「時の鐘」です。空を大きく入れ込み、ダイナミックな構図をとりました。シャドーからハイライトまで安定した階調バランスを持つエテルナのおかげで、どちらも破綻せずに表現できていると感じます。左手前の蔵の壁は一面真っ白で、かつ鐘楼向かって右側面のシャドーもあるというかなり意地悪な条件ですが、エテルナのトーンが両方をしっかりと表現してくれています。
座席の赤が良く発色されていると感じます。ビビッドになりすぎない表現が非常に好みです。手前のシャドーをもう少し持ち上げたいとも思いましたが、ハイコントラスト感が気に入ったのでそのままとしました。人力車のフレームの艶感が黒に沈むことなく良好に表現されていると感じます。
「単色しかない食べ物って美味しそうに撮れない!」と常々私は思うのですが、エテルナのトーンで撮影するとグッときました。単色の中にある細かい諧調の違いを表現できているからだと思います。基本広角16mmで撮り続けていたのですが、立体感を持たせたくこのカットは35mmを使用しました。
グレーや黒が多く、非常にモノトーンな被写体です。単調になりがちな気がしますが、軒下のシャドー部があることも相まって非常に立体感が感じられます。影の中に入ってしまっている暖簾もうっすらと浮かび上がって良く表現されています。
おみくじを結んだその影の出かたに非常に興味をそそられました。ハイライトが多少飛び気味ですが、満遍なく表現できているあたりがエテルナの優秀さを伺えます。
手前の被写体は単色、ボケた背景にカラフルなものがある構図。奥の色がうるさく感じることが多いのですが、フラットな表現でまとまりが良いと思いました。
看板に使われている木材の経年変化した佇まいが気に入りました。空のブルーも落ち着いた発色で、この街のトーンとも非常に相性が良いと感じました。
如何でしたでしょうか?ハイライトからシャドー部まで、広い諧調表現が得意なエテルナの特性を見ることができたかと思います。動画においてはLog撮影でグレーディング処理を施さないとできないような表現が撮って出しでも表現ができる。映画用フィルムを長く扱ってきたFUJIFILMならではの強みだと言えます。
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