筆者は緑に侵食された人工物が好きです。
例えば外壁を蔦が覆っている民家や雑草が伸び放題になって歩く幅さえない歩道。
そんな場所を見つける度、考えるより先にシャッターを切ってしまいます。
家に帰ったら撮った写真を見ながら「蔦掃除が面倒で放置していたのかもしれない」「こんな山奥に徒歩で来る人はいないから、これだけ雑草が伸び放題なのかもしれない」と考えるのが楽しいのです。
そんな風景を程良い粒状感と色再現、そしてなんと言っても安さがズバ抜けたColorPlusで撮るのがお気に入りです。
今回はそんな筆者が撮り溜めた写真たちをご覧いただければと思います。
まずはお気に入りの一枚。
Leica M4とLeica Summitar 50mm F2で撮影しています。
近所のゴルフ場なのですが、常に閑古鳥が鳴きいつ閉業しても不思議ではない雰囲気が大好きです。
カラーコーンが日差しで劣化して、白くなっているのがお分かりになりますでしょうか。そこに絡まる半分干からびたような植物。申し訳程度に伸びた反射板には蜘蛛の巣が張り、溝には汚れが溜まっています。
大きすぎないボケはギリギリのところで獣除けネットを写し、更にその奥の木々はSummitarが持つ回り始めるかどうかの絶妙なボケで不穏な空気を出しています。
いつも通り散歩をしていてこの景色を見つけた時は心が震えました。今までなんて物を見逃していたんだろう、と。
今年の春先から成長を見守っている蔦です。
5月にはまだ手摺くらいの高さしかなかった背丈は7月に入るとぐんぐん伸び、ついに筆者の身長を超えてしまいました。
最近の降雨と真夏日の繰り返しは成長に拍車をかけ、弱々しかった蔦はいつの間にか鉈でもないと切れないような太さになってしまいました。
筆者宅のベランダです。
ベランダは北西を向いている為日当たりが非常に悪く、冬場には洗濯物を干しても夕方1,2時間しか日光が当たりません。
そんな我が家の壁にいつからか蔦が生え、日も当たらないのに雨水だけでここまで育ちました。
そのうち大家に目を付けられ駆除されてしまうのでしょうか。せめてその時までは良き隣人でありたいものです。
左側が消し飛んでいるのは、フィルムを入れてからフィルムカウンターが1になるまでの空打ちで撮っているからです。
写ったらめっけもん、写らなくとも別に良い。そんな気持ちで毎回空打ちをしていたら先日遂に写すことができました。
最後にとっておきの一枚。
朽ち果て、蔦に絡まれた消火栓看板も良いのですが、更にその後ろの土壁も良い味を出してくれています。
Kodak ColorPlusの程良い粒状感と土壁のザラつきがマッチしてこれでもかと言うほどの寂れ感を出してくれました。
隣の制水弁看板は初めて見ましたが、インクの緑と植物の緑が良い対比になります。
以上、拙い写真と文章でしたが筆者の好きが皆様に少しでも届けば幸いです。