翌年の東京五輪の準備が進み、東京湾周辺の景色にも変化が見られるようになったと聞きます。
そこで以前撮影した写真を見返してみると、ハードディスクの中から出てきたのは2011年夏に台場の船の科学館の展望台から撮影した写真でした。
初代南極観測船の「宗谷」や青函連絡船の「羊蹄丸」など、昭和に活躍した船たちを見ることができます。
8年前は「Nikon D700」を使っていたんだ…と懐かしみつつ、驚くのはその鮮明な画質です。
フィルム時代からカメラを始めた身には、劣化しない画像はやはり凄いと思ってしまいます。
これらの船は今はどうなっているのだろう?
ネットで検索してみると、「宗谷」はまだ見学可能なようですが、「羊蹄丸」は船の科学館閉館後、廃棄されてしまったとの事。
資料として保存されているものでも、いつまでも残っていると考えるのは間違いのようです。
そんな中、東京湾にもう一艘、南極観測船が係留されていることが分かり、見学に行ってきました。
お台場の対岸、千葉県の船橋港に係留されているのが3代目の南極観測船「しらせ」です。
先の「宗谷」が昭和40年まで活躍した後、2代目の「ふじ」(昭和40年~昭和58年)を経て、昭和58年に就航し平成20年まで活躍しました。
宗谷とは比べものにならない大きな船体。海上自衛隊の艦艇であることを示す4桁の数字が目を引きます。
事前に申し込む事で、船内も見学することができます。
広い操舵室では、船を前後に操作する3本のスロットルレバーを搭載した筐体が目を引きます。
南極の厚い氷に遭遇した際、一旦200~300m後ろに下がり、勢いをつけて体当たりをしながら進むため、前後の操作が重要だったとのこと。
操舵室から望む東京湾。改めて大きな船だと実感できます。
現役を引退し動くことはなくなっても、救護艇などの装備はそのまま。活躍していた頃を思い出させる嬉しい配慮です。
船内見学では食堂等の施設も見ることができました。厨房では安全上からガスが使えないため、代わりにエンジンのボイラーから得られる蒸気で調理したとの事。
食堂の机は床に固定され、卓上の物が滑り落ちないよう縁取りもされています。これだけ大きな船でもそれだけ揺れたということでしょう。
他にも隊員の部屋や医療室など、長期航海に必要な施設を見ることができました。
さて、今回の撮影には一眼レフカメラの「Nikon D5」を使用しました。狭い通路や急な階段を昇り降りする船内見学には、コンパクトで軽量なミラーレス機の方が便利かと思いつつも、肉眼でもこの貴重な資料をしっかり見ておきたかったからです。
見やすい電子ビューファインダーも増えてきましたが、ファインダー越しに被写体のリアリティさを感じるという意味ではまだ光学ファインダーの方が優れていると感じています。
今回の撮影で久しぶりに一眼レフを使いましたが、やっぱりこっちの方が撮っていて楽しいと感じる不思議な魅力がありました。便利さで言ったら勝者は間違いなくミラーレスなのですが…。
最近の新製品を見ていると一眼レフの衰退は避けられそうもありませんが、一眼レフにもまだまだ頑張ってもらいたいものです。ファインダーの違いによる使い分けは必要ですから…。