【Leica】ところにより霧雨、空を覗く
日に日に朝の冷え込みが
厳しくなる今日この頃、
瞼を擦る冷たい手で冬の到来を感じます。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
この度は先のモノクロ記事で
あえて触れなかったレンズになりますが
改めて紹介させていただきたく存じます。
またお付き合いいただけると幸いです。
皆様にとって標準レンズとは
どういったものを想像されるでしょうか。
目でみえるすべてや注目した範囲内、
或いは焦点が合った点など。
標準なるものはげに千差万別であり、
瞳に写る世界も色も星の数、
そこに棲まう人の数だけある事でしょう。
あくまで私的な見解ですが、
多く標準や普通とされるものは
大多数のみる普遍的な理想像のそれだと
存じております。
カメラを携えて此の方
35mmをつけっぱなしにする
私にとってはその何気ない光景が標準で
今も同じ感覚ですが、かつて使っていた
もう一本、釘づけた視線にも似た
あのレンズの感覚がどうしても
焼き付いて離れませんでした。
ある時期から今もなお続きM型の多くに
備わっているファインダーの中心、
そのフレームは世界の標準50mmと
影に隠れ疎まれがちな75mm。
釘づけになった私の視線を
このありのままの硝子玉は
ありのままの色と形で
写し描いてくれる、
35mmとはまた違った意味での
私の新たな標準という概念を
見出してくれました。
f1.9の明るさは当時のレンズとしては
破格のスペックですが、現行の強豪達と
比べるとまたも陰に隠れてしまいます。
ですがそこもまた一興。
私の影なる第二の標準は空を覗き、
滲んだ気配に溶けては静かに、
あたたかく世界を切り撮ります。
ライツレンズ屈指の癖玉のひとつ、
その名をHektor7.3cm。
これを機会にいかがでしょうか。
さて、この度はここまで。
またお目見えします日まで。
今回使用したフイルム、レンズはこちら。
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