【Leica】Leicaのある日常 #10
#9で2020年を締めくくったはずでしたが、写真を見返していたらクセのある描写がちらほら…
思い返してみると「エルマリート M28mm F2.8 2nd」で撮影したものの、疲れを言い訳にデータの整理を怠っていたものでした。
折角なので記事にしましょう、#10というキリの良い数字でもありますし。
本記事で使用したのは最早定番となったM10-Pとの組み合わせ、撮れる写真にしてはあまりにも控えめなデザイン・シャッター音、そのギャップに惹かれているのかもしれません。
撮影は11月上旬、肌寒くも気持ちの良い日差に包まれていた記憶があります。
以前から空を鳥たちが舞う瞬間を撮りたいと考えていましたが、咄嗟に思い描いていた状況になると焦るものです。
とりあえず無限遠にしてノーファインダー、写したいものは写ったということでご容赦ください。
太陽の写り方、青と赤が混ざったようなゴースト、これぞオールドレンズといった描写はフィルムでも試してみたいと思わせるものでした。
紅葉を広すぎない28mmで、解像しすぎることのないエルマリートの2ndでということで本レンズを選択した記憶があります。
後玉がかなり出ている1stは、センサーに干渉する可能性があるためデジタルカメラでの使用はおすすめできません。
多少の制限はあるものの、被写体や自分の中のイメージによって新旧織り交ぜながら選択することのできるライカMシステムは非常に贅沢なシステムであると言えます。
開放での撮影ということもあり周辺にかけてかなり甘く強い滲みが確認できます。
同じライカの「ズミルックス M35mm F1.4 2nd」を彷彿とさせるような芯のある柔らかさがなんとも言えません。
「シャープな映像は眼で見たのだから写真は少しくらいふわふわでいいじゃない」
レンズが優しく諭しているかの様です。
この日は動物園を訪れていたこともありキリンを撮影しましたが、周辺の甘さと色乗りの良さが中央の被写体を引き立ててくれています。
親キリンは二重像を合わせる時間をくれるのですが、子キリンには背を向けられてしまいました。
動物園で観察をしていると、人間と動物の間に大きな違いはないと感じさせられることが多々あります。
そもそも何故人々は人間以外の生物種を『動物』と呼ぶのか、
16世紀のフランス人哲学者・デカルトは『思考を持たず、言葉を持たない』ことを理由に人間以外の生物種を区別し、多少の差こそあれこの考え方は現代においても通じています。
これ以上話すとお互い疲れてしまうのでこの辺で、頭の片隅に置いておいていただけると幸いです。
広すぎず狭すぎず、目で見たものを見たままに写すことのできる28mmは何気ない一瞬を捉えるのに最適です。
サル山の頂上に佇む一頭を裏から撮影。
少し絞ったことで滲みは消え、穏やかな前ボケが奥行を生み出しています。
開放からシャープに個体差なく均一に写る最新レンズ
絞りや個体によって描写が変わるオールドレンズ
どちらが良いということはなく、目指すイメージによって選んでみてはいかがでしょう。
絞りもピントも自身で操作するライカMレンズをはじめとするオールドレンズを使っていると、
ダイアルとボタンで操作する現代のレンズにはない親密感のようなものを感じます。
手を添えるだけでなく様々な部分に触れて動かす、その一連の動作がレンズと撮影者の距離を縮めているのかもしれません。
無言で確実な成果を挙げてくれる現代のレンズも有難い存在ですが、あれこれ文句を言いながらも手放すことのできないオールドレンズも良い。
締めくくったはずの2020年
またお目にかかる機会があるかもしれませんが、その際はまたよろしくお願いいたします。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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