【Leica】最高峰の標準レンズ
2022年末「アポズミクロンをフィルムテイストが味わえるカメラで試してみませんか?」とのお誘いを受け『アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.』をお借りしました。
アポズミクロンならではの写りとフィルムシミュレーションによる相乗効果は凄まじく、試して良かったと思えるものでしたが、なかなか手にすることのできない高価なアポズミクロン。
やっぱりフルサイズのライカでも試してみたいという欲求を抑えられず、返却前に少しだけ自前のカメラで撮影させてもらいました。
学生時代から通っている上野界隈。何十年も見続けている風景ですが、年末年始の混雑はやはり別物。数年ぶりの賑わいが嬉しく感じます。
アメ横の一角にある麻利支天を祭るお寺。混雑する商店街の中にあって唯一ゆっくり撮影が楽しめるスポットです。
ここで改めて「アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.」を振り返ってみようと思います。
ズミクロン50mmとして初めて非球面レンズを採用した本レンズは、さらにアポクロマートレンズや、フローティングシステムを採用するなど、とにかくシャープさに拘った作りになっており、発売から10年経過した今でも最高峰の標準レンズとして君臨し続けています。
同年に発売されたカメラ「Leica M(Typ240)」 は2400万画素。それから代を重ねカメラは6000万画素まで進化しました。にも関わらずレンズの評価は上がる一方。まさに非の打ち所がないレンズなのです。
撮影して最初に驚いたのがコントラストの高さです。アポクロマートではない通常のズミクロンを所有していますが、カメラの背面液晶に表示された画の色のりが、それと比較して明らかに濃く感じるのです。
暗所で捉えた蝋燭の炎。
明暗差が大きなシーンでもハイライト部分は暗部を邪魔せず、自然な写りを見せてくれました。光源の輪郭も柔らかく描いています。
冬の不忍池は、枯れ草ばかりが目立ちます。なので少し空を広めに入れてみるとその青さがより強調されました。
青空をより青く表現してくれる印象です。
見慣れた西郷さんの銅像もこのレンズで撮るとより立体感が増して見えます。
着物のシワや顔の表情がよりハッキリ分かるようになり、以前と別の銅像を見ているのではと不思議な感覚になりました。
解像力も高いので、カメラの高精細感をそのままに細部までしっかり捉えてくれます。
彩りが寂しい冬の公園で、目立っていたのがサザンカの花。
ここでも色のりの良い画を書き出してくれました。さらにどことなくしっとりとした雰囲気も感じさせてくれる優しい一面も見せてくれました。
逆光気味にカメラを構えても解像感は安定しています。空のグラデーションも綺麗です。
冬になると美味しそうな実をつける夏みかん。子供の頃からその名前を不思議に思っていました。
今でもその謎は解明できていませんが、見つけると思わず近寄って見てしまうのは今も変わっていません。
みかんにピントを合わせてシャッターを切ると周囲に置かれた灯籠が大きくボケました。
開放F2のズミクロンでこれだけ大きなボケ味が得られてしまうと、より大口径のレンズには手が出しづらくなってしまいます。
高いコントラストと線の細い描写に加え、大きなボケ味。300gの小さなレンズに秘められた実力は驚愕の一言で、その人気の高さも頷けるものでした。
なかなか手が出しづらい金額ですが、これ1本あれば他のレンズは必要なくなるという方もいると聞きますから、それだけの価値があるということなのでしょう。
ライカを始めて数年。まだ試してみたいレンズが沢山あるので、ひとまず「欲しいリスト」に加え、レンズ沼を彷徨い続けたいと思います。