【Leica】人気の絶えない「X Vario Typ107」と「M Typ262」を撮り比べてみた
連載中の「カメラを愉しむvol.28」は、『人気の絶えないライカ「X Vario Typ107」と「M Typ262」を撮り比べてみた』をご紹介いたします。
今回は動画の特集をしよう!と意気込んでいたのですが、弊社の「Leica Boutique MapCamera Shinjuku」が8周年を迎えるにあたり色々なスタッフが撮影したライカ写真を見て「やっぱ、いいわライカ」という感情が沸々と心の中で。
過去に二人暮らしを始めるにあたり、ライカを手放し機材をパナソニックが誇るライカレンズとボディに買い替えたのです。いわゆる「パナライカ」ですが、驚くほどコストパフォーマンスが高く私の心を癒してくれる存在でした。
しかし、ひょんなことからまた一人暮らしに戻ることになりライカが買い戻せる余裕が生まれるかもしれない!と今心を躍らせているところ。過去に撮影したバックナンバーと共に私の愛した2台の魅力に迫りたいと思います。
まずがライカといえばM型!ということで「M Typ262」からスタートしましょう。
とある休日の光景ですが、どう表現したらよいのでしょうか。現代のカメラでありがちな「鮮明さ」とは少し違うのです。
どこか懐かしい、その時のことを思い起こしているかのような空気感。
優しさに包まれた雰囲気といいますか、そこがM型ライカの魅力に感じます。
購入して初めて「レンジファインダー機」を使ったときの写真なのでワンちゃんにピントを合わせるのも一苦労でした。
今の最新デジタルカメラでは瞳AFが当たり前ですが、私にとってこのピントを外した一枚も大切な思い出です。
別にピントが来ていなくたって、後々見返した時に「この時カメラ買ったばかりでピント合わせ苦労したな~」と思うのがカメラの愉しさでもあるからです。
もちろん趣味の範囲内での撮影なので逆光に強いコーティング、私には無縁です。この雰囲気が好きなんです。
この透明感。近頃のレンズはみな優秀で透明感(ヌケの良いレンズ)を演出するレンズは沢山。
しかし透明感のあるレンズは、コッテリコントラストが強く感じられるレンズが多い印象があります。
ライカの画作りは実にナチュラルで、優しさ溢れる描写は見ただけで「この写真はライカで撮影した写真ですか?」とわかるものです。
さて、優しくあたたかい空気感を演出してくれる「M Typ262」はここまで。
ここからは「X Vario Typ107」に参りましょう!実はこのカメラ、2013年発売となり8年近く経過した1台。
このカメラを手にした時は正直驚きました。M型ライカとは全く違う性格だったからです。
この頃からパナソニックのマイクロフォーサーズ機にライカレンズを装着して撮影していましたが、描写の傾向が似ている。オートフォーカスも正確で開放から驚くほどのシャープネスと立体感がクールな描写で今思えば「現代的な写りの先駆け」であると感じました。
M型で感じていたあの優しい写りはありません。見たままの風景を「パキッ」と鮮明に!
特に雨でしっとりと濡れた葉っぱなどは今まさに「目の前で見ている光景ではないか?」と思ってしまう写りです。
風景写真で望遠側を使用してみました。ライカ バリオ・エルマー f3.5-6.4/18-46mm ASPH.というレンズが搭載されており、望遠側は開放F6.4となります。
広角開放F3.5はどうでしょうか?広角側ではわずかに周辺部の流れがあるものの、絞り込んで撮影した写真ではないかと錯覚してしまうほどの立体感です。
西伊豆の美しい風景を見ながら、片手に「ライカ」。贅沢な時間です。
ズームレンズを搭載しているので、旅先でも細かい事は考えず風景を楽しみながら撮影することができます。
まるで「天空の城ラピュタ」の様な風景です。この時一緒に持って行った他社の世界初フルサイズミラーレス機で撮影した写真は暗所に露出をあわせると雲が白飛び、アンダー目に撮影するとどんよりと暗い写真になってしまいライカのニュートラルな画作りがダイナミックレンジの広さにも貢献しているのだと思います。
死角の無い完璧なカメラなのか?といえば答えは「NO」。
当時の機種と比較しても、ホワイトバランスの安定性はAUTOでは少々難がありました。
特にクモリや白熱灯などのシーンで安定しないので、ここは後からレタッチするかその場でAWBから切り替えるかをお勧めします。
そしてもう一つの弱点は「F値の暗さ」です。光量の多いシーンでは納得のカットがとても簡単に撮影することが出来ましたが、薄暗い雰囲気のシーンや夕暮れでは他のカメラを使ったほうが良いと感じる場面も!そこは臨機応変に対応しましょう。
このカメラはドライブには必ず持ち出していました。こちらの写真は焼き物で有名な栃木県の益子。この建物の中ではとある有名駅弁の器が作られているそう!
あの白い器、、、どこかで見たことがありますね。群馬県横川「おぎのやの釜めし」の釜を作っているのです。まさかあの器が益子焼だったとは。
当時、祖父が亡くなり我が愛車に加え「祖父の愛車」が私の手元にやってきました。20年経過しているにも関わらずシートには新車のビニール、走行距離1万キロという驚きのコンディションだったため、維持費がかかるのを承知のうえで維持することを決めました。結果的には20年経過したV8エンジンの排気量4000ccの車は修理代や維持費だけでもライカレンズが複数本購入できるほどで手放すこととなりましたが、今でも思い出深い1台です。
さて、締めくくりはテーブルフォトです。この唐辛子の線の細さを上手に表現しています。
暗いレンズをカバーするため、+1.0 補正で撮影していますがマッシュポテトが全く白飛びしていません。
洋風メンチカツのジューシーさ、上手に魅せてくれました!
今見返しても「やっぱ、いいわLeica」そう感じさせる2台。最新ボディだけではなく、少し前のカメラにはその時代を表現する素晴らしさがあります。
特に最近人気が急上昇中の「X Vario Typ107」は旅カメラとしても、初めてのライカとしても本当にお勧めしたい1台です。実は私も久々に買い戻すライカは「X Vario Typ107」と決めています。