Leica製品はM型に加えて、
現在ではミラーレス一眼のSLシリーズ、そしてコンパクトフルサイズ機のQシリーズと
多種多様な展開を行い多くのユーザーを獲得しています。
その中でも今回はSL2をセレクト。4730万画素の高画素モデルです。
レンズはSLレンズでも重量級に入るSummilux SL50mm F1.4 ASPH.
ボディ重量はバッテリーを含むと約900g前後、レンズ重量は約1kg。
合計2kgにも及ぶシステムは「標準レンズキット」とはおよそ言い難いもの。
最早説明不要の標準レンズの帝王、アポズミクロン SL50mm F2も存在していますが
2023年10月現在では唯一のSLズミルックスとなる本レンズ。
改めてSL2で使うとこのレンズに抱いていた印象が少し変わりました。
この1枚が最もレンズの特徴を表しています。
最短が0.6mと50mmレンズとしてはやや遠く、最短とまでは行きませんが比較的寄って開放で撮影。
以前SL(Typ601)で使用した時は少しハンドリングが難しいレンズだと思っていました。
しかし画像を見るとSL2になり高画素化も進んだ影響か、非常に安定した写り。
アウトフォーカスもなだらかで合焦部から外れていく部分の情報量が豊富です。
反面絞るとシャープというよりは、精緻な描写と言うのが正しいかもしれません。
先代ズミルックス達と同様にピント部分の線は非常に繊細です。
筆者もMマウントのズミルックス初期型を使用していた時に4から5.6に絞ると、
繊細さと立体感を描き出す能力に驚きました。しっかりSummilux SL50mmにもその伝統が継承されている事を実感できます。
AFは現在の国産ミラーレスと比較すると、牧歌的な速度で多少の我慢を強いられる事は確かです。
SL2自体もコントラストAF故に、この様なシチュエーションでは撮影者側の技量と機転が問われます。
合わせたいポイントが既に決まっている時は潔くMFに切り替えるのも悪くありません。
むしろその「不便さ」こそが現代では意外と重んじられている風潮も出始めています。
50mmというレンズは「標準レンズ」と呼ばれる焦点距離。
但しこのレンズは最短が0.6mという事もあり少し従来の50mmとは考え方が変わっていく気もします。
レンジファインダー用のMレンズは一部を除きほぼ0.7mとこのレンズ以上の制約。
何故「標準」なのか?それは人間の視線でも「注視」と「傍観」の画角。生活の中で行う、視る動作は
恐らくこの2つが多いからこそ50mmが標準と呼ばれる所以なのではないかと最近考えています。
夜間でもSL2の手ブレ補正が非常に優秀で、余程でない限り使用に困りません。
レンズが大きく重量もある事で安定しているという側面も見られます。
重い事は決して悪い事ばかりではなく、撮影時にしっかりとホールディングさせて
「撮影者の意識」をしっかり集中させる役割もあります。
50mmを使用すると筆者はどうしても縦位置が多くなります。
28~40mmは基本横位置が9割と言って良いほどで、50mmは気がつくと縦位置。
微細な光を掬い取るレンズの良さを感じます。
一見何気ないところも、SL2とSummilux SL50mmの手にかかると何故だかドラマチックな
写りになります。これが「Leicaの写り」と言えばそうかもしれません。
このカットを見るとフルサイズセンサー機でありながらも描写の傾向が少し中判寄りにも
見えてきます。Praubel Makina67で撮影した時の感触と少し似ているものを感じました。
夜間の照明が面白く、こちらはモノクロームに。
ウィリアム・クラインの写真でも照明を巧みに活かした写真があり、
撮影データを見た時に想起した1枚。この時の絞りはF2.8。
開放では多少の収差を残しつつも、F2以降ではほぼ安定します。
やはり線の美しさは特筆すべきもので、実直な描写。
こちらも開放での撮影。もう少しソフトな画をイメージして
撮影しましたが結果はご覧の通り。Leicaの画作りはややアンダーに調整すると
色彩が一層引き立つ印象です。SLシリーズ以外にもMシリーズやQシリーズも
同様の傾向が一貫して見られます。唯一難を挙げるとハイライトの耐性が他メーカーの
カメラよりもややシビアな所。その代わりに色彩の美しさはやはり比肩するものが
殆ど無いように感じます。油彩の絵画のような写りです。フィルムで言えばポジフィルムの傾向。
夜間撮影で敢えて露出を切り詰めてシルエット効果を。
SL2とSummilux SL50mm F1.4は一際美しい世界を作り出します。
使っているとあまりにも良い画作りに気持ちが良くなり、
踏み込み過ぎる位にギリギリまで狙い続けていました。
SL2とこのレンズの画に魅入られるとどこまでも撮影意欲が掻き立てられます。
ここまで来ると”魔性のレンズ”と呼んでも過言ではないでしょう。
ご使用の際は是非お気を付け下さい。
約2kgにも及ぶこの組み合わせ。しかしSL2のグリップの形状が良く、
しっかり指に掛けていると撮影時にあまり重さを感じる事がありませんでした。
それ程までに撮影者を魅了し、撮影にのめり込む危うさを持つ1本。
本来このレンズは「ポートレート撮影の為に設計された」と聞いています。
しかしアプローチ次第ではストリートでも、静物撮影にも真価を発揮する
非常に強力なオールラウンダーレンズの側面を感じられました。
勿論他のSLボディでもその魅力を見せてくれるはずです。個人的には
今回のSL2や今後に高画素機が現われれば、Summilux SL50mm F1.4 ASPH.は
手放す事のできないレンズになってくれるのではないでしょうか。
値段も覚悟が必要ですが、手に入れたら撮影意欲の泉に足を踏み入れる事ができます。
Mapcameraでは60回金利手数料0円のショッピングクレジットのご用意もございます。
是非Leica SLシリーズの世界に浸ってみましょう。
今まで知らなかった写真の世界が見えるかもしれません!
SL2をもっと楽しむ為に、アクセサリーもあればより撮影に集中が可能です!