初めてのライカ購入から1年が経過しました。1年も使ってまだビギナー?とお思いかもしれませんが、昨今のコロナ騒動で実際に撮影できたのはまだ数える程。一向に上達の気配は見られませんが、まだしばらくお付き合いください。
前回、アポクロマートレンズへの興味から新製品の「Voigtlander APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical VM」を試させて頂きましたが、アポクロマート云々の前にスタンダードな50mmを使ったことがなかった筆者。基本を知らずして比較などできるはずもなく、今回は由緒正しき標準レンズの王道「Summicron M50mm F2.0」を試してみました。
現行の「Summicron M50mm F2.0」は、フードが組込式になり、6bitコードも付いた4世代目ですが、光学系は1979年に発売された3世代目とほぼ一緒と聞きました。
高画素のデジタルカメラが発売されてもなお、40年以上も変らぬ設計というのだから驚きます。裏を返せば当時の設計がそれだけ優秀だったと言えますが。
近所の河川敷で河津桜が見頃を迎えましたので、一足早くお花見に出掛けました。
雲がほとんどない快晴の1日。少し逆光気味にカメラを向けても色再現の低下は僅か。細部もしっかり描写しており、言われなければ40年前の光学設計とは気づきません。
50mmの画角に少し戸惑いましたが、携帯性の良いレンズは使い勝手も上々です。
少しカメラの使い方が雑な筆者は、レンズ保護の意味でもフードは基本付けっ放しです。(フードはバンパーでもあると思ってます。)組込み式の本レンズは、収納時に便利なものの、とっさにカメラを構えた際に出し忘れることが多々ありました。できればロック機能的なものがあると嬉しいと感じました。
河川敷から自宅側のお寺へ移動。こちらも河津桜が見頃を迎えてました。
ハイライト部が強く出ましたが画面全体のバランスは良く、見た景色をそのままの色で切り取っています。また大きなボケは、画面の奥行きをうまく表現しています。
もうすぐひな祭り。
お堂の中には雛人形が飾られていました。毎年この時期は参道のお店を含め沢山の雛飾りが見られるのですが、今年はお休みの店も多く、少し寂しい雰囲気。薄暗く静かなお堂の中は、怖さも感じられます。良く写るレンズなだけに、見えないものまで写らないか心配…というのは冗談ですが。
所々に河津桜も見られましたが、このお寺は参道から五重塔にかけてのソメイヨシノが有名なお花見スポット。今から開花が楽しみです。
絞り開放からシャープに解像力高く捉えるレンズは、寺宝を収蔵している宝殿の細かな装飾までしっかり捉えてくれました。
周囲を見張る獅子の石像に混じって猫の姿も。日光東照宮の有名な彫刻のようにネズミ一匹たりとも通さないと言っているかのようです。
一方で気持ちよさそうに眠る猫も。身体は暖かい日差しの下に、顔は眩しくない所。なんとも絶妙な場所です。
写真を撮るため正面からカメラを向けると、不機嫌そうにこちらを覗いてきました。そんな様子もしっかり捉えています。
今回、本レンズを使って改めて感じたのはライカレンズの凄さです。40年の古さを感じさせない素晴らしい描写力でした。
開放からシャープ。でも少し漂うレトロ感が良い風味になっています。
撮影した画像から本記事作成のための写真を選別すると、F4からF5.6辺りの画像が多かった事に驚きました。無意識のうちに、お気に入りのF値まで決まってしまったようです。
古くても良いものは良い。そう教えられたレンズでした。そして長く愛される理由も。