妻「カメラ、何台持っていくんですか?」
私「う~ん、そうだなぁ…」
妻「………」
妻の提案で、毎年9月上旬の結婚記念日には近場のちょっといいホテルに一泊し祝うことにしています。
結婚記念日にまで食事の準備や片づけをしたくないという魂胆は明白ですが、勿論反論の余地はありません。
…で、今年、これまた妻の「葉山に行ってみたい!」という一言で無事目的地も決定し、準備の中での会話が上のようなもの。
言葉を濁してはいますが、すでにバッグの中には今回のお伴のカメラたちが。
久々の旅行ということもあり、撮る気満々の私のメインはローライフレックス 3.5F(プラナー)。妻よりも永く連れ添っている相棒です。
いわずと知れた二眼レフカメラの雄、ローライフレックス。
75mm F3.5の撮影レンズを搭載した3.5シリーズの最終モデルで、80mm F2.8のレンズを搭載した2.8Fと人気を二分する銘機。
2.8シリーズよりレンズが小振りなぶんボディバランスが良く、手の中にすっぽり収まる感じ。
また、レリーズの感触も軽く「カショッ」という控えめなシャッター音も、クラシカルなフォルムにふさわしく、お気に入りの一つです。
とはいえ、ブローニーフィルム1本で12枚の撮影。35mm判換算で約42mm相当の画角で、勿論レンズ交換不可。撮れる範囲も限られてきます。
昔はそれで十分だったのですが、今はやはりちょっと欲張りに… まぁ、連れもいますし、いろいろ撮っておきたいし…
というわけで、サブ機に現行のミラーレス一眼機を。…えぇ、あくまでサブ機です。
そして、そして、そのサブサブ機に使い込んだコンパクト系デジカメも…
主に連れの妻とのツーショット撮影に使うのですが、相棒のローライを撮影することもしばしば。過去のデータでは、妻よりもコマ数が多いかも…
とまぁ、最近撮影に出かけるときはこんな感じ。
そして、一泊旅行の着替えやら何やらの荷物よりも重いカメラバッグが出来上がります。
「二人の記念日なんですから、そんなにカメラ持っていかなくても… もっと身軽にできないんですか?」
…ごもっともです。
でも、あなたのバッグも、一泊にしてはかなり大振りな気が… いったい、何が入っているんだろう?
如何せん、旅行慣れしていない二人です。
思い返すのは、新婚旅行の時。
フィルムは重くなるし、飛行機搭乗時の検査に手間もかかるのでローライを持っていかないと告げると、
「なんで? せっかくの旅行なのに、お気に入りのカメラ持っていかないなんて。絶対後悔しちゃいますよ…」
と、心配そうに私を見上げた妻… 懐かしいなぁ…
あれから、何年… お互いに積み重ねるものがあり、今に至っています。
さて、記念日当日。
台風が来そうだ何やらで、天気予報がコロコロ変わり、その度に妻と一喜一憂していたのですが、幸いにして当日は晴天、そして暑い!
東京といっても、限りなく神奈川に近いところに居を構えているため、目的地の京浜急行線 逗子・葉山駅までは1時間とかかりません。
途中、横浜駅で乗り換えがてら、デパートでスパークリングワインなぞを買い込み、それでも昼よりかなり前に目的の駅に到着。さて、どうしましょう?
妻「葉山といったら、やっぱり葉山マリーナ見てみたいな。」
かしこまりました。
駅前からバスでびゅん、着いた。
おー、確かに高級そうなヨットがいっぱい並んでる。 …あ、でも近くへはオーナーさんしか行けないのね。施設のデッキから眺めるくらい…
行きたいというわりに、あまり目的地のことを調べない妻です…
まぁ、時間もいいし、ヨットを見ながらレストランで昼食を。
「何時ごろ出航しようか? いい風が吹くと良いけど…」なぞと、ちょっとオーナー気分を…
ROLLEIFLEX 3.5F 〈Carl Zeiss Planar 75mm F3.5〉 FUJIFILM PROVIA 100F (以下、同じ。)
遠くに江の島が。さらに遠くに富士山が… 見えたらいいんですが、さすがにもっと空気が澄んだ時期にならないと…
あ、そうそう、結婚記念日でした。
それでも何とか目を凝らして富士山を見たい妻、いや、無理だから…
マリーナを後にし、途中ビーチサンダルなどで有名な「げんべい商店」へ立ち寄り、そろってサンダルをゲット。
長者ヶ崎という岬近くにある、今日のお宿に到着しました。
ホテルのバルコニーからの風景。右に見える岬が「長者ヶ崎」です。
遠くに島影が… 大島?
まだまだ時間もあるし、買ったばかりのビーチサンダルに履き替えて、岬まで散策に出ました。
長者ヶ崎は相模湾に突き出した小さな岬で、「長者ヶ崎・大浜海水浴場」という海水浴場になっています。
9月上旬、まだまだ夏の日差しの午後、本来なら海水浴客などが大勢いて賑わっているのでしょうが、今年は…
この日も本当に人影はまばらで、小さな子を連れた家族連れが波打ち際で遊んでいるほかは、海上にウィンドサーフィンなどを楽しむ数人が見える程度。
夫はカメラ販売店に勤めていますが、妻はアイフォンオンリーです。そして、カメラいっぱい持ってる夫に呆れています…
沖の岩場に人影が… 気持ちよさそうです。
流木が波に洗われていました。波のタイミングに気を取られ、少し水平が傾いてしまいました。海辺の撮影の難しいところです。
これは何というんでしたっけ?
6×6のスクエアサイズで撮る海は、広がりには欠けますが、何か凝縮された世界があります。
浜辺には色とりどりのカヌー? カヤック? ……海の男には程遠い…
「見て!見て!」突然、妻が声を上げました。
「『もののけ姫』に出てくるアレみたい!」
あぁ、アレね。
私「…ちょっと、待って。…そのまま、いや、もうちょっと、こっち向けて!」
バッグから近接撮影用の「ローライナー1」を出し、カメラに装着。カメラとともに、妻の周りを前後左右に動いて構図を決め、ようやくシャッターを押したのが上の1枚。
よく考えたら、ミラーレス機で撮れば簡単なんですけどね… まぁ、そこは気分。
ちなみに、この時のスタイルは、首からローライを提げ、肩にはミラーレス機を、という状態。傍から見たらちょっと… えぇ、よくわかってます。
…って、そうそう、記念日でした。
妻の写真、ローライで何枚か撮りましたが、あとで現像から上がったのを見たら、全部後ろ姿でした…
最近ブログのことばかり考えてる… 職業病かしら…
左が「長者ヶ崎」。気が付くと、ずいぶん歩いてきてしまいました。
ホテルに戻り、足の砂も落とさなくては…
夕景をゆっくり鑑賞したかったのですが、夕食と重なってしまいました、残念…
翌朝、海岸はサーファーだらけ。朝の時間は、地元の方が多いようです。
手前はホテルから借りたシャンパングラス。えぇ、記念日でしたから…
朝食は、部屋のバルコニーで。暑かったし、トンビやカラスの襲撃の恐れもあったのですが、それでもリゾート感覚を味わいたくて…
のんびり支度をし、遅めのチェックアウト。その後は、美術館に行ったり、かき氷を食べたり…
特に計画を立てていず、正直時間を持てあました感もありましたが、まぁ、ちょっといいお宿に泊まりたいという妻の願望は叶えられましたので良しとしましょう。
これからも連れの妻と相棒のローライフレックスと、各地を廻ってみたいものです。