秋の行楽シーズンが到来。過ごしやすい気温になったものの、今度は毎週のように台風が接近し思うように行動できない寂しい日が続いています。
こんな日は夏に撮りためた写真を振り返ってみることにしました。
今年の夏はアジフライをテーマに東京近郊を食べ歩きました。
好物とは言え油物は50歳を過ぎた胃には少々厳しかったようで、数回続けたある日、気がついたら海とは反対方向に向かう列車に乗っていました。
たどりついたのは栃木県の日光駅。
都心から日光へ向かうなら東武鉄道の方が便利ですが、1日乗り放題の青春18きっぷを有効に使うためJRを使っての訪問です。
JR日光駅は小さいながらも立派な駅舎が目をひきます。
大正元年に建てられたという2代目駅舎は、要人向けの来賓室が設けられているなど戦前からの歴史を感じさせる造りになっていました。
今回はそんな歴史あるものをよりその雰囲気で切り取るべく、オールドレンズで撮ることにしました。
『Nikon W-NIKKOR(S)28mm F3.5』は昭和27年に登場した広角レンズ。僅か145gの小さなレンズですが、後玉を大きくしたことで周辺減光を抑えており、製造時期からしたらかなり明るく使いやすいレンズです。
2階は一等列車の利用者向け待合室跡。
さすがにシャンデリアは新しい物に交換されていましたが、天井の装飾等に当時の豪華さを感じる事ができます。
日光に来たらまずは東照宮にお参りです。
今年の夏は北関東方面での雨が多く、東照宮入口にかかる神橋の下の川も水量が豊富で迫力ある流れを見る事ができました。
私が訪れた日も東照宮の鳥居を潜った辺りから雨が降り始めました。
不運な出来事でしたが神社参拝時の雨は禊の雨とも呼ばれ、汚れを流してくれるとも聞きますから良い方に捉えることにします。
夏の緑が雨を受けより濃くなっていきました。
五重塔を上の方まで収めると明るい部分に解像力の甘さが見られ、いかにもオールドレンズらしい描写になりました。
いつも大勢の人で賑わう撮影スポットも雨のおかげでゆっくり撮影が楽しめます。
何より、普段に比べて小さなレンズになったおかげで携帯性が向上。さらに28mmという広い画角のおかげでパンフォーカスがしやすくなり、傘をさしながらでも楽に撮影ができます。
現行レンズと比べるとコントラストは弱めですが、雨が黒い箇所を引き締めてくれたおかげで建物の重厚感はしっかり伝わりました。
6030万画素の「Leica M11」との組み合わせでは解像力不足を心配しましたが、そんな心配は必要ありませんでした。
特にピント面のシャープさが際立っており、撮影時にどこにピントを置いたのかが一目瞭然。後で写真を反省するのにはうってつけかもしれません。
岩の苔も綺麗な色を見せてくれました。
ところが…
急に雨がひどくなってきました。道路は川のようになり大量の水で溢れています。あまりの雨量に不安を感じたので急いで宇都宮まで戻ることにしました。
直後近くに落雷があり日光線は運転見合わせに。間一髪逃げ切る事ができました。これをご利益と捉えて良いものか今でも判断に悩みます。
今回使用したニコンSマウント用レンズは特殊な構造をしているためマウントアダプターの種類も少なく、ミラーレスカメラと組み合わせることが難しいレンズですがその分、同じ設計のLマウントレンズと比べ安く入手することができます。アダプターを見つけたらおすすめです。