【Leica】掌の上の、6群8枚
M3が発売されてから4年の月日が流れ、1958年。
6群8枚の伝説となるレンズが登場しました。
「ズミクロン M35㎜ F2」通称8枚玉。
1969年に生産が終了するまでの10年と少し、ドイツとカナダで作られていたレンズです。
丁度ライカの歴史上、L39スクリューマウントからMバヨネットマウントに進化を遂げた頃のものなので、570本ほど作られたL39マウントの個体や、MマウントとL39マウントのどちらでも使用できるようになっている個体があります。
LマウントのものがLeicaが指定している5文字のアルファベットコードではSAWOO。カタログナンバーは11008です。
日常的に「ズミクロン」や「8枚玉」と呼称しているレンズにももちろんこのようなコードが存在しています。
MマウントのものはSAWOM、11308です。
そのほかにも、M3での使用を想定したいわゆる眼鏡付きや、ごく少数のブラックペイントのモデルも存在します。
今回はML兼用で使用できるモデル、眼鏡付きのモデル、ドイツ製、カナダ製のモデルなどの見比べてみます。
全ての8枚玉に言えることですが、ピントリングを無限遠で止める機構が備わっています。
後継機種にあたる2nd(通称6枚玉)、3rd(通称7枚玉)には引き継がれなかったため、
無限遠まで回しきった時の「カチッ」という感覚と音はこの鏡胴ならではです。
また、数種類の8枚玉を見比べるうちコーティングや内面反射材の微妙な違いも見受けられました。
ピントを少しずらすとエレメントに反射した照明が虹色に輝きます。これをよく宇宙に例える人もいます。
オレンジっぽい暖色のコーティングのもの、青や紫のコーティングのものがあります。
長い歴史のあるカメラメーカーだからこそ、その微妙な変化に気づき、自分だけの一本を手に入れたいという欲求にかられます。
私の周りにも、自分だけの色のレンズ、こだわりのシリアルナンバーなどなど、その“1本”に思い入れを持っている人がたくさんいます。
このレンズが人気を博しているのはただ単に写りが美しいから、というだけではないように感じました。
きっと、自分だけの一本を愛し、大切に使っているのでしょう。
8枚玉に限らず、オールドレンズにはそれぞれ同じ種類であっても今回のような違いは見つけられる筈です。
是非、貴方だけの一本を手にしてください。