【Leica】Leicaのある日常 #15
徐々に街に賑わいが戻ってきたような、でもまだ遠慮がちに様子を窺いあうような、今日この頃。散歩のついでにお気に入りの瞬間を1枚、また1枚と写してまいりました。今回選んだのは「Summilux M90mm F1.5 ASPH.」です。「Noctilux M50mm F0.95 ASPH.」の半分と言われる被写界深度がどのようなものなのか。近所の散歩には明らかにオーバースペックな1本、参考程度にご覧ください。カメラは「M9-P」、いつも通りJPEG撮って出しです。
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見上げて一枚、1.25倍のマグニファイヤーを使っていますが開放でのピント合わせに最初は苦労しました。ポートレートのイメージが強い90mmは、このくらいかなというところからもう2歩下がることでスナップ撮影に馴染む印象です。ちなみにこの1枚はしゃがみこんで撮影しています。これぞズミルックスという柔らかさの中にある確かなシャープネス、自然と足取りが軽くなります。
いくつになっても鳩を見かけると追いかけてしまいます。鳥に限らずほとんど全ての生物が人間を見ると逃げていきます。危害を加えるつもりはないのですが、遺伝的に本能にプログラムされているのだと思うと少し寂しい気もします。写真に関しては目測で咄嗟に合わせたためにピントは手前の2羽の間、しかし左下に気になる虹が。どうやらフードを使わず開放で斜めから強い光が入るとゴーストが発生するようです。これはいいことに気付けたと小さくガッツポーズ、「Summilux M75mm F1.4」でも似たような虹が現れていたのを思い出しました。
田植えの季節になると毎年カメラを持って田んぼの周りを歩いています。広い空と澄んだ水、すくすくと育つ元気な苗を見ていると身も心も軽くなるのです。極薄のピント面に加えこれだけオーバーで撮ってもギリギリまで粘るハイライト。並のレンズではこうはなりません。
レンジファインダーで水を撮るというのは簡単ではありません。どの波に二重像が重なっているのかわからない、そんな時は目印となる植物や石を見つけましょう。個人的には偶然を考慮して目測で撮ることも。色については「M9-P」ということもあり濃く深い青が上手く表現できているのではないでしょうか。
日の傾きもなんのその。明るいレンズはいくらでもある現代、ピントの山・自然なボケ・周辺の描写・立体感・色乗り・コントラスト、挙げればキリがない課題の数々をいとも簡単にクリアしてくるのは本物であることの証明です。
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M型ライカを使い始めてからシャッターを切ることに躊躇いがなくなったような気がしています。それは多分、その瞬間は二度と戻ってこないということをライカが改めて教えてくれたからなのだと思います。
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日の入りが近づくと地元のカメラマンさんたちが集まってきました。真剣に撮影に臨む姿に頬を緩めながらも、一層気が引き締まる思い。いやあ頑張らないと。「M9-P」には荷が重かったのか夕日が描き切れませんでした、強い逆光下で時折発生しますがこれもご愛嬌。そして憧れのズミルックス、目の飛び出るような値段にはやはり理由があるのだと強く感じさせられる1日でした。一方で元を取るためには不断の努力と強い意志も必要なようです。ほとんど全てのことをカメラ任せにできる時代になりつつありますが、使いこなすために時間と経験が必要なM型ライカも良いですよ。日常が戻り、大切な瞬間が訪れた時のために、1人1ライカ、お手元にいかがでしょうか。
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究極の90mm。あらゆる被写体を克明に、鮮明に写し出してくれます。
75mm以上のレンズにはマグニファイヤーがおすすめ、最近二重像が…という方にも!
M10以降のカメラにマグニファイヤーを装着したい方はこちらのアダプターが必要です。