StockShot

  • タグ一覧
  • 検索
【Leica】光のヴェールに包まれて。復刻スチールリムとM11で横浜スナップ

【Leica】光のヴェールに包まれて。復刻スチールリムとM11で横浜スナップ

歴史の長いLeicaのレンズの中でも、銘玉と呼ばれるものは、個々人の考え方が絡む部分ではある為、一概には言えない。

とはいえ、Leicaユーザーの世間的には、ある程度収束するだろう。

例えばいわゆる8枚玉と呼ばれる、ズミクロン M35mm F2 1stや、貴婦人の異名を持つズミルックス M50mm F1.4 1st。

他にも、ノクティルックス M50mm F1.2や、スクリューマウントのズマロン L28mm F5.6など。

これらのオリジナルのレンズたちは、中古市場でも価値が高く、今なお憧れの的としてとらえられている。

 

近年、Leicaはこういったレガシーな逸品たちを、復刻として再構築し発売してきた。

ノクティルックス M50mm F1.2 ブラックアルマイトや、ズマロン M28mm F5.6、最近登場されたズミルックス M50mm F1.4 11714等が、この流れの一環となる。

 

その中でも、2022年発売の「ズミルックス M35mm F1.4 11301」を今回はピックアップし、M11との組み合わせでスナップ撮影に臨む。

 

組み合わせたデジタルカメラは、Leica M11 シルバークローム。

スチールリムの「リム」は、梨地のシルバーの多いLeicaの中では珍しく、きらびやかな光沢感が目を引く。

当然ブラックのボディにも申し分なくマッチするのだが、今回は敢えてボディもシルバーをチョイス。

M11のシルバーは、クラシックなスタイルを踏襲しているデザインでありながら、どことなくモダンな印象を受ける。

赤いLeicaのロゴも、目立つのを嫌ってM11-Pを選ぶ方も多いが、私はアイコニックな印象を受けて好きだ。

 

ストラップには、ARTISAN & ARTISTから栃木レザーストラップ ACAM-287 ダークブラウンを装着。

シルバーのボディにはキャメル(Leicaで言うところのコニャック)カラーも悪くないのだが、ダークブラウンも引き締まってよい。

ブラックカラーのストラップも好きで良く使うが、ブラウンにはブラウンの複雑な良さがあるのだ。

 

さて、準備もできたところで撮影開始。今回撮影地に選んだのは、横浜、とりわけ元町の方面だ。

電車を降りた時、既に陽が傾いてきていたが、じっとりとした湿度を伴い、熱気がこみあげてくる。

 

JR石川町駅を出ると、独特な景色が広がっている。

山手町という地域が小高い山の上に広がっていて、そこには明治~昭和ごろの外交官旧邸宅が残っている。

山手町のふもとには、元町があり、そこでは様々な横浜を象徴するブランド店やブティックが軒を連ねている。

 

元町の周辺では、首都高狩場線や、石川町ジャンクションがあり、立体的で絡み合うような都市構造だ。

 

汗ばみながら、山手町まで上がると、稜線に沿って出来上がったような町並みが広がる。

途中、いくつもの分かれ道があり、東西へと下ることができる。この道をたどったらどこへ行くのだろうかという、冒険心がくすぐられる。

 

外国産の高級車の音が聞こえ、シャッターを切る。逆光の斜陽が、周辺の構造ごと浸食するように降りかかる。

現代のコーティングが施された本レンズだが、大きなゴーストの発生を確認することができる。

オリジナルのシルバーリムは、1960年頃に世の中に送り出されたレンズとのことで、1960年代の、焦点距離 35mm F1.4といえばかなりのハイスピードレンズだ。

その明るさとのトレードオフで、盛大なコマ収差を伴う描写を堪能できる。

 

 

港の見える丘公園から、ベイブリッジを臨む。ベイブリッジの先には、大黒PAや、京浜工業地帯がある。夜のドライブにうってつけだ。

それにしても、かなり派手な周辺減光である。

 

スナップをしながら練り歩く。

山下町を下り、元町を超え、山下公園を横断する。横浜、とりわけみなとみらい地区の観光名所はぎゅっと圧縮されており、日が傾き始めてからでも問題なく横断することができるのが好きなポイントだ。

 

ところで、かなり柔らかな描写をする本レンズは、コントラストが明瞭な被写体については使いやすい。一方で、全体的な濃度が比較的一定な構成をとると、やや眠い印象になりがちだ。

 

 

遠くの点光源が扇状に広がっているのが確認できる。

コマ収差のコマとは、彗星が語源となる。彗星のように尾を引く収差だから、コマ収差なのだ。わかりやすい。

 

帰りしな、ふと空を見上げると、オレンジとピンク、青が複雑にまじりあった空模様だった。

まもなく完全に夜になってしまう前に、急ぎ足で帰路に就いた。

 

ズミルックス M35mm F1.4 11301を使ってみた感想は、とても柔らかいレンズ、これに尽きる。その柔らかさのクセはかなり独特で、光のヴェールが降りかかっているように感じるほどだ。

この独特な柔らかさは、周辺減光と相まって、特有の視線誘導や視覚効果をもたらす。つまり、レンズの描写を味方につけられるシチュエーションと、そうではない場合がかなり分かれると言える。

あるいは、夏の高いコントラストの中で持ち出すレンズとしては、最適なレンズの一つと言えるだろう。

同梱する2種のレンズフードやレンズの外観そのものも、ドレスアップ性に優れ、愛着がわく。

当時の光学系を模した復刻版という立ち位置の本レンズは、万人受けするような描写ではないが、特にデザインが好きな方や、柔らかな描写が好みの方には、ぜひともオススメしたいレンズである。

 

 

■今回ご紹介した機材はこちら↓



[ Category:Leica | 掲載日時:25年07月31日 11時00分 ]

新規会員登録
マップカメラのおすすめイベント

31周年創業祭 夏旅特集

RECOMMEND

PAGE TOP