【Leica】S(Typ007)とは何者か
中判フォーマットセンサーのライカ製一眼レフカメラ。
何と魅力的な響きなんでしょうか。
圧倒的なボディ剛性や、考え抜かれたエルゴノミクスデザイン。
30×45㎜の大型センサーと、専用設計のSマウントレンズから描き出される、
表面的なシャープネスに頼らない圧倒的な画質。
一度体験してしまえばもう逃げられない、王者の風格…。
今回は、そんな素晴らしい魅力に溢れるカメラ、LEICA S(Typ007)のお話です。
組み合わせたレンズは、ズマリット S70mm F2.5 ASPH.。
このセットで、静岡県の熱海市に撮影に行ってまいりました。
こちらのカメラは、通常であればスタジオ用途がメインでしょう。
計算しつくされたライティングと、モデルの表情を引き出すプロカメラマン。
素晴らしい写真になる事は容易に想像できます。
そこをあえてフィールドに持ち出し、まるでフルサイズの一眼レフカメラのように使ってまいりました。
どんな写真が撮れるのか。ワクワクしながらシャッターを切ると・・・。
いきなり凄いものが出てまいりました。なんでしょう、この雲は。
およそここまで立体感のある雲は見たことがありません。暗部も階調が残り、ハイライト部もかなり粘っています。
思わず「嘘でしょ…」と声が漏れてしまいました。
すっかり気分の良くなってしまった筆者、辺りにあるものを片端から撮り始めました。
ごみ箱、階段、ヤシの木、灰皿。いつもは気にも留めないモノたちが、急に「被写体」として目に映るようになります。
撮影して、背面ディスプレイで拡大再生する度に感動の嵐…。
「解像度」や「シャープネス」と言った言葉では表せないのです。
物がそこに「在る」感覚。写真ではなく、世界そのものを見ているかのような錯覚を覚えます。
それはそれは舞い上がってしまった筆者、初島行きのフェリーに乗り込み、
デッキの上を群れ飛ぶウミネコを撮影してみました。流石に中央一点のみのオートフォーカスは追従しきれませんでしたので、
マニュアルフォーカス+マニュアル露出にて必死で振り回しました。
中判一眼レフ機での、動体撮影。本来の使用用途から大きく外れているのにも拘らず、
ピントピークの掴みやすいファインダーのLEICA S(Typ007)は、ちゃんと応えてくれました。
蔦が「線」ではなく、「蔦」として写ります。
「気迫」を感じる写真。空気の重さも写し取ります。
「なぜ俺を捨てた・・・」という建機の声が聞こえてくるようです。
シルキーな波もご覧の通り。
水面だけでなく、深い水の色や奥行きも描き出します。
艶めかしいほどの「静」。
大きなミラーショックや、「ジャッキョン」という歯切れの良いシャッター音。
信じられないほどの高画質…。
このカメラを持てば、日常の中の「ありふれたしあわせ」が「特別な幸せ」になるはずです。
どんな物だって、被写体にしてしまうカメラですから。
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