【HASSELBLAD】907X 50CでXPanレンズを使ってみる
タイトルの通りですが、筆者にはずっと気になっていることがありました。
それは、昨年発売された、HASSELBLAD 907X 50CでXPan/TXシリーズ用レンズを使用して撮影するとどうなるのか…ということ。
以前に横長写真同好会と称してご紹介した通り、横に長いフォーマットに熱中している筆者としてはぜひ試してみたかった組み合わせです。
夜も眠れぬ日々を過ごしていたのですが、機会に恵まれ少し前に実際に試すことができたのです。
はやる気持ちを抑えながらXPan/TXシリーズでおなじみの65:24の横長アスペクト比で撮影しました
HASSELBLAD XPanシリーズ、FUJIFILM TXシリーズは共通のマウントを持ったフィルムカメラです。
通常の35mm判モードに加え、フィルム2カット分を使いフル・パノラマ撮影を行うことができます。
35mm判フィルム2カット分をカバーしているというのは120フィルムにも相当するイメージサークルを持つことが予想されます。
今回使用する907Xはフルサイズセンサーよりも一回り大きなセンサーを搭載しており、
うまくいけば、非常にコンパクトながらもケラレの出ない組み合わせになるのではないかという予想の元にこの組み合わせの撮影を決行しました。
今回は使用感と撮影した写真をご覧に入れながら横長写真の世界へご紹介いたしましょう。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
今回ご紹介する写真は緊急事態宣言が発令される前撮影を行いました。
ロケーションは江の島、学生時代に友人と自転車を走らせ遊びに行った思い出があります。
今では考えられないほどの体力があったあの頃が懐かしく思います。
さて、描写についてですがコントラストは低めの印象で落ち着いた雰囲気を感じさせます。
普段使用しているGFXとは違った使用感に戸惑いながらもピント拡大やピーキング機能を使用してピントを合わせていきます。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
今回マウントアダプターはHASSELBLAD製のものを使用しました。
数本しかラインナップのないレンズにも互換性を与えてくれる心意気がすてきです。
さて、907XでXPanレンズを使用する際には主に2点設定が必要です。
1.メインメニュー→カメラ設定→露出設定ステップ→シャッター機能から電子シャッターをオンにします。
これをオンにしない限り画面は真っ暗のままになってしまいます。
2.メインメニュー→カメラ設定→クロップと回転→65:24(XPan)を選択します。
これにより65:24のアスペクト比のまま構図を決めることができます。
ここで注意ですが、このクロップ機能はJPEGデータをクロップするものではなく、あくまでもRAWデータにマスクを乗せるという機能になっています。
HASSELBLADのPHOCUSを使用し編集する必要があります。
被写体やカメラの動きによりローリングシャッターゆがみが生じることやISOが最大3200に制限されるため、メーカーは三脚の使用を勧めています。
しかし今回は軽量コンパクトな組み合わせを目指しているためすべて手持ちにて撮影しています。
慣れないうちはゆがみに悩まされることもありますが、慣れてしまえば問題なく撮影することができました
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
やわらかめの描写ながらも5000万画素センサーによる繊細な描写が楽しめます。
手前に結ばれたおみくじの柔らかな雰囲気が心地よいです。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
少し歩いているとねこちゃんを発見。
ウエストレベルでピントを合わせながら近づいてみます。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
ほとんど警戒されることもなく撮影に没頭できました。
大柄な一眼レフなどではすぐに逃げられてしまっていたかもしれません。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
無防備な姿をとらえることができるのも、コロッとかわいらしい見た目のカメラだからこその特権です。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
すこし移動し何かを見つけたもよう。
じっと動かなくなりました。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
再び近づき凛々しいお顔をいただきました。
日の光が入った目がきれいです
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
ゆっくりとねこちゃんを拝んだあと、海を見にすこし歩きます。
前ボケにススキをいれてみましたがうるさい感じもせず、良好な描写です。
奥に伸びる水平線のグラデーションがたまりません。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
ぎりぎりまで露出を挙げて一枚、映り込みがあったため少しトリミングしましたが全く遜色ない描写です。
輝く海を颯爽と走る船、開放感に満ち溢れています。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
波を見ると心が落ち着きます。
同じような構図でも波のかたちが違ったり、色が変わったりと何度も同じカットを撮影し綺麗なものを選ぶのが撮影後の楽しみです。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
うねる波、水しぶきに気を付けながら撮影をします。
かろうじて白つぶれもなく、センサー、レンズの性能の高さを感じます。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
少し高台へ移動しました。
どの角度から見ても海はいいものです。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
逆光で一枚、描写は甘くなりますが現行レンズとは違ったふんわりとした描写もまたこのレンズならではといえます。
HASSELBLAD 907X 50C + XPan 45mm F4
今回はHASSELBLAD 907X 50Cにマウントアダプターを用いてXPan 45mm F4を装着し撮影を行いました。
圧倒的な描写力を持ちながらもレンズシャッターを搭載した現行のXCDレンズとはまた違った魅力的なレンズでした。
今回使用した限りでは四隅のケラレなどは全く気にならず、この小さなサイズながらも大きなイメージサークルをカバーしているというのが素晴らしいポイントです。
AFを使用したいときには現行のXCD 45mm F4 Pを使い、極限まで軽さを追求したいときにはXPan 45mm F4を使用するという45mmレンズの使い分けもできそうです。
昨年から気になっていたことを解消することができ、筆者は開放感にあふれています。
同じことを考えていらっしゃった方、これからXPanレンズを使用される方の参考になれば幸いに思います。
コンパクトなレンズがお好きな方にはぜひ手に取っていただきたい逸品です。