【LEICA愛】色鮮やかなこの世界に、さようなら。
ご自分のライカにどんなフィルムを入れて楽しまれているだろうか?
もちろん、カラーフィルムを入れても味わい深いカメラではあるが、
やはりライカ、ということでモノクロフィルムを用いて撮影している方が多いように思う。
筆者もその一人。
ILFORD DELTAやKODAK TRI-X等々、愛機に通したフィルムは数知れず。
そんなモノクロフィルム派の私とって、
M8をはじめとしたデジタルM型ライカという存在は、
「便利そうだなぁ」という感情は抱いても、
「自分はモノクロフィルムでいけるところまで行こう」と、
それほど大きく心を動かされる対象ではなかった。
だが、2012年8月。
その考えを根底から覆すライカが登場してしまった。
“Leica M Monochrom”である。
世界初の35mmフルサイズ・モノクロ撮影専用センサー。
ローパスフィルターに加え、カラーフィルターも非搭載。
単純に光の強弱の記録に特化したセンサーが織り成す写真は、私にとって衝撃だった。
作例写真を見た瞬間、なにかが自分の中で崩れた音がした。
「どうしても、欲しい。」
モノクロしか撮影できない。それでいながら、大変に高価なカメラである。
一般人から見れば、どう考えても理解の範疇を超えた存在だが、
しかし同時に、モノクロ写真を本気でやってきた人間にとって・・・
そして、その特異なセンサーの構造をある程度理解する者にとっては、
大きな意味を持つカメラである。
こんなにも尖ったモデルを一般マーケットにおいて販売できるのも、ライカだからこそ。
悩みに悩んで発売から約半年。
ついに、手にしてしまった。
他のM型デジタルと同様、今まで愛用してきたレンズは、一部を除いてそのまま活用できる。
まず、情報量がとてつもなく多いRAWデータに驚かされた。
現像ソフトで処理する際は、ネガフィルムを紙焼きする暗室作業と同様、
シャドーからハイライトにかけての調整作業が楽しませてくれる。
現像ソフトのスライダーを少しでも動かすと浮き上がる、シャドー部に隠されていたもの。
拡大すると気付かされる、恐ろしいほどの解像感。
目を疑うような高感度ノイズの少なさ・・・
フィルムを用いた撮影とは、また違った世界がそこには広がっていた。
私は、自分の選択が間違っていなかったことを確信した。
“M Monochrom”はモノクロ撮影派にとって、最高のパートナーであると。
M Monochromのライカ社における開発コードネームは“Henri”
そう、偉大なる写真家・・・アンリ・カルティエ=ブレッソンの名前が冠されていたのだ。
私もこの漆黒のカメラで『決定的瞬間』を捉えることができるだろうか。
To be continued.
(文責/写真:R.Hirokawa)
Leica M Monochromボディの詳細・webからのご注文は⇒コチラからどうぞ。
こんなコンセプトのカメラは、もう二度と出てこないかもしれませんよ。