光陰矢の如し。2024年も半分が過ぎ、少々出遅れた梅雨真っ只中の7月初旬。今日はやっと晴れ間が広がり、気温は34度まで上昇しました。
この暑さの中で降る雨はもはや梅雨の様相から大きくかけ離れ、雄大な積乱雲に抱かれたさながら真夏の雨。
今回はLeica MPに名玉Leica ズミクロン 35mm F2 [6枚玉]を持って、久しぶりに撮影に出かけました。
撮影地に選んだのは、東京都武蔵野市東部に位置する吉祥寺。ここは武蔵野市の中でも吉祥寺駅を中心とした地域で、駅周辺は都内でも有数の商業地域です。江戸時代に明暦の大火で焼失したことで、元町の一部がこの地に移り住み、後に吉祥寺村として開発されました。
駅からほど近い公園や閑静な住宅街からは、この街ならではの静けさを感じました。手に持ったカメラは、かつてのフィルム時代にタイムスリップしたかのよう。
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2003に登場したLeica MP 0.72は、19年間にわたる「M6」製造の経験を踏まえて技術的にも存在的にもより洗練されたカメラです。ファインダー倍率は異なる3種類から選ぶことができたほか、M3時代のルックスを踏襲し赤バッヂを排した落ち着いたボディデザインはライカ好きには堪らない佇まい。
「M3はMシリーズの中で最も美しいカメラであり、M6は機械的な構造を保ちつつ露光計機能を備えた最も使いやすいカメラである」としばしば語られる伝説とも言うべき2台。であればMP 0.72はM3を彷彿とさせる外観を備え、その上でM6と同様の露光計システムも備えたハイブリッド。さらに2色展開のうちブラックに至っては艶のあるブラックペイントが採用されています。M3の登場から70年。見方によってはこのカメラが頂点とも言えるのです。
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今回のレンズは1973年に生まれたLeicaのクラシックレンズ、Summicron 35mm F2 [6枚玉]。
絞りをF5.6以上絞れば、全体的に非常にシャープ。たった6枚のレンズでありながら、高い解像力を持っています。
絞りをゆっくり開けると、周辺のボケが柔らかくなります。7枚玉よりも多少乱雑に見えるかもしれませんが、この特有の乱雑さが6枚玉ならではの味を醸し出しています。ピントの合っている箇所は現行のLeicaレンズには及ばないかもしれませんが、依然として十分に鋭いです。
6枚玉は白黒フィルムが主流だった時代に生まれましたが、カラーフィルムでも優れた色再現性を示します。日差しの中でわずかにオイリーな感触とちょうど良いコントラストが魅力。
私の周りで「6枚玉はズミクロン 35の中で最も弱い」とか「7枚玉があるならそれを選ぶ」といった意見をよく聞きますが、私はLeica ズミクロン 35のオールドレンズには強弱の差はなく、それぞれが独自の特徴を持ち、時代背景に応じたLeicaのレンズデザインを楽しめる選択であると考えています。