【Leica】邂逅、Leica M4
ライカって、どんなカメラだろう
カメラといえばどんな形?…カメラと言われて思い浮かぶ形には、ある程度の共通点があると思います。
例えば、CanonやNikonのデジタル一眼レフの形であったり、ローライのような二眼レフであったり、ディアドルフやリンホフの大判カメラであったり、ポラロイドのような形状を想像する方もいるかもしれません。
そのような「代名詞的な存在」のカメラたちの中でも、LeicaのM型レンジファインダーカメラを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
Leicaといえば、昨今発売されているデジタルカメラを筆頭に、比較的高級であるという印象が強く、私も学生の頃、カメラを始めたときは恐れ多くて本館地下に近寄れなかったことを覚えています。
生産ライン上で多くの手作業が介在することなどが高級化の主な要因だそうですが、わざわざLeicaを選ばなくても写真は撮れるし、当時そこまで興味を惹かれなかったというのも事実でした。
しかしながら、前述の通り、Leicaというカメラは(ある程度)一般大衆の潜在意識の中に存在するほど著名であり、高級でありながら、価格だけで左右されない魅力によってファンを獲得している老舗メーカーです。
私は、存在自体を知りながらも饒舌に語ることのできないLeicaのカメラに、強い好奇心を感じ始めていました。
カメラ趣味も一周まわれば、行きつくところはLeica…といったのは、誰の言葉だったでしょうか。
そういえば、同じようにカメラ趣味を続けている中で、最初は普通のカメラを使っていたけれど、次第にライカに魅了されていった、周囲のカメラ趣味仲間も思い返されます。彼らは一体どういうところに虜になってしまったのでしょう――今回は、そんな個人的な素朴な疑問に、実際にLeicaのカメラを使用して迫ろうかと思います。
(Leica M4 + Summaron 35mm F2.8 + kodak Ektar100)
さて、Leicaといえども、当然カメラはいろいろあります。
その中で今回選択したM4は、M3やM6などと肩を並べるM型ライカのベストセラー機のひとつです。
同じM型の機種であるM5発売当時の不人気や、日本国産メーカー製一眼レフカメラの追い上げが伴って招いたライカの経営不振の中で、なんとか屋台骨を支えた名機として知られています。
M3、M2からブラッシュアップした各種機能も高い完成度で落とし込まれており、特にファインダーは、M2に引き続き35mm枠が追加され、多くのスナップシューター達を魅了しました。
今回、個人的にこのカメラを選択した理由は、外付けの露出計を装着した際に干渉しないよう、斜めに設けられた巻き戻しクランクのワンポイントに虜になってしまったという極めて局所的な所以によるものですが、個人的にはスペック面だけではなく、外観の意匠もカメラを選択する上での重要なファクターだと思っています。
組み合わせるレンズは、全体的なバランスと発売年代を鑑み、Summaron 35mm F2.8を装着し撮影に臨みました。
…はじめに、持ち出す前にボディをぼんやりと眺め、まさに理想的なプロダクトデザインだと思いました。
個人的にフィルムカメラは、どちらかといえば実用的で無骨、角ばったデザインの物に触れることがさほどでした。
その上でこのカメラは、俄然洗練されたデザインであると感じます。
およそどんな人が見ても、きっと好意的に見られるであろう、優しいデザイン。
道具としての無骨さだけに終始せず、積極的に手に取りたくなるような、それでいて高級感を感じさせるような印象。
言葉を言い換えるなら、一般的に知られるLeicaにおけるイメージの体現が、精密に行われているような感覚。
おそらくこの場合は逆で、きっとこのようなプロダクトありきで、Leica社というイメージが世に形造られていったのかもしれません。
やがて触っているうちに、フィーリングの心地よさに着目します。
フィルムを送るときの質感ひとつでさえ、心地よく感じます。
レンズのピントを送り切ったとき、無限遠ロックが静かにパチンと鳴ってと締まる。
それ以外の操作も、一つ一つが丁寧にできるように作られていて、
そうして全ての作業を終えてレリーズするとき、これまた上品にシャッターが落ちる。
こういったフィーリングは、私が使用していたその他のフィルムカメラにはなかなか見つけられないものでした。
穿った見方をすれば、それらが無いカメラでもヒットした製品はあるし、必ずしも必要なことでは無いのかもしれません。
しかし、それでもLeicaは、その部分を大切にしてきたのでしょう。
この当時の時代における、最大のユーザビリティのひとつの形かもしれません。
レンズの描写は思いのほか端正でした。
個人的に抱いていたLeicaレンズの印象よりも、硬調な雰囲気で、
モノクロを前提とする時代のレンズでありながら、このようにカラーフィルムとの相性も良いようです。
階調がつぶれず、実にいい塩梅です。
ところで、普段私は35mmの焦点距離のレンズをあまり使うことがありませんでした。
大した理由があるわけでもなく、「なんとなく苦手」というのが実のところです。
そのうえで今回このレンズを選択したのは、ひとつ”食わず嫌いの克服”を意識したところもありました。
35mmといえば、広角として捉えられることもしばしばありますが、Leicaユーザーからすれば、50mmと肩を並べる標準域レンズであるという認識を多く持たれているといいます。
実際使ってみると、意外と広すぎず、かといって狭すぎず、なるほどちょうどよい距離感です。
特にファインダー像が一定のレンジファインダーなればこそ、35mmでテキパキと街角を切り取っていくテンポ感が非常に心地よく感じます。
まだまだ深い、ライカの世界
実際にLeicaを使用し、そのカメラとしての在り方の片鱗を感じ取ることができました。
とはいえ、長い歴史の中で数多くのレンズやボディが発売されました。
そんな中で今回私が触れたのは、ほんの表層の一面にすぎません。
しかしながら、ライカに触れたことによって、より一層ライカに対する興味が引き立てられたのも事実。
これからは当社本館地下・ライカブティックで、右往左往することが増えるかもしれません。
多くのライカユーザー、マニアの方が首ったけになった、魅惑のライカの世界。
興味がある方・これから始める方に、本記事がその足掛かりになれば幸いです。
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