【Leica】「M9-P」を選んだ理由、と3ヶ月レビュー。
「Leica M9-P」を手に入れてから約3ヶ月、散歩の度に連れまわし、部屋で手持無沙汰になるとダイアルを回してみたりモニターや窓を拭いてみたり。触れる回数の甲斐あってずいぶん手に馴染んできたようです。11年前の本日(2011年6月30日)が発売日だったということで、今回はこれからM型ライカを始めようと考えている方、ライカ・CCD機に興味をお持ちの方へ向けて現在使用しているアクセサリーの使用感や使い方とともに、ライカ・CCD機の特徴を写真と動画で紹介します。ライカって高くて難しいやつでしょ、という方も勿論大歓迎です。予めお伝えしておきますがM型ライカ良いですよ、CCD機良いですよ、M9-P良いですよ。
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①クラシカルな外観と実用性に富んだアクセサリー
こちらが筆者の「M9-P」。目立つ傷はなく底蓋のシールも綺麗なまま。使い込む余地を残しつつ美しい状態を保つ努力もできるベストなコンディションです。一般的にM型ライカはどのモデルもブラッククロームもしくはブラックペイントが人気、筆者の周りのライカユーザーもほとんどがブラックボディを所有しているそう。筆者も当初はブラックペイントのボディを検討していましたが、M型ライカで人を撮りたいという思いからより威圧感の少ないシルバークロームを選択。まだ3ヶ月ですがこの選択は間違っていなかったと思います。
外観についてはロゴの赤バッチがなく、フィルム時代からの採光窓が残っているところが気に入っています。トップカバーの刻印は撮影時のテンションを高めてくれるワンポイント。機能と同じくらい外観も重視して選びました。
レリーズボタンとマグニファイヤーを付けています。レリーズボタンの重要性は付けて初めてわかるものです。置きピンや目測で撮影することも多い筆者は、タイミングに気を取られるあまりシャッターを押し込みきれずチャンスを逃すこともしばしば。この後悔を無くすために用意したレリーズボタンのおかげで既に何度も救われています。値段は数百円のものから一万円を超えるものまで様々、一度お試しいただくことをおすすめします。
マグニファイヤーは1.25倍を使用中。元々のファインダー倍率が0.68倍である「M9-P」に装着すると0.85倍になるので非常に役に立っています。ある程度使うレンズの焦点距離が決まっている方や、二重像が見づらくピント合わせに難儀している方は是非検討してみてください。35mmのブライトフレームはファインダーいっぱいに広がりますが、50mm以上のレンズを使用することが多い筆者にとっては好都合。1.4倍を装着して0.95倍としても良いのかもしれません。
※M10以降のボディに装着するためには、別売のM10用ファインダー用ネジアダプターが必要です。
ストラップはスイスのアウトドアブランド・マムート社製クライミングロープを採用したものを使っています。耐久性は勿論、二枚目のように結んでコンパクトにしたりと見た目だけでなく実用性に優れた逸品。当店で取り扱いのある絹糸で作られたストラップは同じように結んで使うこともでき、かつ絹特有のしなやかさを兼ねそろえており、高い品質でおすすめの商品です。
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②個性的なシャッター音
CMOSセンサー搭載機との違いの一つとして挙げられるのがシャッター音です。ステルス性を高めるため現行の「M11」や「M10-R」は非常に小さなシャッター音で撮影することができ、スナップ撮影において大きな助けとなっています。CCDセンサー搭載機のシャッター音は比較するとかなり大きくその後のチャージ音も特徴的です。シャッター音を体感していただくための動画を用意したのでご覧ください。
通常(シャッター音のすぐ後にチャージ音)、分離チャージ(シャッターボタンを離すとチャージ音)、連写と3種類の音を録ってみました。筆者は分離チャージにして手振れを抑えつつ目立たないよう心がけていますが、割としっかりとした『ガチャ』というシャッター音の後に『ジー』とチャージ音がします。最初は大きいと感じていましたが、撮影しているという実感と正面から被写体に向き合っているという緊張感のようなものが心地よく、今ではこの音も気に入っています。
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③唯一無二の色再現
Voigtlander APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical VM
Leica Summicron M50mm F2.0 2nd
Voigtlander NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM MC
Voigtlander NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM SC
Leica APO-Summicron M35mm F2.0 ASPH.
Leica Summilux M90mm F1.5 ASPH.
編集を前提としたようなCMOSセンサーのあっさりとした色とは違い、コクのあるコッテリとした色が特徴的なCCDセンサー。この連載もそうですが基本的に全ての写真をJPEGでしか撮影しない筆者にとって、Kodak社製CCDセンサーが生み出す撮って出しの色は願ったり叶ったり。1,800万という低画素も手伝ってファイル容量も小さく助かっています。CMOSと比べると白飛びや黒潰れはやや起こりやすく、感度耐性はお世辞にも強いとは言えません。それでも使いたい、なんとかして全てをこの一台で撮影したい。創意工夫・試行錯誤をしながら被写体と向き合う時間はかけがえのないものです。
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さて、ここまで簡単に購入から3ヶ月を振り返って参りました。アクセサリーを一つ一つ吟味しながら選んでいく、これもM型ライカならではの楽しみ。そして何と言ってもレンズ。実はまだレンズを持っていない筆者、作例撮影用に借用したものを試しながら検討を重ねています。こちらのスタッフの連載でもレンズ選びに奮闘する様子をお楽しみいただけますが、世代・年代・個体・メーカーと豊富すぎる選択肢を前に皆同じように悩んでいるということがよくわかります。35mmにするか50mmにするか、世代はどうするか、Voigtlanderも良さそうだ、L39(スクリュー)にしようか、そんな風に悩む時間が一番楽しいだなんてことはとうに分かっているのです。でも早く決めたいものです。頑張ります。