
【HASSELBLAD】907の通り道 3号線
HASSELBLAD 907X 50Cが発表された当初からずっと試してみたかったこと。
Vマウントフィルムボディにデジタルバックとして装着して動画を撮ること。
小雨の降りしきる雲間を抜け、僅かに太陽が覗く池のある公園。
誰に会うでもなく、話すでもなく。
お気に入りの音楽と、カメラと、私、3人編成で今日の道を往く。
◆今日のお伴
HASSELBLAD 500C/M
HASSELBLAD Carl Zeiss Sonnar C150mm F4
(今回のような約33×44mm中判センサーの場合は換算120mm相当で写ります)
今回も前回同様、CFV Ⅱ 50Cとしての運用の為、題名の907X自体は使用していません。
動画撮影の際は常にセンサーに光を当てておく必要がある為、レンズ側はB(バルブ)で開きっぱなしにしておきます。
(レンズとCFV Ⅱ 50Cの間をアダプターで繋ぐ場合はレンズシャッターを使用する必要はありません)
生憎のお天気と120mmという、私はあまり使い慣れていない画角だったので不安でしたが、
やや望遠寄りの焦点距離のおかげで鑑賞に堪えうるくらいの大きさで野鳥撮影が出来ました。
辺りは住宅地が広がり、人々の往来で賑やかでしたが水面の彼らはお構いなし。
静かな時間が流れていました。
霧雨がちょうど止んだあたりで公園に到着したので、幸いにも降られることこそなかったものの光量はかなり少なめ。
ただ、そんな環境のおかげか、しっとりとした写真を残すことが出来ました。
さすがにウエストレベルでのピント合わせは難儀したので、今回のスチルは三脚使用のLV(ライブビュー)によるものも多いです。
レンズの写りは上々。
そもそも6×6用のイメージサークルを持つレンズを使用している為当然ですが、
画面周囲の滲みや線の歪みは小さく、完成度の高い1枚を的確に表現できたと思います。
色乗りも強い光で白んでしまうことなくどっしりと。
レンズとセンサーの共同作業で力強い色使いを感じさせます。
少し合わせるのが難しいピントも狙った所に来てくれさえすれば文句なしの写り。
レンズの描写の正確さもさることながら、繊細な厚みの被写界深度を壊すことなく受け止められるのも流石中判センサー。
合焦面から視線をシフトさせると気づかぬうちにボケに到達している様な、そんな滑らかさには驚かされるばかりですが、
しかし同時に、その滑らかさのせいでスクリーンに写るピント合わせが難しいのではないかと踏んでいます。
少なからず一端は担っているハズ…撮影者の技量が問われます。
水面に写る柳の枝葉。
綿を押し広げたような曇天から見下ろせば、この水面が存在していることを体が覚えています。
自然と池に足が向いたのもそんな潜在意識によるものかもしれません。
ピントが合っているようであっていない…けれども外れているわけでもない?
そんなゆらぎを作品として昇華させられるのも優秀なカメラがあってこその事。
美しい作品を作るばかりではなく、違和感を違和感のまま表現できる能力があるカメラが私は好きです。
今回の主役を担ってくれた野鳥たち。
小さなころはカワセミを見つけては「レアものだ!」とカメラ片手に駆けていましたが、
それから暫くして気づいたのは、カワセミは意外といろんなところに居て、行けば必ず会える存在なのだということ。
しかし…だからといってあの声を聞いた時はつい探してしまいますし、
ご覧の通り、釘付けにされてしまうのも変わっていません。
東京は紅葉と言うにはまだ遠く、色づきに抱いた淡い期待も早い段階で諦めへと切り替わりました。
ただ、それも裏を返せば機材を整える時間の猶予がまだ少し残されているという事。
少しこじつけが過ぎたでしょうか、いえ、実際私たちにとって紅葉シーズンとは年間でも実に大きな行事。
東京の山粧う季節はもうすぐそこまで来ていて、平野部の紅葉もあっという間。
ぜひ、このタイミングを逃さぬよう。
成果を眺めていると度々出てくる水面の反射。
気温も低く落ち着きつつあり、風に強く乱される時期が過ぎたことを知らせます。
久しぶりの冬物からは懐かしい匂い。
907の通り道。
次は何処を歩こうやら。