【HASSELBLAD】907の通り道 2号線
HASSELBLAD 907X 50Cが発表された当初からずっと試してみたかったこと。
Vマウントフィルムボディにデジタルバックとして装着して使うこと。
快晴の空はウエストレベルファインダーのピント合わせにはもってこいの光量。
誰に会うでもなく、話すでもなく。
お気に入りの音楽と、カメラと、私、3人編成で今日の道を往く。
◆今日のお伴
HASSELBLAD 500C/M
HASSELBLAD Carl Zeiss Planar CF80mm F2.8
(今回のような約33×44mm中判センサーの場合は換算64mm相当で写ります)
意気揚々と題名から「907の〜」と口走ったものの、本来「HASSELBLAD 907X」はデジタルバックとXCDレンズを繋ぐ部分のこと。
今回はXCDレンズや他のレンズマウントとのアダプターを使用せず、デジタルバックCFV Ⅱ 50Cのみをフィルムボディに装着して撮影しています。
1977年以降、フォーカルプレーンシャッター搭載機に適合する形で製造されたCFレンズですがその写りはなかなかのもの。
ピント面は張った糸のように凛々しく、極上の滑らかさとは言わないまでも背景ボケが大きく歪むことはないようです。
流石に70年代以降のレンズとなると色乗りも意識され、過度なデジタル処理に頼らずともハキハキとした写真を写します。
フィルムボディにCFV Ⅱ 50Cを装着した外観はこんな感じです。
驚いたことに革の色、手触りや金属部分の光沢感に至るまでそっくり。
おそらく製造後の経過時間の差による多少の違いはあれど、このまま使い続ければ同じ様な質感になっていくように思わせます。
パッと目を向けただけでデジタルバックが付いているとは気づきません。
伝統あるメーカーのこだわりを感じます。
装着感という点に於いても問題なく、当時と同じロック機構で十分にホールドされて気にせず歩いても平気でした。
そういえばフィルムバックが外れるなんて経験もないので、大丈夫といえば大丈夫なのでしょう。
反射した空の色をご覧いただくとわかる通り、快晴の空は少し色が被り気味。
まあその癖こそがカメラ好きには堪らない点であることは皆様もきっとご存知の事実。
もちろん私もその例に漏れず。
・・・
多少の色被り以上に快晴の恩恵は大きく、なんといってもピント合わせがしやすいです。
今回のような組み合わせでは、訳あってLV(ライブビュー)ではなく従来通りフィルムボディでのピント合わせに頼る他になく、そうなった時の十分な光量は本当に助かります。また副産物として、覗いているスクリーンが驚くほど美しいということも忘れてはいけません。
ちなみにその“訳”というのは、常にバックシャッターが閉じている為に軽快なLV撮影ができないという点です。
それもそのはず、本来フィルムが入っている箇所に光が当たるのは撮影の瞬間だけで十分で、LVをするためにセンサーに光を当てる機能はもともと備わっていないからです。
(もしLV撮影をするのであれば、まずシャッターをB(バルブ)に設定してバックシャッターを開放、その間に液晶画面でLVを起動してピント合わせをします。その後一度シャッターを閉じて巻き上げ、最後に忘れずにLVも解除したらようやく任意のスピードと絞り値で撮影用のシャッターを切る…という流れになります。シビアなピント合わせには当然三脚が必須となります。)
しかし、ここもカメラ好きとしては堪らないポイント。
撮影までの工程が多いカメラは楽しい…と私は思うのですが、もしかしたら少数派なのかも。
中判センサーで楽しみたくなってしまうのは、そう、平面。
いい塀を見つけては何枚も撮影してしまいます。
写真を語るうえで聞き飽きるほどに聞いた言葉なので憚られますが…この質感、現実の其れを見ているようです。
前回はアスペクト比65:24の横長写真をたくさん掲載しましたが、フィルムボディでの使用時はクロップできないようです。
とはいえ、結局のところ後処理でトリミングする必要がある為今回も数枚だけ切ってみます。
なかなか狙ったところに来ないピントも、デジタルであれば何枚でも再挑戦ができます。
4枚撮ったうちの1枚がこのベストショット。
こうしてデジタルデータとしてお届けする画像も素晴らしいですが、じっくりピントを合わせながら覗き込むスクリーンも格別のもの。
できることなら皆様にもぜひ体感していただきたく思います。
何気ない小道もカメラを携え歩けば【私の通る道 1号線】
普段気づかなかった魅力をきっと発見できるはず。
907の通り道。
次は何処を歩こうやら。