【HASSELBLAD】907の通り道
HASSELBLAD 907X 50Cが発表された当初からずっと試してみたかったこと。
Leicaのレンズを付けて、お手軽中判散歩をすること。
鈍行の窓に打ち付ける雨粒も次第に弱まり、今日は丁度いい曇り具合。
誰に会うでもなく、話すでもなく。
お気に入りの音楽と、カメラと、私、3人編成で今日の道を往く。
◆今日のお伴
Leica Elmar 35mm F3.5
Leica Hektor 73mm F1.9
さて、まずはクロップなしでElmar 35mm F3.5を使用してみましたがこれがなかなか優秀。
ライカ判、つまり35mm判フルサイズ用のレンズですが鑑賞に耐える程にはカバーしているようです。
本来であれば見る事の出来ない、35mm判フルサイズの外側のイメージサークルの影響もあってか、
なんだかいつもより立体感を強く感じる写真になっている気がします。
四隅の歪み、露光落ちも丁度いい塩梅で、えぐみを感じる程ではありません。
中心部が引き立てられていて、ついつい日の丸構図を楽しんでしまいがち。
HASSELBLADといえば、135フィルムの横幅をふんだんに使った写真が撮れる「X Pan」というカメラがありました。
その縦横比は65:24、907Xにも備わっています。
(撮影中はクロップされて見えますが、パソコンに落とすとしっかり全画面写っていますのでトリミングが必要です)
今回は写真の大半をクロップして撮影してみました。
上の3枚はHektor 73mm F1.9。
どうやらこちらのレンズもある程度広い範囲をカバーしてくれるようです。
この比率では分かりにくいかと思いますのでクロップしていない画像もご覧ください。
四隅は暗く落ちてしまいますが、背景のゆがみも相まって全体の印象としては違和感がありません。
あるいはこんな写りを見続けているせいで見慣れてしまったのかもしれませんが。
どちらにせよパノラマ比率ではそんなに関係のないこと。
人間が横長の景色に感情動かされるのはどうしてなのでしょうか、ふと、答えを知りたくない疑問が芽生えます。
ううむ、これらのレンズとボディの組み合わせ、言葉にする必要すらないかも知れません。
ここまで余すことなくイメージサークルを堪能できるカメラの時代に生まれて良かったです。
ボディによる色付けは破綻することがほとんどなく、理想的な曇天を残すことができました。
むしろ晴天時は少しマゼンタに被ってしまうこともあったため、広いラチチュードを生かすという意味でも曇り空はベストな環境。
私が個人的にカメラに求めることは「快適な撮影行為」そのもの。
このカメラはまさに理想通り、撮影に没頭できる時間を確実に提供してくれました。
いい夕焼け。
学生時代を関西のある盆地で過ごした私にとっては、見上げた街並みの向こうに山があって欲しいのです。
・・・
さて、今日一日欠伸こそすれど一言も発さなかった口が寂しくなる頃。
プレイリストを1周半し、ワイヤレスイヤホンの充電が切れる頃。
電車の座席に身を埋めて帰路につきます。
907の通り道。
次は何処を歩こうやら。