【Leica】Leicaのある日常 #16
冬に備えて購入したジャケットが早くもデビュー。ついこの前まで必需品だった汗拭きシートは保湿クリームに変わってしまいました。そんな季節の変わり目に、面白そうなレンズが発売されましたので早速試してまいりました。今回紹介するのはLight lens labの「周エルカン M50mm F2」(以下周エルカン)。ライカが軍用に製造・供給していた珍品を復刻した一本です。ボディは愛機「M9-P」、いつもの通りJPEG撮って出しで本来の色をご覧ください。
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珍しく物撮り、シルバー・ブラックペイント・チタン・ブラスゴールドと4色用意された「周エルカン」をそれぞれ似合いそうなボディにマウントしてみました。チタンとブラスゴールドは世界で200本の限定品、UVフィルターと「IROOA」フードと合わせてセットでの販売です。(シルバー・ブラックペイントの場合、フード・UVフィルターは別売となります。)
(シルバー・ブラックペイントにも別売の「IROOA」を装着しています。)
オリジナルレンズについて少しおさらいです。「M4・ブラッククローム」をアメリカ軍用に納入した「KE-7A」、実際に納入されたのが約500台、民生用として非公式に販売されたのが数百台というような特殊なボディで今はコレクターズアイテムとして取引されています。その標準レンズとして用意されたのが「ELCAN50mm F2」・通称『エルカン』です。製造本数は約500本と言われ、50mmでありながらレンズ構成は4枚と非常にコンパクトな造りが特徴。『Ernst Leitz CANADA』の頭文字を取って『ELCAN』、オリジナルも見てみたいものです。
さっそく開放で、といきたいところですが秋の気持ちのいい日差しを前にF値は4。反射した部分の優しい滲みとヌケの良さがオリジナルの感覚を教えてくれます。
あんな風に座っていつまでも話していたなあ。思い出しながら1枚、綺麗なゴーストと柔らかなフレアが発生しました。逆光に強い本レンズですが、角度によってはシャワーを浴びたような強烈なフレアが現れます。
中央と周辺の解像力が大きく異なるところも本レンズの特徴。流れているわけではなく、主役を引き立てるためにあえて「譲る」ような写りは好印象です。
開放での周辺減光はこのように。色乗りはニュートラルで誇張しすぎることはなく、ライカとの相性も良さそうです。ピントは合っているのに解像し切らない感じがなんとも言えません。
ピントノブと絞りを操作するためのツノ、咄嗟のシャッターチャンスを逃さず直感的な操作をするための非常に実用的な作りになっています。シャドーの粘りも申し分ありません。
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普段何気なく行き交う人々を観察していると、首を傾けながら歩く人の多さに驚きます。道端で、駅のホームで、電車の中で。文明の発展は骨格や姿勢までをも変えてしまうのでしょうか。時間をかけて4足歩行へ戻っていくのかもしれないなあ。そんなことを考えながら夕暮れ時、家路につく人々の影を追っていました。画面から目を離し、真っ直ぐ前を向いてファインダーを覗いたら、新しい世界とほんの少し健康的な未来が待っているかもしれません。
次はどのレンズが蘇るのだろう。楽しみが増える1本の登場です。
刻印の文字まで選べる標準フード、こだわりの「IROOA」、どちらを選ぶかはあなた次第。
フィルターも2種類、とことんこだわりましょう。