2022年12月1日に公開されたPENTAX K-3 Mark III、PENTAX KFとPENTAX K-1シリーズのファームウェアのアップデートを行うことで、新たなカスタムイメージ Special Editionの拡張が可能となりました。
特定のリミテッドレンズを装着することで使用できるカスタムイメージSpecial Editionは春夏秋冬に合わせて順次公開され、今回はその第三弾となります。
第三弾に選ばれたのはその名も「冬野(FUYUNO)」。
冬の冷たい空気感をイメージされた、彩度を抑え少し青みがかった白を意識したクリアな画作りのカスタムイメージとなっています。
「本質」「感性」「不変」をポリシーに開発されているPENTAXのLimited Lensシリーズ。
収差をコントロールし、その場の空気感をそのまま写し込む独特な描写は、まさにPENTAXレンズの真骨頂。
それでいて外観も高品質なアルミ削り出し鏡筒とこだわりぬいており、所有欲を満たしてくれるレンズシリーズになっております。
その中から今回選ばれたのは以下のレンズです。
「HD FA 31mm F1.8 Limited」
「HD DA35mm F2.8 Macro Limited」
K-1/K-1 Mark II (J limited 01含む)とK-3 Mark III、KFで使用ができるようになった「冬野(FUYUNO)」ですが、今回は「K-1 Mark II」と「KF」、レンズは「HD FA 31mm F1.8 Limited」を持ち出して撮影を行いました。
PENTAX KF + HD FA 31mm F1.8 Limited
他のカスタムイメージと比較するとコントラストが低く設定されており、冬の冷たい乾いた空気感がリアルに表現されています。
今年の都心は何回か雪は降ったものの積もるような雪がありませんでした。
スキー場の雪もなくなりつつある3月半ば。雪を目指して会津方面へと車を走らせました。
PENTAX KF + HD FA 31mm F1.8 Limited
溶けてしまって少ないながらも路肩には多くの雪がありました。
今回使用している「HD FA 31mm F1.8 Limited」は「PENTAX KF」等のAPS-Cセンサーカメラに装着すると35ミリ判換算の焦点距離が47.5mm相当となります。
いわゆる標準レンズと呼ばれる焦点域のレンズとなるためフルサイズ用のレンズながら使い勝手の良さを感じました。
PENTAX KF + HD FA 31mm F1.8 Limited
大内宿。
古くは鎌倉時代からの宿場町で、栄えを江戸時代の頃に迎えます。
明治以降も開発を免れ、当時の面影そのままとなっております。
茅葺き屋根がずらっと並ぶ光景は壮観でした。
PENTAX K-1 Mark II + HD FA 31mm F1.8 Limited
続いてレンズはそのままにボディをPENTAX K-1 Mark IIに持ち替えて撮影を行います。
レンズの最短撮影距離は30cm。
広角レンズ寄りの本レンズなら被写体にグッと近づき適度なパースと描写力が同時に得られ、印象強かったり迫力があったりする写真を撮ることができます。
PENTAX K-1 Mark II + HD FA 31mm F1.8 Limited
トーンの低い色味は冷たさや乾いたイメージに加えて、静寂さや厳かなイメージも与える印象があります。
それでいて乾いた空気感ならではのクリアな描写、抜け感もきちんと描くことができるので冬の風景と相性が良いようです。
さすがは“冬野”といったところでしょうか。
PENTAX K-1 Mark II + HD FA 31mm F1.8 Limited
カスタムイメージ「風景」
PENTAX K-1 Mark II + HD FA 31mm F1.8 Limited
カスタムイメージ「冬野(FUYUNO)」
カスタムイメージ「冬野(FUYUNO)」の落ち着いたトーンの変化は比較的明瞭に分かるかとは思いますが、実際に他のカスタムイメージと比べてみましょう。
今回はカスタムイメージ「風景」で撮影した写真と比べてみます。
「風景」はコントラストがハッキリしていて明暗がしっかりとつくので、写真全体がぎゅっと引き締まり、その立体感や実際の見た目に近い描写となります。
一方の「冬野(FUYUNO)」は落ち着いたトーンながらものっぺりしすぎず立体感はそのままにハイライト部分やシャドー部分を“良い具合に”変化をつけてくれるので独特の空気感を残すことができるようです。
PENTAX K-1 Mark II + HD FA 31mm F1.8 Limited
夕暮れ時。
どこか寂し気な雰囲気がありますが、人里離れたゆったりとした景色から帰らねばならない名残惜しさがそっくりそのまま投影されたようです。
飛行機雲のできやすい天気だったこともありますが、会津周辺は北日本へと向かう飛行機の航路に近いようで、開けた空を切り裂くかのような長い飛行機雲が度々現れ印象的でした。
「冬野(FUYUNO)」ということで今回は雪景色を求めてぶらぶらしましたが、雪の少ないところでの撮影も多く、それによって気付かされたことでもありますが、良い意味でクセが少ないので街中でのスナップや日常の一コマなどを撮影してみてもこのカスタムイメージは面白いかもしれません。
そう思うと今回選ばれたLimited Lensシリーズが、広角から標準域の中間でスナップ向きのレンズが揃っているように思えても来ます。
「HD FA 31mm F1.8 Limited」はちょっと広めの標準レンズ、狭めの広角レンズとして。
また、それをAPS-Cセンサー機に付けたときや「HD DA35mm F2.8 Macro Limited」は標準レンズとして使いやすいラインナップのようです。
季節はすっかりと色鮮やかな花々が咲き乱れる時期となりましたが、クリアな画作りを意識された「冬野(FUYUNO)」はまだまだ大いに活躍できる場面が多そうです。
ニュートラルな写真がお好みの時は積極的に使いたいカスタムイメージであります。
シーズンが進むごとに一つずつ追加となるカスタムイメージSpecial Edition。
澄み渡るクリアな空気感が印象的な「冬」から、次は一体どのような「春」となるのでしょう。
今後もPENTAXから目が離せません。