これはM(Typ240)を購入し、のんびりと歩いていくお話です。
北海道が好きです。
広大な土地、そこに息づく自然、各地に残るアイヌ文化に当て字をした地名、そういった北海道にすっかり魅了されてしまいました。
初めて訪れたのは2023年、タウシュベツがそろそろ崩れてしまうのではないかという話を聞き、大急ぎで北上してからそろそろ2年が経ちます。
橋桁が徐々に崩壊し、もともと鉄道が通っていた箇所が徐々にV字になり、少しだけ痩せたような気がします。
遠野や碓氷の眼鏡橋のようなレンガ造りの橋も趣があって良いですが、ところどころに劣化が見られるコンクリートの橋もまた趣深く目を引きます。
今回の北海道旅行はLeica M(typ240)とElmarit M28mm F2.8 2ndの組み合わせを首から提げ、でっかいどうを広く撮っていきたいと思います。
タウシュベツから山をいくつか越え、双岳台に来ました。
樹氷や強風に舞う粉雪が美しく、寒さに震えながらシャッターを切ります。
28mm F2.8という凡庸なスペックながら、収差によりピントピークが際立って独特な立体感を持っているのが2ndの特徴です。
M-Rokkor 28mmやCanon L28mmなどのレンズと比べても周辺減光が少なく、鏡筒の美しさやフードの造形に惚れ惚れする一本です。
この個体は若干右側にマゼンタ被りが見られますが、ボディとレンズの相性によって被りが発生する場合もしない場合もあります。
日暮れと共に湖畔の温泉へ来ました。
他に入浴客もおらず、気が付けば真っ暗になるまでお湯に浸かり空を眺めていました。
湯気と周辺の収差であやしくボケる白鳥と共に1日目も終了です。
早めに床に就き夜明け前に車を走らせます。
以前北海道に来たときはデジタルもフィルムも50mmのレンズをつけており、道中も帰宅後もこの広大な景色を撮るには50mmは狭すぎると頭を悩ませました。
35mmと迷いに迷い28mmを持ってきましたが大正解。この画角がピッタリとあう景色がそこら中にあふれています。
240は修理できない箇所が出てきた事で一時は手放そうかとも考えましたが、このグラデーションを見ると動かなくなるまで手元に置いておこうという気持ちになります。
野付半島は飛び地になっていて途中までは標津、途中からは別海となります。
飛び地というだけで何か壮大な歴史があるように感じ、帰宅後に文献を漁る楽しみが増えます。
これはそんな飛び地の中間地点からの一枚、町の境をふらふらとしているとエゾシカ達が朝食を摂りつつチラ見をしてきます。
エゾシカは本州の鹿より2周りほど大きく、角も相まって非常に強そうな雰囲気。
カムイ達の気に障らぬよう、少し距離を取りつつ写真を撮らせていただきます。
一面の氷平線に感動しながら歩を進めます。
雪が少なくブッシュが見えていますが、足を踏み入れると膝まですっぽりと埋まり帰ってこられなくなります。
日の丸構図にすることで2ndの実力が発揮され、木が圧倒的な存在感を放っています。
お目当ての氷平線を見られて満足し帰路につきます。
帰路も山をいくつか越えねばならず、高低差によってホワイトアウトしたり快晴になったりと忙しい天気です。
路肩で息抜きをしているとあっという間に周辺が雲にのまれ真っ白になってしましました。
幻想的な空間の中でしばしの休憩タイム。モノクロフィルムを入れてきたM3はここでフィルムを使い切ってしまいました。
最後はジュエリーアイスと呼ばれる氷の塊が波打ち際にあつまる海岸へきました。
残念ながら暖冬のためジュエリーアイスは見られませんでしたが、雪と海と空の綺麗な三層を見ることが出来ました。
冬の北海道、皆様も是非行ってみてください。