【Nikon】Nikonの話~名は体を表すレンズの話
あけましておめでとうございます
今年は元号も変わる年となり新たな時代の節目となる年になるかとも思います
皆様も時代の変わり目を写真におさめて見るのはいかがでしょうか
さて、Nikon Zシステムが発売となりNikonZ6・Z7を手にされた方も多くいるかと思われます
以前より何度かブログを記載させて頂いていますが、「この機会にNikonのFマウントを振りかえっていく」
という内容の第3弾ということでまた掲載していきたいと思います
今回はNikonの製品名、それもレンズの製品名に関してです
大抵のカメラレンズの製品名には製品の性能をあらわすものとなっています
Nikonのレンズの製品名もその記載の内容を知っていればその仕様をある程度知ることができます
この機会にFマウントのレンズの製品名に関して理解を深めてみてはいかがでしょう
自分でレンズを新たに購入するのを検討するときに役立つかと思います。
今回も内容的にはNikon Fマウント初心者の方向けのものとしたいので
なるべく広くかるーく紹介してみたいと思います
AF-S DX NIKKOR 18-200mm F3.5-5.6G ED VRII
上記に例示を上げてみました
カタログのそれとほぼ同じですが、先頭の記号から順にみていけば
その機能や仕様が大体読めてきます
まず先頭にあるAF-Sの部分から確認していきます
ここに表示される記号はAFのタイプを表しています
ちなみにここにAFの記号が表示されない場合はマニュアルレンズです
・AF ハイフンがないシンプルな表示のこれはAFカプラー方式で動くレンズを表しています
つまりレンズにモーターが搭載されておらずボディ側に内蔵されているモーターの動力を軸でレンズに伝えて動作させる方式
Nikonのエントリー機種ではボディにモーターを搭載していないので、運用には注意するべき点です
・AF-I コアレスモーター(無鉄心電動機)内蔵レンズ
永久磁石を用いたモーターを使用したレンズ
応答性と加速は早いが停止が苦手で合焦速度がやや遅い
・AF-S 超音波モーター内蔵レンズ
静粛性と合焦速度・追従性があり広くNikonで採用されている
・AF-P ステッピングモーター内蔵レンズ
STM(ステッピングモーター<パルスモーター>)を搭載
パルス電力に同期して動作するモーターで、電気信号1パルスにつき1ステップ分回転する
STMは減速ギアも使用しないので駆動音も極めて静かであり動画撮影に向いているシステム
AFの動作に関し前後に微細に動作することにも向いておりコントラスト(明暗差を検出する)AFでの使用にとても向いている
つまりメインがコントラストAFを搭載しているミラーレスには向いているということになる
ちなみに超音波モーターは移動量と一方向に一気に向かうのが得意なので位相差(画像のずれからピントの方向と量を判断する)方式にむいています
つまり主に一眼レフカメラに採用されている方式であり高速の合焦速度を期待できるわけです
しかしながら前後に微細に動くのは苦手なのでコントラストを使用したAFには向いていないのです
現状では動かせる機体に制限があります
次にDXの表記です
これは単純にAPS-Cサイズフォーマット(DX)用のレンズであることを表します
表記がないものは全てフルサイズ用のレンズとなります
18-200mmの表記部分 焦点距離を表しています
数字が2つの時は最広角側と最望遠側の焦点距離、1つの場合は単焦点を表します
F3.5-5.6Gの表記部分 開放F値を表します
絞りが最大の開放の時の値をあらわしています
レンズの取り込める明るさの最大値と言っていいと思います
数字が2つの場合はズーミングで開放F値が変化していき最広角側と最望遠側の最大の開放値が記載されています
一つの場合はすべての領域で固定の最大開放値が得られるということになります
Gの表記の部分 ここはレンズのタイプを表しています
・S Ai-sタイプであることを示しています
以前、紹介した記事にあるので興味のある方はそちらを参照してください
・P Ai-P CPU内蔵のマニュアルフォーカス
マニュアルフォーカスではあるがボディ側から絞りを制御できるレンズ
よく見かけるのはAi Nikkor 45mm F2.8Pです
・D 距離エンコーダーを内蔵した被写体までの距離情報をカメラボディ側へ伝達できるタイプ
よく誤解があるがDの表記は絞り環があるタイプのレンズを指すのではない
Dの表記がなく絞り環があるレンズが存在しており、それは距離情報をカメラにつたえてはいないのです
ちなみにこれ以降にあるタイプのレンズには記載がなくても距離エンコーダーを内蔵しています
・G レンズ本体に絞りリングを持たず、ボディ側から絞り制御を行うタイプ
絞り環がないのでAi方式とは関係がない
このタイプまでは絞りの制御に連動レバーで対応しており実際に手で絞りを動かすことが出来る
・E 絞り連動レバーを廃し、電磁駆動絞りを採用
レンズの絞りをレンズ内に組み込まれた電磁絞りでうごかすタイプ
絞りの連動レバーがないのでマウントアダプターを介して使用したい人は注意
全ての機体に対応しているわけではないので使用制限を確認して下さい
ED 特殊低分散ガラス使用のレンズをあらわす
色収差を補正し色のにじみやコントラストの補正するもの
VR Vibration Reductionの略 手ブレ補正内蔵レンズ
VRにはI型・II型とあるが3段から4段へと進化している
しかしレンズ名の記載には誤解しやすい部分があるので注意
レンズの表記のIIとある部分はそれ以前に出ていた同型のレンズとの差異を表しているので必ずしもVRがII型だから表記があるわけではないのです
ちなみにここで紹介しているレンズの先代である「AF-S DX VR ズームニッコール ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)」のVRの型式は VRII なのです
その他の表記 ここには記載のない表記をいくつか紹介
Ai・Ai-s・Ai-Pからです
以前の記事で触れたことがありますが機械的に絞りの値絞りの値(F値)を伝達することができる絞りの形状に関しての記号です
ですから、AF・MFに限らず絞りのあるならばこの記号を冠するレンズがでてくることになり、逆に絞りのないレンズにはこの表記はないことになります
IF インナーフォーカスレンズ
レンズ内部の中間部のレンズ群を移動させてピント合わせを行うタイプ
レンズの全長は変化しないがズームはする場合があるので注意
ほかにもいろいろメリットがあるが割愛
PF Phase Fresnelの略 位相フレネルレンズ
光の回折現象を利用して色収差を補正するレンズ
とにかく小型・軽量化できる
FL Fluorite Lensの略 蛍石レンズ
可視光域で優れた色収差補正能力を発揮する
これも軽量化に優れていて超望遠レンズが劇的に軽くなった
不変のFマウントの長い歴史が積み重ねてきただけあっていろいろな機能が搭載されています
少しばかり複雑すぎる気もしますがNikonの絶え間ない努力が伺えます
皆様も興味がありましたらこの記述を参考に新たなレンズ探しをしてみてはいかがでしょうか