【Leica】ズミルックスとノクティルックスで紅葉、夜景を撮る
気が付けば12月。
もう2020年も過ぎ去ろうとしています。
今回は「今年の○○を振り返る」というテーマに沿って、紅葉を撮った時のことを振り返りたいと思います。
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さて、茨城県行方市にある「西連寺」という寺院をご存じでしょうか。
霞ヶ浦の丁度中央に位置する、樹齢1000年以上の銀杏で有名な場所です。
(この銀杏は県指定有形文化財でもあり、毎年11月下旬~12月上旬には見事な紅葉(この場合は黄葉?)で観光客を楽しませてくれます)
樹齢1000年ともなると、きっと数多の干ばつや台風を乗り越えてきたのでしょう。
逆境にも負けないその強さにあやかるため、愛機のM10-P ブラッククロームにズミルックス M35mm F1.4 2ndとノクティルックス M50mm F1.0 フード組込をマウントし、ビゾフレックス(Typ020)も持たずに家を飛び出しました。
結論。ビゾフレックスを持ってから家を飛び出すべきでした。
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ズミルックス M35mm F1.4 2ndはじゃじゃ馬として有名な銘レンズで、よく言われるのは
・開放での滲み
・点光源でのコマ収差(光の丸い玉を撮ると、丸にならずに彗星が尾を引いたような形になる)
等です。
現代の高性能レンズを見慣れた目には、収差で彩られたこの写りはとても新鮮で・・・。
たまらない!
こちらはノクティルックス M50mm F1.0 フード組込です。
今年はコロナ対策として、御手水が止まっておりました。その代わりに美しい花が敷き詰められ、背景の黄色との対比が効いています。
本来このレンズは「グルグルボケ」が出やすいのですが、今回はあまり目立たないようで。
品のある写りを披露してくれました。もう一枚どうぞ。
この日はあいにくの曇天でしたが、M10-Pはもともと彩度が高目なので色乗りも良く、ホワイトバランスを曇天にするだけで望み通りの画を見せてくれました。
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さて、天気予報では「この後晴れ間が出ずる」という事だったので、ズミルックスでしばらく撮り歩き、天候が変わるのを待つことにします。
どのカットも絞り開放ですが、周辺減光や逆光の滲みが良い味を出しています。
言われているよりも周辺部までよく写るという印象です。もしかしたら当たり玉かもしれません。
よくある「周辺が甘い」レンズは、輪郭自体が崩れて何が何だかよくわからない描写になりますが、このレンズの周辺描写は「形がしっかり認識できるうえで、解像度が低く、美しい」というもの。
隅(SUMMI)の光(LUX)も美しいなと、妙に納得。
…すみません駄洒落です。
そんなことを考えていたら、最後にちゃんと陽が出ました。
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目指すものも見れたので、タワーや田園を撮りつつ夜景スポットへ移動します。
そう。
今回の目的は紅葉の銀杏だけではなく、「ズミルックスとノクティルックスで撮る夜景」も含まれます。
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暫く車を走らせ、茨城県の霞ヶ浦総合公園に到着しました。
名前に総合と付いているように、日帰り入浴施設やオランダ型風車、水生植物園と様々なものがセットになった公園です。
ここでレンズをズミルックスにし、人工光源下でどのようなフレア・ゴーストを出してくれるのか確かめるため、三脚に据えて撮影しました。
やはり絞り開放での収差が効いて、面白い画になりました。
しかしもっと騒がしい光になるかと思いきや、品良くまとまっているのは流石と言うほかありません。
もちろん強力な光源がなければ描写はだいぶ落ち着き、下のカットのようになります。
対するノクティルックスは、人工光源下でも比較的暴れず素直に。
モノクロとの相性も良いようで、周辺減光によるトンネル効果も相まって讃美歌の様な雰囲気が出ています。
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ここで撮影を切り上げる予定でしたが、せっかくこの2本があるのに帰宅するのはもったいないとのことで…
横浜の山下公園です。
全体的に使用頻度が少なかったノクティルックスをまず試します。
軸上色収差は出るものの、とにかく上品な写りをするレンズです。
鏡筒の佇まいからも気品があふれており、夜にこのレンズとM10-Pを持って横浜を歩いていると、小説の主人公にでもなったかのように感じられます。ロングコートにシルクハットと、パイプが欲しくなりました。
・・・でもズミルックスのあのゴーストも恋しい。もう一度レンズ交換をし、そちらも試します。
もう言葉はいりません。心から満足できました。
しかしながら私は欲張りなもので、もう「来年の紅葉はどんな機材をもっていこうか」と考え始めています。
銘玉揃いのMマウント中望遠を抱えていくか、それとも思い切り広角で攻めるか。
考える時間は、たっぷりとありそうです。
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