突然ですが、秋といえば何となく中判フィルムカメラを使いたくなる季節です。
秋の季語に「中判フィルムカメラ」を追加しても良いのではないかと思います。
さて、今回はFUJIFILMが誇る中判フィルムカメラGF670W Professionalを持ち出し、秋を感じに行ってみました。
GF670W Professional(以降GF670W)はGF670 Professional(以降GF670)のレンズを80mmから55mmに変更したモデルとなります。
GF670は蛇腹式のレンズでしたが、GF670Wでは固定式のレンズになりました。
中判レンジファインダー機の一角を担っており、Mamiya 6やMamiya 7、Plaubel makina67と並びは今でも高い人気を誇っています。
それでは写真に参ります。
フィルムはFUJIFILM PRO400Hをチョイス。クセが少なく使いやすいISO感度400のカラーネガフィルム、筆者のお気に入りです。
1本目のフィルムが巻き太りを起こしてしまい少し感光していましたが、これも味としてみる事とします。
GF670Wを初めて撮影に持ち出しましたが、レンズシャッターの静かなフィーリングに感動しました。
本当にシャッターを切ったのか分からないほど静かです。
そして右の木の幹から枝葉にかけてのシャープな描写、フジノンレンズ恐るべしです。
6×7判の55mmレンズは35mm判フィルムに換算すると27mm相当となり「W」の名に恥じないワイドなレンズです。
35mmレンズを多用する筆者にとっては27mmという画角は非常に広く感じましたが、普段よりも視野が広がり広角レンズの面白さを痛快しました
少し絞り、逆光にて。瑞々しい描写が堪りません。
シャッタースピードダイヤルをAにしておけば絞り優先オートで撮影できるためどんどん撮影が捗ります。
筆者はつい際限なく写真を撮ってしまうため、ある程度フィルムをマネジメントせねばと思いました。(6×7判は120フィルムで10枚撮り)
フィルムの巻き上げはキリキリと指で回すタイプです。節度のある良いクリック感がありとても快適です。
実はこのカメラ、6×7判と6×6判を切り替える事ができます。
せっかくなので一本取り切ったタイミングで6×6判に切り替えました。
フィルム交換は簡単で、スプールにフィルムをひっかけダイアルをくるくる回すだけと、ものの30秒程度でできてしまいます。
実のところ筆者、6×6判は今までほとんど使ったことがなく、横長の写真とは違った構図を撮る難しさ、面白さを知ることができました。
中判フィルムならではともいえる階調の良さ、透き通るような窓ガラスの透明感、とても綺麗な描写です。
古びた木造の建物、すきま風がありつつも日がさすと暖かい。撮影した時の情緒あふれる雰囲気を思い出します。
明暗の差があるシチュエーションでしたが、さすがは最新世代の中判フィルムカメラ、安心して露出を任せる事ができると感じました。
丸い照明の立体感、まるで浮き上がっているかの様です。もはやお団子の様に食べることができそうな質感です。
窓を照らす柔らかな光、青みがかった影がとても綺麗です。
2015年まで販売されていた機種であり、操作性や機能性に不満点はないと感じました。
必要十分な機能が備えられており、旅行にも散歩にも非常に使い勝手の良いカメラです。
27mmの画角をもっと体へ馴染ませることが出来ればさらに楽しく撮影できると感じました。
やはり広角域のレンズは奥が深いです。
実はよく目を凝らすと写真真ん中のあたりに連凧があがっています。
撮影していた時は凧がはっきりよく見えたように思えましたが、現像から戻ってきたものを眺めつつ、
何の写真だったかと目を凝らして、やっとその時のことを思い出しました。
デジタルでもフィルムでも撮影した写真をじっくり振り返るのは非常に意味がある事だと思っています。
さて、淡い空に溶け込む凧のように季節も知らぬ間に移ろいます。
体をいたわりつつ、ちょっとそこまで季節の移ろいを見に「Go To フォト」をしてみるのも面白いかもしれません。