【Leica】聖なる夜の、少し前
気が付けば12月。聖なる夜の、少し前。
1年という時間の早さが年々早く感じるようになり
街を歩くと目まぐるしく変わる季節に圧倒される日々。
「この時期がやってきたんだ」と感じるシーズンがクリスマス。
多くの光に彩られたイルミネーション。大切な人や子供達への
プレゼントを探して歩く人、その表情も明るい。
冬がやってきて寒くなったけれど、師走の喧噪と高揚感が
一人歩いていく中ですれ違う。間近で擦過する明るさに
ちょっとした眩暈を感じながら、身体的にその幻影を追う。
ほんの少し、暖かい。けれど気が付けばまた寒くなる。
ショーウィンドウを見ると、なぜだかホッとするのは
「そこだけは誰にでも平等に与えられたクリスマス」だから。
目の前の窓の中には、幸せな、ファンタジー映画のような世界。
束の間の異世界は思わず眺め「今年の記録」と胸に一言呟く。
ディケンズの「クリスマスキャロル」では
一人の男が、過去・現在・未来の3つの幽霊に出会う。
写真を撮るまでの行為も、撮るまでが未来、撮った時の一瞬が現在、
そして家で帰って見る時は過去。3つの幽霊に出会うような気もする。
片手で握りしめたライカは、それを自然と想起させてくれる。
「クリスマスなんだから、カラーで綺麗なイルミネーションを」
確かにそう思う。ただカラーで撮れば「答え」が出てしまう。
モノクロームで彩られた色を見て「これは何色なんだろう?」と少し、
想像しながら後で見返せるのは、「過去という”想像の未来”」に
出会う事の楽しさも無意識に感じているのかもしれない。
歩いてて今まで見過ごしてきたものを見つけ、集めていく。
少し神経のアンテナを立てて歩くだけでも、
そこには思いがけないものが時を過ぎ現れる。
思索に耽りながら、身体が反応したらそっと撮影する。
求めるのは「カメラ」ではなく「眼」である事。
ライカの良さはそんなところにある。
聖なる夜の、少し前。
外套を羽織って、掌にある「眼」と共に今日も街を歩く。
クリスマスのあとはお正月。師走の駆け足は、まだまだ続く。
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