スペースの制限を受けずに、アングルに自由を。
今回ご紹介するのは、Kenkoから新登場の『ATOLL 回転リング』です。
箱の外観です。
それでは開けてみましょう。
中身は一見、望遠レンズに装着されている回転リングと三脚座のように見えます。
製品自体は回転リングに違いはありません。三脚座が付属している望遠レンズの多くは三脚座の基部部分にねじがあり、それを緩めることでロックが解除されてレンズが回転する仕組みになっています。
そのため、三脚の重心やレンズとカメラの軸を変えることなくレンズの回転が行え、簡単に縦構図や横構図等の変更が行えるものとなっています。
しかし、よく見てみるとリング部分に装着するための切れ目がないことやリングの下部から延びるプレートにねじがあること等に気が付きます。
花火などを撮影することの多い筆者にとっては画期的なアイテムでした。
時に撮影地のアクセスや会場のルールによって撮影機材が上の写真のようになることもしばしば。
動画も写真もと欲張るとカメラが増えていきます。
しかし、多くの会場では観覧場所の制限や持ち込みルールがあり、カメラの台数分の三脚を持ちこめないことも少なくありません。
この場合、横構図であればそのまま撮影することができますが、縦構図を撮りたい場合どうなるでしょうか。
縦構図にするためにカメラを動かそうとすると必然的に隣のカメラに干渉してしまい、カメラを動かすことができません。
では、L型プレート(Lブラケット等)を付けた場合はどうでしょう。
L型プレートの場合カメラ側面部にも三脚取り付けができるので、横に倒すことなく一旦外して縦位置に付け直すことで位置の変更が行えます。
ところが、花火の上がっている最中の薄暗い中で着脱を繰り返すことは、タイムロスと事故のリスクをはらんでいます。
そこで登場するのがこのアイテムなのです。
まず初めにリングから延びるプレートにカメラボディを装着します。
そして回転リング下の三脚座部分に雲台を取り付けます。
その部分はアルカスイス互換の溝に合わせられているのでワンタッチで装着することが出来ます。
回転リングは二重リングとなっており、三脚座のと一体となった外側のリングとカメラのプレートが一体となっている内側のリングが独立で動くので自由な回転が可能となっております。
そしてリング基部にあるネジを緩めたり締めたりすることで、角度の固定/解除を行います。
また、一部望遠レンズの三脚座と同様に正位置より0°、90°、180°、270°にカチッというストッパーがあります。
そのため、「0°に合わせるために微調整をする」といったことは不要です。
雲台の水平がとれていれば自由な角度だけでなくスムーズに横構図から縦構図へと回転が可能です。
実際に動きを見てみましょう。
0°、90°、180°、270°だけでなくその間の角度でも固定でき、360°お好みの角度で撮影ができます。
締め具合によっては、締め付けなくてもその角度を維持し続けることも可能なようです。
今回はATOLL回転リングに一眼レフ機のフランジバックに合わせたD型プレートを使用しておりますが、ミラーレス機でもそのまま使用することができました。
しかし、レンズによってはピントリングやズームリング、絞りリング等が干渉してしまいます。
またカメラボディによってはグリップ部分が干渉してしまい、一部角度が制限されてしまいそうです。
可能な限り対応したプレートを使用しましょう。
さぁ、日が暮れてまいりました。
今回は『ATOLL 回転リング』を取り付けたNikonの『Z6II』と『NIKKOR Z 14-30mm F4 S』で撮影を行いました。
まずは縦構図から。
横長に打ちあがらない花火の場合、横構図にしてしまうと余白が多くなりすぎてしまい迫力が欠けてしまいます。
そのようなプログラムの場合は縦構図で撮るのが良いでしょう。
とは言うものの、大きな花火が上がることに恐れてしまい広角にしすぎてしまいました。
これも経験でしょうか。
Nikon Z6II + NIKKOR Z 14-30mm F4 S
打ち上がり続ける無数の花火。気が付けば全長2kmにもわたる超ワイド型スターマインの順番です。
いちいち雲台からカメラを取り外して、向きを変えて取り付け、構図を決める。やはりそのような暇はありませんでした。
しかしATOLLを装着したZ6IIは素早く縦横の変更ができたので、横長のスターマインを収めつつ、シームレスに単発の花火も写真に収めることが出来ました。
レンズではなくカメラボディ本体で固定するため、回転リングの径に収まっていればレンズの形状は問わない本アイテム。
そのため円筒型のレンズだけでなく、シフトレンズ等でもこのシステムを使用することが可能です。
横構図でも。
縦構図でも。
今回はミラーレスカメラであってもアダプターを付けることで、一眼レフカメラと同様なフランジバックの長さとなりリングの位置がジャストの位置になります。
そのため、シフトのノブもリングに干渉せずに難なく操作が可能となっています。
カメラやレンズだけでなく、撮影をスムーズに行えたり操作性が増したりするアクセサリー。
Kenko『ATOLL 回転リング』があれば、シャッターチャンスを逃さず撮影に集中することができます。
「痒い所に手が届く」とはまさにこのことではないでしょうか。
三脚を多く使用する風景撮影や物撮り等、ぜひこちらを活用して頂ければと思います。