【70mm | 1/250 | F4 | ISO 1100】
カメラを持つと世界が変わって見えることがあります。
例えば筆者は、それまで当たり前と思っていた場所が、
カメラを持ったあとから特別な場所に思えるようになり、
そこに撮影に行くことが楽しみで仕方なくなりました。
その一つが「実家周辺」です。
筆者の実家は山口県下関市、
その中で観光地「城下町長府」として知られている町にあります。
筆者にとって帰省とは、
大切な家族に会いにいくという意義が大きい一方、
カメラを持って思い出に会いにいくという目的もあります。
【24mm | 1/400 | F4 | ISO 400】
朝。
布団から這い出てリビングへ向かうと、母がコーヒーを入れてくれます。
ブラックコーヒーのお供は頂き物の甘いカステラ。
寝ぼけ眼の少しぼんやりした光景。
家族と過ごすゆったりとした時間。
少しのんびりして目が覚めたらカメラを持ち出し、散歩に出かけます。
【70mm | 1/500 | F4 | ISO 800】
今回のお供はNikon Z6とZ24-70mm F4Sのみ。
フルサイズミラーレスですが、
一眼レフを愛用してきた筆者からすれば十分に軽量・コンパクトな組み合わせ。
スマホに財布、キーケースとこのカメラだけを持ち出し、
軽快・身軽に散歩に出かけます。
「城下町長府」の町は、
その範囲内に多くの神社・寺や歴史のある場所を抱えており、
中には国宝指定されている場所もあります。
このさざれ石のある神社は筆者が学生時代によくお参りした場所です。
国歌にあるように悠久の時を表現するのに使われるさざれ石、
このさざれ石は昔から全く変化を感じることができません。
それほどまでに人の時間はかくも短く、さざれ石はゆっくりと時を過ごして苔むしていく、
そう感じます。
悠久の時を表現するその質感、Z6とこのレンズは十二分に写し取れており、立体感も凄まじいものがあります。
【24mm | 1/640 | F4 | ISO 400】
筆者お気に入りの道。
中学時代の通学路からは一本外れている道でしたが、
春は桜が咲き誇り、
夏は緑の葉が生い茂り、
秋は紅葉と土塀が美しい交響曲を奏でる、
美術の宿題でよくお世話になったお気に入りの場所。
広角端24mmならちょうどよくこの場所を収めることができます。
【30mm | 1/2500 | F4 | ISO 400】
この塀は「土塀(どべい)」といいます。
「城下町長府侍町」を象徴するような塀ですが、
歴史建造物だけでなく、一般のご家庭の塀にもこれが残っています。
小学校のころに、傘を刺して遊ばないように厳重に教えられます。
筆者はそんなことはしない、というよりできない子供でしたが、
大人になるとまた違った理由でこの土塀の大切さがわかるものです。
さざれ石もそうでしたが、
Z6とこのレンズで表現される立体感に驚きを隠せません。
土塀の傷みが平坦にならず、
質量を持って見る者に訴えかけてくるようです。
【40mm | 1/400 | F4 | ISO 400】
筆者が上京のために離れたあとくらいから、
「城下町長府」は観光地としてのアピールが変わってきたように思います。
新しい施設、新しい看板、新しい名所、
喫茶店や軽食屋もおしゃれな場所が増えました。
観光の折はぜひ立ち寄ってみてください。
撮影スポットにも恵まれています。
【24mm | 1/1250 | F4 | ISO 800】
この町で観光といえば絶対に外されない場所、「功山寺」。
仏殿は国宝指定であり、
春は桜の花見、秋は紅葉狩りと季節を楽しむことができる名所。
幕末あたりの歴史が好きな方にも馴染みがあるかもしれません。
この先秋が深まれば、
この立派な山門は紅葉に包まれ美しい撮影スポットになります。
今回は広角端24mmで撮ってみましたが、
個人的には28mm相当での撮影が広すぎず狭すぎずでおすすめです。
【70mm | 1/1050 | F4 | ISO 100】
ここはかつての有名施設跡地の裏手にある海岸。
関門海峡は流れの速い海で、
その両岸はほとんど整備された道路か港ですが、
その入り口付近にあるここは数少ない関門海峡の海を手で感じれる浜辺。
もちろん泳ぐなどもってのほかですが、
砂遊びや貝殻探しなど、よく遊びにきたものです。
思い出に浸っていると崖が目に入りました。
―こんなに削れて、こんなに断裂していたっけ
こっちはさざれ石と違って常に風雨と波にさらされています。
この光景は今だけかもしれません。
遊んでいる子供たちの邪魔にならないよう、
望遠端70mm、サイレント撮影で静かに切り取ります。
思い出に浸りながら写真を撮って歩く散歩はここまで。
子供のころは当たり前だった場所が、
大人になってカメラを持つと、いつしか特別な撮影スポットになっていきます。
それは思い出補正でしょうか、場所の良さでしょうか。
曇天の空模様ながらも、
軽快に撮影を楽しめたことに満足しながら家路につきます。
【70mm | 1/250 | F4 | ISO 3600】
家に帰れば昼食時前。
昼食を待ちながらぬいぐるみを撮って遊びます。
この子は我が家のアイドル。
リビングに鎮座し、母の手製の服を着た守護神。
ポートレートと言わんばかりに望遠端70mmで、
その優しい微笑みを写しとります。
屋内の撮影でも使いやすいレンズだなと感じました。
【24mm | 1/200 | F4 | ISO 400】
夕暮れ。
翌日は仕事なので東京に帰ります。
雲の広がりと相まって、文字通り燃えるような夕焼け。
寂寥感あるこの光景も、
Z6の見やすいファインダーであれば集中して露出を決め、
落ち着いて撮影できます。
広角端24mmで駅前ロータリーの木々を余すことなく収めつつ、
広大な夕焼けと合わせて撮影できました。
【60mm | 1/160 | F4 | ISO 18000】
さてここまで、筆者の帰省という小旅行を、
Z6とZ 24-70mm F4Sだけをお供に撮影してきた様子を紹介しました。
絞りはすべて開放値F4、
ISOはなるべく屋外では明るいところでは400、
暗いところでは800、
シャッタースピードを調整して露出を決め、
それ以外はなるべくなにも考えずに感覚的に、
思いついたままに気軽に撮影してみました。
Z6がとても魅力的なカメラなのは皆さまよくご存じとは思いますが、
キットレンズの印象が強いZ 24-70mm F4Sがどんなレンズなのか、
これからNikon Zを検討される方々は気になると思います。
【70mm | 1/100 | F4 | ISO 800】
シンプルに申し上げるならば、
キットレンズというには必要十二分の描写性能を持ち、
Zのボディにつけたときの絶妙なバランスのよさ、
全体的なサイズ感のよさは筆舌に尽くしがたいものがあります。
難しいことを考えずにここまでの画作りを楽しめたことがその証左でありましょう。
全体的にコンパクトに収まるということは、
荷物としても困らないという利点もあります。
今回筆者は画像のトートバッグのみで帰省していますが、
この中に画像の13.3型ノートPCとiPad Pro 11インチ、
あとはモバイルバッテリーやちょっとした日用品を、
カメラを含めて全部収めています。
個人的に嬉しいのが、画像のデジタル機器とモバイルバッテリーまで、
全部一個のPD対応ACアダプタと一本のUSB Type-Cケーブルで充電できるので、
荷物が減らせて大助かりといったところです。
これはまさにミラーレスカメラだからこその恩恵。
Z6とZ 24-70mm F4Sはこういった点からも、
気軽に身軽に荷軽に帰省や小旅行に持ち出せるおすすめカメラだと、
改めて気づかされた、そんな休日でした。
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