【Nikon/RICOH】Z fとオールドニッコール、尾道と倉敷(時々GR1S)
いつの間にやら年の瀬が迫り、着実に新年に向けた装いを深める街中ですが、
私はどこか季節感が追いつかず、いまだに着る服すらも悩みながら日々を過ごしております。
季節感なしついでに、さらに季節感のない記事を一本したためてみました。
しばしお付き合いください。
まだ夏もこれからといった頃合いの、今年の7月。
日々の仕事を行う中で、少し息抜きをしたくなり、何かできないか考え込んでいた時
自身がずいぶん長い間、旅行に行っていないことにふと気が付きました。
ここでいう旅行というのは、国内の地方都市に行ってぶらぶらするようなこじんまりとしたもので、
学生時代や社会人はじめのころは、しばしばそんな小旅行を楽しんでいましたが
ふと思い返してみると、昨今のウィルスの蔓延や、それに伴う自宅趣味への投資も相まって、長らく旅行なんて行けておらず。
ここはひとつ、リフレッシュも兼ねてどこか旅行に行こうと思い立ったのでした。
そうして、山陽新幹線の車窓を眺めながら約4時間、降り立ったのが広島県尾道市です。
RICOH GR1S デート + Kodak GOLD200
RICOH GR1S デート + Kodak GOLD200
かねてより興味があったこの町に伴うカメラは、RICOH GR1S、Nikon Zfと、Sマウントのニッコールレンズたちです。
さっそく、写真を…とその前に。長い間列車に揺られて空腹が限界に。
最寄りで有名な尾道ラーメンを食べる為にお店の前に向かうと、なんと長蛇の列が…。
小一時間耐え忍び、濃厚ながらもさっぱりいただけてしまう背油醤油に舌鼓を打ちます。
RICOH GR1S デート + Kodak GOLD200
さて、おなかも満たし、準備は万端。路地裏に迷い込んで、足の赴くまま、シャッターを切り始めました。
Nikon Z f + W-NIKKOR (S) 35mm F2.5
ちなみに、今回持ち込んだレンズは、W-NIKKOR (S) 35mm F2.5、NIKKOR-H.C (S) 50mm F2、NIKKOR-P (S) 85mm F2の3本。
レンジファインダーカメラであるNikon S2用に買ったものですが、Z fほかZマウントをはじめとするミラーレスカメラであれば、
マウントアダプター(ニコンZからライカM、ライカMからニコンSなど)を使用することである程度転用可能です。
※マウントアダプターとの組み合わせは個体差が生じやすく、十分な性能が得られない場合がありますのでご注意ください。
Nikon Z f + W-NIKKOR (S) 35mm F2.5
いずれのレンズも開放の描写では、特に周辺部が年代相応に柔らかい写りとなります。
しかしながら、いずれも1940~50年代のレンズとして描写力は申し分が無く、現代のカメラであるNikon Z fと見た目・性能ともにマッチします。
逆に、補正されてない各種収差も、現代のキビキビと写る高性能なレンズたちと比較すると、それぞれ顔色があって楽しい使い心地です。
Nikon Z f + W-NIKKOR (S) 35mm F2.5
尾道は対岸に向島を臨む沿岸部から、内陸部にかけて小高くなり、入り組んだ土地となっています。
レンズの描写として、同心円状にアウトフォーカス部がぐるぐると流れるような感触がありますが、
入り組んだ道を撮影するにはなんだか相性がよい気がしてきます。(なんどか本人も道に迷っていました。)
Nikon Z f + NIKKOR-H.C (S) 50mm F2
息を切らしながら坂を登りきり、開けた場所から尾道を一望できました。
この時は確か、F8~11程度まで絞り込んで撮影しています。
流石に周辺部には若干の甘さが残りますが、ここまで絞ってしまえば70年前後も前のレンズといえど、かなりシャープに写ります。
Nikon Z f + NIKKOR-P (S) 85mm F2
登り切った坂を、また別の坂から下ります。
道半ば、木々の合間から見えたドックのような施設を、85mmで切り取ってみます。
おそらく開放での撮影だと思いますが、さすがにかなり柔らかい描写。
周辺減光が強めに感じられるのが、個人的に好きです。
Nikon Z f + W-NIKKOR (S) 35mm F2.5
Nikon Z f + W-NIKKOR (S) 35mm F2.5
Nikon Z f + NIKKOR-H.C (S) 50mm F2
そのままぐるぐるとまた細い道を下り続け、気が付けばあっという間に駅ちかくまで戻ってきていました。
既に陽も傾き始めたころ合い。そろそろ広島までやってきた一番の理由を解き明かすときかもしれません。
そう、それは、牡蛎が食べたかったからです———
Nikon Z f + NIKKOR-H.C (S) 50mm F2
Nikon Z f + NIKKOR-H.C (S) 50mm F2
今見ても、よだれが止まりません。
この日は一人で飲み始めたにもかかわらずたいそう酔っ払い、足早にホテルまで帰り、一夜を明かしました。
翌朝、小旅行の終わりの足音が近づく2日目。
尾道駅から山陽本線に乗り込み、向かったのは倉敷市。
水路沿いに昔ながらの古い建物が建ち並ぶ美観地区を散策します。
Nikon Z f + NIKKOR-H.C (S) 50mm F2
Nikon Z f + NIKKOR-H.C (S) 50mm F2
Nikon Z f + NIKKOR-H.C (S) 50mm F2
小雨の降るあいにくの天気ではありましたが、傘もささずにシャッターを切りまくります。
Nikon Z f + NIKKOR-H.C (S) 50mm F2
ひとしきり歩き終えたのち、駅近くの古いたたずまいの喫茶店に飛び込みました。
店員さんが優しく応対してくださり、いくばくか雑談にもお付き合いいただきました。
旅先のこういった喫茶店なんかで得られるコミュニケーションが好きで、個人的に旅行の醍醐味の一つだと思っています。
年々、喫茶店が減っていって、このような機会が失われていくのはさみしいですね。
尾道も倉敷も、思う存分満喫させてもらい、東京駅へと帰ります。
疲れと共に残る充実感。久々の小旅行でくたびれた半面、またどこか遠くへ行こう、と
次の計画を練りながら帰路に就くのでした。
早いもので、Z fが昨年発売してから既に1年以上が経過しました。
もっぱらマウントアダプターを介してオールドレンズで遊ぶために手に入れたといっても過言ではない本機ですが、
その堅実な性能と、見た目も相まって、所有欲をたいへんよく満たしてくれます。
特に、私のようにあちこちぶらぶらしながら、オールドレンズなんかもとっかえひっかえするような方には、
是非ともおすすめしたい機材の一つです。
また、GR1Sを始めとするGR1シリーズのフィルムカメラも、気にいって長い間使っています。
こちらは修理ができない為、デリケートな接し方が必要な場面もありますが、
毎日持ち歩くくらい、私にとって日常に根差したカメラです。
是非皆様も、お好きなカメラと旅行し、息抜きをお楽しみください。
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