本連載は、勢い余ってM型ライカ(M-E Typ220)を買ってしまった著者が、自身の理想のレンズを探し求める旅に出掛けると共に、その過程を読者の皆様に楽しんで頂きつつお客様の今後のレンズ選びの一助になればと思い開始致しました。ブログのタイトルは”365日後”としておりますが、今後どうなるかは全くの未定。中古のレンズは一期一会、1年以上かかってしまう可能性もあれば時を待たずして完結してしまう可能性も否めません…。どうぞ完結までお付き合いいただけますと幸いです。
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前回までのあらすじ
本連載で初めての登場となった現行レンズ。しっかり写るしフードも組込式で持ち運びも容易。困った、欠点がない…。と迷っているうちに価格改定の日が過ぎてしまいました。
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第4話 「ズマロン M35mm F3.5 編」
「実は35mm派でした……。」
今まで試した50mmのレンズ達から「あなた、私と写真を撮っていた時間は遊びだったの!!」と怒られてしまいそうです。学生時代、カメラに装着しているレンズは基本的に50mmの単焦点だったのですが、歳を重ねるにつれて35mmの画角が心地良くなってきました。今までご紹介したレンズの購入に踏み切れなかった大きな要因です。
さて、今回借りたレンズはズマロン M35mm F3.5 です。「サンハンズマロン」の愛称で親しまれている今でも人気の高いレンズです。1946年から1960年にかけて製造された本レンズ、状態の良い個体を探すのは一苦労ですが、個体数が多く、当店でも取り揃えが多いレンズでもあります。また、オールドレンズの中でも比較的安価な価格帯(当店中古相場:¥89,800~¥158,000 (投稿日時点))であるところも魅力の一つです。
距離指標は第2話でご紹介したズミクロン M50mm 1stと同様にfeetもしくはm(メートル)の表記のみ。今回はm表記の個体を使用致しました。今回使用した個体は経年によるクモリのある良品(当店基準)のものです。第1話のエルマー L50mm F3.5でもそうでしたが、ここまで年代を遡るとレンズの状態による描写の差が大きく出てくるようになります。
カブセ式キャップを装着した際の外観が個人的に好みです。しかしサンハンズマロンの場合はスクリューマウントの前期型のクラシックな外観も捨て難く、非常に悩みます…。著者にとってはボディとあわせた際の外観も購入における大きな判断材料。ここまで4本のレンズを試しましたが、M-E Typ220にはやはりシルバー鏡筒のレンズを合わせたいなと…。外観においては今まで試したレンズの中でも一番好みでした。
さて、この日は用事があり青山へ。道中、恐竜のマッピングが目に留まりパシャリ。ドキュメンタリー番組のプロモーションのようです。その後、別の場所でも恐竜が…。モノクロの階調表現に定評のあるレンズですが、今回は全てカラー写真でお送りします。シャドー部の階調表現も良く、個人的にはカラーでも積極的に使いたいと感じました。
用事を終え港区方面を散策。気付いたら六本木まで来てしまいました。散歩中、何度か飛行機が上空を通過しました。羽田空港離発着便の新飛行経路の運用が開始されてから、夕方の時間帯は港区・渋谷区周辺の上空が羽田空港への着陸ルートになります。低空を飛行する飛行機は大きく見えますが、それでも35mmの画角ではこれくらいにおさめるのが精一杯。「じゃあもっと大きく見れる場所に行こう…!」と思い立ち、羽田空港に行くことに。
空港に行く際は車や別の鉄道路線を利用するのですが、六本木まで来ていたので浜松町からモノレールに乗る事にしました。こちらはモノレールの車窓から。工事現場や芝浦運河周辺など、普段見ることのできないアングルから眺めることができるのもモノレールの魅力。ゆっくりと景色を眺めるために各駅停車に乗りましたが、片道26分の乗車時間が短く感じました。最初の写真から全て絞り開放で撮影しておりますが、ピント面は解像感が高く周辺の減光も程よく著者好みです。(窓の反射が写り込んでいるカットもありますが、お許しください…)
展望デッキは、歳を重ねてもワクワクする場所です。6月上旬の平日でしたが、ターミナル内は少しずつ賑やかになっておりました。それでもスポットに停機中の旅客機は小型・中型のものばかり。沢山の大型機が羽ばたく日常に戻ることを願いながら、シャッターを切ります。
前述した外観もさることながら、開放からしっかりと解像してくれそれでいてオールドレンズらしい滲みや周辺減光も程ほどにある…。なるほど、欠点が見つからない。強いて言うなら最短撮影距離が1mというところくらいでしょうか。オールドレンズの価格が高騰している昨今、もう決めてしまおうか…。購買意欲は高まるばかりです。
レンズ購入まであと281日。それでは、次回の投稿をお楽しみに。
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