
【Leica】What is Leica Looks? SL3+Leica Natural編
Leica SL3やQ3に搭載された最先端のイメージプロセッサー「Maestro IV」では
画像処理の高速化や低ノイズに寄与し、Leica独自の色再現性を実現しています。
そして、Maestro IVでは新たな機能として撮影者の好みに応じて変更可能なカラープリセット「Leica Looks」が使用できるようになりました。この連載ではそれぞれ独自のカラールックを持つLeica Looksに焦点を当て、その魅力に迫っていきます。どうぞお楽しみください!
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今回、撮影に使用した機材は『Leica SL3』と『Light lens lab M 50mm F2 Rigid(周リジッド)』です。
設定はホワイトバランスをAUTOもしくは撮影時の天候の曇天に変更し、適宜、露出補正をかけています。
Leica Looksは「Natural」を使用いたしました。
『M 50mm F2 Rigid』は愛称”周リジッド”の名で呼ばれ、
1956年に発売されたライカの『ズミクロン M50mm F2 固定鏡筒』の外観と光学系を再現したレンズです。
カラーバリエーションはブラックペイント、シルバー、ブラスゴールドの3色で、いずれも真鍮製で高級感のある造りです。
前後キャップやレンズフードも鏡胴と同じ色に合わせており、とても所有欲を満たされるレンズです。
周リジッドは固定鏡胴ズミクロン1stを再現したレンズとのことで、使用する前はボケ味や色、
コントラストがオールドレンズらしい雰囲気があるかと思いましたが、使ってみると後ボケが若干ざわつくものの素直な前ボケで、
ピント面はシャープ、色味も自然でLeica looksの「Natural」ととても相性が良いと感じました。
天気が幸いにも「Natural」に合う曇天で、筆者が見たままの自然な色合いが再現できていました。
建物を撮る場合は一般的に絞り込んで全体にピントを合うようにする撮り方が一般的ですが、
筆者は単焦点レンズは開放付近こそ、レンズの個性を楽しめると考えよく開放で撮影します。
曇天の空を諧調豊かに表現してくれたり、窓に当たる光や影になった部分も潰れず『Leica SL3』のセンサーと周リジッドの表現力に感心しました。
草木の緑とツツジのピンクのコントラストが対象的で目を引かれた1枚。
Leica Looksの「Natural」は被写体の色味を人が見たままに再現し、
また、湿度を感じさせる仕上がりのため自然植物にも最適なプロファイルだと感じます。
背後に少し入った玉ボケもアクセントになり、周リジッドの開放付近での描写が被写体を立体的に浮かび上がらせてくれました。
『ズミクロン M50mm F2 固定鏡筒』は製造されていた当時、カメラ雑誌の解像力テストであまりの解像力の高さに測定不能となってしまった逸話があります。周リジッドはそのレンズを今の時代に再現したレンズですが、F5.6まで絞った時の解像感は『Leica SL3』の6000万画素のイメージセンサーとの相性も良く、写真中央部の緑の道路標識を拡大するとしっかりと文字が識別できる解像力の高さに、現代でも十分実用に耐えうる名レンズだと感じました。
すっかり夜になり、そろそろ引き上げようと時計を見たら19時前でした。
今年、初めての紫陽花を目にして思わず記録に残しておこうと撮影した1枚。
絞り開放でもISO5000まで上がってしまいましたが、50%拡大して初めてすりガラスのような粒状性のあるノイズが確認できますが、
色が破綻したりディティールが崩れることなく自然に出ているところが、『Leica SL3』のノイズ処理の上手さを感じました。
周リジッドの絞り開放付近の描写は夜景とも相性が良いと感じます。
ディティールをしっかり描きながら絞り開放付近では周辺に独特の柔らかさを纏います。
電灯を撮影した場合に、クラシックレンズだとしばしば見受けられるパープルフリンジも、
周リジッドは現行レンズのため拡大しなければ目立たないのも良いところです。
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いかがでしたでしょうか。
『Leica SL3』から搭載されたLeica Looks。なかでも「Natural」は人が見たままの自然な色合いを再現し、
曇天のようなコントラストが穏やかで諧調重視のシーンにおすすめのlookだと感じました。
レンズ選びについてはクラシックレンズを始めとした諧調がよく出るレンズとの相性が良さそうに思います。
周リジッドは諧調と解像力の描写がどちらもよく出るレンズで、令和の今になって再現されたのも納得のレンズでした。
次回もお楽しみに。