【PENTAX】ソフトレンズとポジフィルム
ソフトレンズと言ってもふにゃふにゃのコンタクトレンズのことではありません。
長い間愛用していたのでつい頭に浮かんでしまいますが…
ソフトレンズ、またの名をソフトフォーカスレンズや軟焦点レンズとも言われます。
その名前から、なんとなく特徴の想像がつくかもしれません。
その通り、写りが全体的に柔らかい(ソフト)であるためにこう呼ばれているのです。
ソフトレンズの歴史は古く、写真と言えばモノクロフィルムしかない時代から存在しています。
さて、今回使用したレンズは「PENTAX SMC67 120mm F3.5 ソフト」というレンズです。
6×7判フィルムカメラ用のレンズなので、フルサイズに換算すると焦点距離はおよそ半分、60mm相当。
ボディの巨大さの割に鏡胴は小さく、少しは持ち運びが楽だと感じるかもしれません。
この日通したフィルムは「FUJIFILM PROVIA 100F」と「FUJIFILM PRO 400H」です。
ブログではタイトルの通り、ポジフィルムである前者の写真だけ掲載しています。
世の中も少し落ち着いた晩夏、ようやく外出もできるようになったので、とにかく広い景色を求め海に行きました。
まだ大きなカメラを持って日中歩き回るには暑いな、と感じたことが今となっては懐かしく、
ポジフィルムの鮮やかな色と、レンズの優しい滲みが思い出をそのまま覗いているようにも錯覚させます。
実は、海にたどり着くまでたくさん歩いたので日は傾きかけています。
とはいえ11月下旬の今と比べればまだまだ日は長い方。
写真を撮る人間としては日中が長い方が少し嬉しく感じます。
この時間にもなると風は少し肌寒くすら感じ、砂浜をただ歩く人影はまばら。
しかしそれに反して海はサーファーで賑わっていました。
もしかすると波を待つにはいい時期なのでしょうか。
西陽が海面をキラキラと波立たせ、その勢いのまま砂浜をも飲み込まんとするところ。
沈みかけの日光が部分的に反射して、その光が収差で彗星みたいに滲み広がっています。
まさかサラサラの足元に宇宙を感じるとは。
鳶の声が夕暮れを憂いて、今日の撮影はちょうどおしまい。
6×7で撮影すればブローニーフィルムはわずか10枚で1本を撮り切ります。
この日は結局50枚、5本分のフィルムを撮影に使いました。
ちょっとランニングコストが高いな、なんて言ってられるのも今のうち。
ちょっと高いな、でも、やっぱり替え難い。
シャッターはいくら切ったとて後悔知らず。
手に入るうちに楽しみつくすことが大切です。