以前に撮影したものになります。
レンズにはいろいろな種類がありますが、少し珍しいレンズをご紹介したいと思います。
「Nikon Reflex-Nikkor 500mm F8」
いわゆる反射式の望遠レンズです。
レフレックス(反射[望遠])レンズの先祖は、天体観測用の反射式望遠鏡です。
天体観測用のレンズとして知られているものには大別して、「屈折式」「反射式」「カタディオプトリック式(反射屈折式)」の3つがあるそうです。
そのうちのレンズ構成に2枚の反射鏡を含むものとなり、カタディオプトリック系の系譜をひくものにあたります。
反射式望遠鏡の歴史は古く17世紀後半になるそうです。
一般的に写真に用いられるレンズは、レンズの屈折作用を用いて結像させます。
しかし、焦点距離が長くなるほど、レンズはどんどん大きくなり、他にも、特に色収差の補正が難しくなります。
これを解決するために、ミラー(鏡面)の反射作用を応用したのがレフレックスレンズになるとのことです。
超望遠レンズの小型で軽量というのも写真で見てもわかるように、相当コンパクトにまとまっており重量は840 g。最大径×長さはだいたい89×109 mmとなります。
絞りは固定でF8。深い被写界深度が特徴となります。
ボケがリング状になるのは他にはない特徴と言えると思います。
レンズの前方中心にある丸い円状のものを「副鏡」といい、レンズ底面の「主鏡」から反射された画像をカメラ側向ける仕組みがあるため直径が大きくなり、全長は短くできる反射式レンズでも直径は抑えることができない一因となっています。
最短撮影距離1.5mということでこのクラスの望遠レンズとしてはかなり短いです。
反射式のレンズの有利な点として「色収差」が原理上発生しません。
「色収差」は波長によって屈折率が異なるためにおこるので、屈折系のレンズを介さない反射式のレンズではそもそも発生しないことになります。
ただ、他の「コマ収差」や「球面収差」は発生するので収差の補正にレンズ光学系を追加しています。
これが反射式と屈折式の方式を組み合わせる理由であり「カタディオプトリック式(反射屈折式)」と呼ばれる所以でもあります。
「被写体によっては手持ち撮影も可能な小型・軽量の超望遠レンズ」と紹介されていたレンズですが、現代のミラーレスに装着してみるとどうでしょう。
FTZを介し装着してみると相当軽量にまとまった姿を見せてくれます。
ということでこの組み合わせで手持ちで撮影に挑みたいと思います。
組み合わせた機体は「Nikon Z7」675g・「FTZII」125g、こちらの機材と組み合わせたの重量は1640gです。
500mmの超望遠レンズを運用している重さとは思えません。
とはいえ絞り値が「F8固定」で手振れなし。
「Z7」に搭載されている「イメージセンサーシフト方式5軸補正」だけが頼りです。
今回訪れたのは銚子の犬吠埼灯台。年を通して何度も散歩に行くスポットです。
今回は三脚も一脚も用意していないので、手振れを抑えるため機材をしっかりと構えての撮影になります。
何よりマニュアルレンズになるのでピントを合わせながらの撮影は手ブレを抑えるのに気を使いました。
手持ちで仰ぎ見るように撮影を行った割には、手振れを抑え込んで撮影できたかと思います。
「Z7」の内蔵の手ブレ補正機構が無ければさすがに難しかったかもしれません。
明るい日中であればこの組み合わせで手持ちでも撮影はこなせるようです。
沖を通行する船を撮影してみましたが、そもそも水蒸気などの揺らぎであまりしっかりと捉えることができず残念です。
反射式のレンズはボケが特徴的ではあるものの全体的にざわつきやすく、この画像でもボケがうるさくなっているのがわかりやすいかと思います。
海岸線の岩に打ち付ける波が砕ける光景を撮影してみました。
現行の精緻で精細な傾向ではないかもしれませんが、昔ながらの柔らかく芯を捉える写真らしい画が取れたかと思います。
最短が1.5mであることを活かし、比較的近接にて撮影をしてみました。
精細に芯を捉えた形で画を捉えられたかと思います。
質感と圧縮効果が生む独特の空気感が被写体を浮かび上がらせているかと思います。
最後に、このレンズの中でも特徴的なリングボケを試していきたいと思います。
少しずつピントをずらし、レンズのボケの変化を並べてみました。
レフレックスレンズはリングボケが得られますが、ボケが綺麗にリングとして出せるかというと案外難しかったりします。
リングボケのなりかけだったりすると背景がざわざわしてしまうので少し撮影に気を付ける必要があるかと思います。
それでも、このレンズでしか生み出せない画像を楽しんでみてはいかがでしょうか。