【Nikon】Leicaとオールドレンズで秋の色を楽しむ
約1ヶ月前に投稿したブログで「Nikonレンジファインダー用のSマウントレンズ」がおすすめと紹介させていただきましたが、今回はその逆、「Lマウント(L39規格)のレンズ」を紹介いたします。
今回使用した『NIKKOR-S.C(L) 50mm F1.4』は、昭和25年に登場したレンズです。
当時、ニコンは自社の専用マウントであるSマウントレンズを中心に製造していましたが、別会社が製造していたライカコピーの「ニッカ」と言うカメラ用にLマウントレンズも製造していました。
ライカーコピーと聞くと少し怪しい感じもしますが、本家のSマウントレンズには無い機構が盛り込まれていたのです。
それは近接撮影が可能になると言うもの。
最近発売され話題になっている ライカのアポズミクロン M35mm F2.0 ASPH.などと同様、近接側にピントリングを回していくと距離計連動の限界点で一旦重くなるものの、さらにピントリングを回すと距離計とは連動しなくなりますがより近くの被写体にピント合わせすることが可能になっているのです。
これがライブビュー機能どころか、デジタルカメラも無かった時代に作られていたのですから驚きです。当時どれほどの需要があったのかは分かりませんが、70年後の今ならこの機能を切望している人は多いのではないでしょうか。
さて前置きが長くなりましたが、その近接機能を有効に使うべく秋の花を見に出かけてきました。
カメラは前回同様「Leica M11」。M/L変換リングを介して装着します。
そしてお天気も前回同様、生憎の空模様に。ライカとニコンのオールドレンズとの組み合わせは天気に恵まれない?変なジンクスが生まれそうです。
それでは早速近接撮影に挑戦です。
本レンズに記された距離指標の3.5フィート(約1.07m)の所でピントリングは一旦止まり、さらに回す事で1.5フィート(約0.46m)まで寄ることができました。オールドレンズならではの甘さと相まって、とても柔らかな描写になりました。
似たような機構はフォクトレンダーのVMマウントレンズでも採用されていますが、35mmや40mmのレンズばかりで、50mmレンズではまだラインアップされていないようですから、花などの撮影には打って付けのレンズではないでしょうか。
流れるようなボケで少々クセはありますが、離れた場所の風車の細部が確認できるなど解像力は高そうです。
これまでもマクロアダプターなどを使用してライカで近接撮影を楽しんできましたが、都度レンズを付け外ししていた手間を考えると、とにかく便利なのです。
撮影中、小雨が降ってきたので屋根がある場所で小休止。
すだれ越しにカメラを向けると盛大にバブルボケが発生しました。いかにもオールドレンズらしい写り。まもなく始まるイルミネーションの時期が楽しみになってきました。
秋の実りが飾られていました。
ここでも被写体にギリギリまで寄って撮影すると、柿の艶を綺麗に捉え、栗の棘は柔らかく表現してくれました。
近接での柔らかく美しいこの描写。個人的にはMicro-NIKKORと呼んでも良いのではと思うほどです。
睡蓮鉢で泳ぐメダカ。白系の被写体は若干ハロを纏う傾向が見られますが、線の細い水草などはシャープに捉えてくれました。
最新レンズと比べるとかなり柔らかい印象を与えるレンズですが、
露出を気持ちアンダー目にすると甘さも弱まり質感描写力も向上する印象に。
暗部に強いライカとは好相性かもしれません。
昭和25年の登場以降、12年ほど製造されたようですが戦後の混乱期ということもあり、初期に製造された物と後期に製造された物では多少の違いがあると言われています。
その中で一目で分かる違いと言えば前玉周辺の銘板。前期モデルは 「Nippon kogaku Tokyo」と記されており、後期モデルは「Nippon Kogaku Japan」と記されています。
多分、後期モデルの方が改良が加えられたことで性能が上がっているのかも知れませんが、ニコン好きとしては「Tokyo」銘の方が日本光学ゆかりの地「東京都品川区西大井」をより強くイメージさせるので、私はTokyo銘の方を選択しました。
とは言え、オールドレンズ選びで一番重要なのはコンディションです。拡大画像と商品コメントをしっかり確認して最適な商品をお選びください。
デジタルカメラと好相性のオールドレンズ。今回はライカで使用しましたが、ミラーレス一眼とヘリコイド付きアダプターと併用すればもっと楽しいこと必定です。